介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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成年後見制度の成立

2007-12-31 05:34:41 | 成年後見
【経過】
細川瑞子『知的障害者の成年後見の原理』(信山社、2007)
を読んでいます。
今日は、その第4回。
前回までに、「プロローグ」まで進みました。

今日は、「第1章 成年後見制度の成立」(p13-p32)です。
以下の、4項から構成されます。
1 社会福祉構造改革と契約による福祉
2 成年後見制度の成立
3 現状と課題
4 制度上の問題点
この本の特色は、上記のうち4 にあります。

【成年後見制度の成立】
このブログでも、カテゴリ「演習1」で、何度か触れています。
・社会福祉構造改革として、社会福祉法が制定された。
・この法律では、従来の「措置」制度から「契約」に基づく福祉サービスへの転換が主眼とされた。
・とすると、認知症高齢者・知的障害者・精神障害者など、自分では契約が出来ない場合にどうするかが、同時に課題となった。
・そこで、民法の改正によって、新しく「成年後見制度」が発足した。
・この制度は、2000年から施行された介護保険法を補うものでもあった。
・あわせて、消費契約もターゲットとされた。(消費者被害を救う)

【成年後見制度の課題】
・実際に、施行してみると、制度上の課題が浮かび上がってきた。
・すでに、日本成年後見学会などから、この制度の改善に対して提案がでている。
・登記アクセスの改善や銀行など金融機関の実務の改善など事務的な課題
・市町村申し立ての活性化など制度の利用を促進するための方策
・医療行為における後見の意義の明確化など法律上の手当てが必要なもの
など

【申請制度】
・自己決定を基本とすると、高齢者の場合、任意後見制度が成年後見の原則となるが、知的障害者にはあてはまらない。
・親や家族の申し立てを待つという制度自体に問題はないのだろうか。p26

【受け皿】
・後見報酬を毎月払うことは、親から相続財産を受けない限り難しい。
・本人の気持ちや状況に合わせて支援をコーディネートしていくには、法律の専門家は向いていない。身上監護については、社会福祉の専門家が向いている。
・福祉の専門家の場合でも、一人では無理な場合がある。複数後見にしても長期間の後見は無理である。
・そこから、法人後見の意義がでてくる。
・その場合でも、親の会の位置づけやボランティアなどが重要な役割を果たす。

【費用】
・現在でも、ほとんどの知的障害者には成年後見人がついていない。
・必要とする人すべてが制度の利用を出来るようにするためには、介護保険法や障害者自立支援法などへ組み込むなどの制度的な手当てが必要。
(ブログ編集者:・・・「自立」というスローガンだけが先行している!)
・社会福祉協議会が先行して実施している「地域福祉権利擁護事業」(日常生活支援事業)の難点は、本人に契約能力を必要としている点である。

【実際にやってみての意見】
以上に、ごく要点を紹介しました。
私自身も、院生のPさんの論文指導をしなかったら、「後見活動の実際と問題点」についてはわからなかったでしょう。本書は、実際にこの制度を利用してみて始めてわかったことが凝縮して盛られている。裁判所の判例やフランスの事例なども挿入しての本格的な考察となっている。
*Pさんの修士論文も12/28午後の演習でほぼ完成の域に達しました。
あとは、文言の整理をして提出するだけです。(締め切り期限は、1/10)

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