植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

筆を持たねば上手くならぬ 筆に頼る様では仕方ない 

2022年09月12日 | 書道
書筆を握る時間が極端に減っております。5年ほど前は大変熱心に書道に打ち込み、最低1日2時間ほど稽古をしていました。ところが、2年ほど前に篆刻にのめり込むようになってから、徐々に書く回数や時間が減っているのです。

そもそも、書作品を書き、これに落款を入れるために印が必要になった、という流れだったのに、いつのまにやら篆刻・印作りの面白さを体感し、書道がそっちのけになっております。本末転倒でありますな。これは平仄が合わぬと思って、少し書道に時間を割こうと思ったわけです。

そこで、気分を変えるためにヤフオクで、以前からどうしても欲しかった李鼎和の古筆をとうとう「えいや」とばかり落札しました。「軸」には、「畢(ひつ)李鼎和精選宿浄三羊毫」これは李鼎和のほとんどの筆に表記される字句であります。



書道具関連に造詣が深い芸粟斎さんの「断箋残墨記」には新品で7,500円の販売価格でありました。しかし、時代が違うので、新品として販売される李鼎和も、全く時代物とは別物なのです。細嫩光鋒 (さいどんこうほう)と呼ばれる最高品質の山羊の毛も、昭和の前半で乱獲、消費されたので往時と同等の羊毛は現在ではほとんど採取されません。毛の質は古い時代の方が格段と優れています。また李鼎和さんは1800年代後半に活躍した製筆職人で、後世になればだんだんその特質や拘りが薄れていると思って差し支えありません。1960年頃には「上海工芸」に合併したようです。 中国は、様々な会社や個人事業を公営化した「中華人民共和国」になってから、文房四宝すべてに渡って、極端に品質が低下したのです。

19,600円、これが落札価格でした。だいたいヤフオクの平均落札価格もそんなものです。高すぎず安過ぎず、最高級の物は数十万円とききますから、まぁ良しとしましょう。見た目純粋の羊毛筆ではなく、少し鼬などコシのある毛を混ぜているような色合いです。山羊の毛だけの長鋒は柔らかいために扱いが大変難しい上級者用の筆なのです。断箋残墨記にも、この筆を使うと「2階級特進」となると述べています。その羊毛筆は柔らかい毛質ながらしっかりとしていて、「複雑な線の動きの後でも筆鋒が自然と起きてまとまってくれる」ということです。その高説通りなら、自称準中級者のワタシは、準上級者位になるかも知れない のです。

ついでに、日本の古筆の中では最も上質と信じる「幽玄斎」の中古筆もゲット!。全部で20本ほどまとめての中古筆のうち半数以上が「日本書道協会」と軸に刻まれた学生向けの練習用の普及品で、その価値はほぼ0円。それ以外が12本あり、中に2本が値札35千円(下の写真の一番上)と4千円の「幽玄斎」、「崇山」(写真の真ん中)と銘のある軸の太い羊毛筆が2万円という価格ラベルが残っておりました。この三本だけで十分な価値があるので落札価格5,750円は大変お買い得でありました。また下の二本は、「鼬毛」ですが、これだけの長鋒筆は珍しくなかなか入手できません。鼬は短毛の動物なので、現在ではこれだけの長い毛を確保するのは困難なのです。

次に心機一転で、十分在庫があるにもかかわらず、古い「手漉き半紙漢字用千枚」を落札しました。〇の中にスと書かれた商標は伊予半紙のメーカーで(株)スギウラであります。ここの古い半紙「晃星」@13円、という銘柄の紙はとても書きやすい良質なものであったのです。以来個人的には伊予半紙がワタシのお気に入りで、最近では十川製紙さんと親しくさせてもらっております。
届いた「国風」前述の晃星に比べると、やや古くふっくらと厚みがあるがしっとり感に欠けるので、1,2等下の紙と思えます。

さて準備建ては十分であります。問題は時間がなかなか取れないという事にあります。四の五の言わず書くのが良かろう、筆も紙も上等で、ワタシの事を待っています。

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