「孤高の戦い」第36回NHK大河ドラマ「花燃ゆ」のテーマです。毎週 ふらっと☆Nipponで放送している「花燃ゆ」追走番組のほうはこの「孤高の戦い」を受けて「せわぁない(大丈夫、たいしたことはないという意味の山口弁)」をテーマにしました。
孤高の戦いはドラマ的には高杉晋作のことを指してますが、同時に美和(井上真央=文)のことも含まれていると推察します。そして松下村塾の塾生や妹を通して繰り返し繰り返し「志」と「至誠」という言葉で表現されているのは吉田松陰の生き様です。当時で言えば「日本国の将来」を憂いて志を高くもったということになりますが、「花燃ゆ」のドラマは「日本国の将来」をわかりやすく表現していると感じます。女性作家が3人で書いておられるということもここに来てその意図がはっきりしてきました。
日本国の将来という大テーマは元を辿れば家族からはじまりそれは藩に至り、ついには日本国全体のことになっていくということですが、晋作の奇兵隊の中心メンバーだった百姓、商人といえども幕末はまだまだ家庭のことは顧りみず、男の本懐を果たすことに賭けていたでしょう。逆に長州藩は戦いの連続ですから女性は男子の後方支援的な役割が当時の社会では普通だったと思います。そこに美和(井上真央=文)のような大奥での出世物語を登りつめ、お世継ぎ様の教育を受け持つ女性が描かれる中で晋作や奇兵隊の極限の戦いぶりを知ってなお「せわぁない」という杉家の家訓?!のような言葉が流布していくことがとても女性と日本国を分かりやすく繋いだドラマになっていると感じました。が、実はこれは女性だけでなく現代での男子にもわかりやすいはずです。
アメリカの戦争映画なら戦局が厳しい中にチューインガムでもクチャクチャ噛みながらちょこっとジョークを飛ばしてニッコリと敵を懲らしめるというシーンがよくありましたが、美和(=井上真央)は杉家ではいつも母がそうだったように自分も銀姫や奥女中の方々にサラリと「せわぁない」と言ってのけて姫たちをキョトンとさせます。杉家の日常がそうやって大変な事が起きても乗り切ってきたことが伝わると姫も大奥に集まった良家の子女たちも経験したこともない下々の日々の暮らしの知恵が詰まった一言にホッとするのです。
そして命尽きるようにイギリス軍艦と対峙する晋作は漫画のような物凄い形相をして大勝します。実際に肺を病んでいた晋作は結局松陰より1歳若い29歳で死去します。松陰が撒いた種からまた一つの花が大輪を咲かせて散っていったのです。「花燃ゆ」、なかなか面白く見せてもらってます。
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