花燃ゆ第17回「松陰最後の言葉」を今朝見ました、当日は見れなかったので。前原一誠と井伊大老、そして牢名主に注目していました。
前原一誠は松陰の計画を告げ口したことへの引け目が大きな傷となっていて松陰が江戸送りとなった後はなかなか松下村塾へは顔を出せません。しかし文の心遣いで徐々に塾に戻れるようになり、志を同じうする者が顔を合わせることが力になっていくことを悟ります。文による塾の再生は「一人では弱い」ことを松陰の件で思い知った塾生たちの共通の悩みであり光であったのです。現代の私たちがネットで毎夜つながりをもっているのはこの精神にも繋がってるんではないでしょうか?
井伊大老はついにお白州の場に身を隠しながら松陰の言葉を直に聞きます。きっと己の迷い、つまり本当に条約締結したことが良かったのか、やはり攘夷すべきだったのか?この迷いに直言してくれる存在は今は国広しといえども松陰しかいなかったのです。体面があって幕府の座敷には呼べない松陰が座るお白州に自ら身体を運びます。井伊大老もまた迷える子羊だったのです。
そして松陰の直言に思わずお白州に姿を現してしまいます。正直で真面目な井伊大老が見事に描かれています。しかもそこで松陰と論争してしまいます、かつ敗れます。松陰の視線は牢番に身体を引きづり戻されながらもキリッと井伊大老から視線を外さず下がります。牢名主の松陰へのアドバイス、「裁き人の褒め言葉に注意しろ」を松陰は逆手にとって挑発し井伊大老をおびき出し、怒らせます。そして人生最大のステージで自分を見事に描き切りました!!
その夜、井伊は遠島と書いた文字の上に紙を貼り、死罪と書きます。いい大老こそ松陰の死を最も惜しんだ人でしょう。周りには誰もあそこまで自分を諌める人はいない。唯一の友とも呼ぶべき松陰を自分が殺さざるを得なかった苦悩はいかばかりか?? 今回の大河ドラマもまた実によく書けていると感じました。人物がしっかりと浮き出ています。
最後に牢名主、獄の世界ではツルといわれ、金のことですが牢獄社会ではツルが全てを決めます。松陰も例外ではありません。いよいよ死罪のお沙汰があってから松陰はこの牢名主に家族や同志に書き綴った遺書を託します。しかし、すでにツルは一銭も残ってません。牢名主は問います。「で、ツルは?」「もうありません」「でもあなたを信じて託すしかないんです」と松陰はこの人にも視線を外さず、しっかりと見つめて話します。生涯一人の友も持てなかった牢名主の表情が変わったのはもちろんです。・・・。
「花燃ゆ」はシナリオも演出も毎回充実してきています。きっと視聴率はさらに落ちるんでしょう!! ^^ いいドラマは見られない。前回書いたように当事者として追体験できるかどうかが要です。わたしには「花燃ゆ」は毎回見所が多すぎて見過ごせません。
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