心の音

日々感じたこと、思ったことなど、心の中で音を奏でたことや、心に残っている言葉等を書いてみたいと思います。

映画「マイ・ボディガード」は、人間の本質を描いた作品です

2005-01-27 18:56:40 | Weblog
 デンゼル・ワシントン主演の「マイ・ボディガード」は、涙なしには見れませんでした。
 アメリカ軍の対テロ部隊で、暗殺の仕事を16年間も続けたクリーシーは、生きる希望を亡くし、心はすさみきっています。そんな彼に、かつての同僚で今はメキシコに暮らすレイバーンが、メキシコシティの実業家夫妻の9歳になる娘ピタのボディガードの仕事を紹介します。
 メキシコシティでは、この6日間に24件もの誘拐事件が発生、人質の70%は生還できないといいます。無愛想なクリーシーですが、ピタはその隠された優しさを見ぬき、無邪気な笑顔で彼の心をほどいていきます。何不自由ない裕福な家庭に育ちながら、かごの中の鳥のように孤独感をかみしめている少女ピタを演じる子役ダコタ・ファニングが、本当に愛らしいですね。
 彼女が愛くるしい笑顔で固く閉ざされたクリーシーの心を開き、友情とも言える感情が芽生えます。クリーシーは家庭教師の役も果たすようになりますが、やはり水泳の練習と水泳大会で優勝する場面が前半のハイライトでしょう。
 しかしピタが白昼堂々と誘拐されるという事件が起きてから、映画のトーンは一変しました。怪我から回復したクリーシーは、事件の全貌を解明し、関わったものすべてに復讐するために立ち上がります。その過程がすごかったです。そして、ラストシーン。自分にもう一度、生きる希望を与えてくれたピタのために自分の命を投げ出しました。彼の強さなら逃げて生き延びることもできたかと思いますが、彼は全然そういうそぶりも見せませんでした。やはり人間は人から「純粋な好意」や「無償の愛」を感じたときが、一番うれしいのではないかと思わされました。
 キリスト教精神の尊さ、誘拐がビジネスとして成立することの怖さ、無償の愛の大切さ、甘い汁を吸う組織のズルさなど、善と悪とを併せ持つ人間を見事に描いている作品だと思いました。それにしても、復讐の鬼と化したクリーシーはすさまじかったです。