クロの里山生活

愛犬クロの目を通して描く千葉の里山暮らしの日々

蘇生

2014-07-22 00:06:43 | 日記

耕一は船に運ばれ、船倉にかつぎ込まれた。

若い船員が雑炊の入ったドンブリを持ってきた。

温かい雑炊にタクアンがのっていた。

耕一はドンブリを抱えるとそれを夢中で食べた。

雑炊を夢中でかきこみ、タクアンをかじろうとしたら激しい胃痛に襲われた。そして激しい下痢がきた。

もう何日もまともなメシを食べていない耕一の胃袋は、普通の食べ物を受け付けない身体になっていた。

食べた物を全部出し切った耕一は、水を飲んで空腹に耐えた。

 

しかし、それにしても、屋根のある建物の中で寝るのは何日ぶりだろう。

これまでは夜露に濡れながら寝ていた。

身体が冷えて眠れない夜もあった。

地獄の底にいるような孤独の中で朝を迎えたこともあった。

 

だが、今は身体にかける毛布もある。

声をかけてくれる人がいる。

そのことが、いかに有難いことであるか・・・・・。

耕一の目から一筋の涙がこぼれ落ちた。

 

「助かった・・・・」

そう呟いた耕一の口から、やがて安らかな寝息が聞こえてきた。

 

 

80トンの貨物船・愛友丸は月明かりの中で静かにたたずんでいた。

 

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4 コメント

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不思議 (asakawayuki)
2014-07-22 00:30:01
クロさま
どんどん引き込まれて参ります。

お住まいの里山、魅力的な場所ですね。
写真の不思議な石像に見入りました。
お地蔵様でもないようですし、道祖神?
神様には違いないですね。
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おはようございます (里山のクロ)
2014-07-22 09:30:37
ユキさま

早速のコメント有難うございます。
あの石像は個人の家の古い小さな墓地の一番端(入り口近く)に立っています。相当に古そうですね。同祖神になるのかも知れませんね。
なお、本文の一部を若干手直ししましたのでご参考まで。
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カマドウマ (キャンディ)
2014-07-22 10:15:08
カマドウマよ、耕一君の眠りを妨げないでね。人は人の優しさに救われるのですね。優しい人になろうって。今は思う、が、持続出来ない。ほんのちょっとの優しさでも、おせっかいと思われたり、変な時代。それでも、私は「ちっちゃな親切、大きなお世話」と言われても優しい心を持つ人になれる様 、いつかなる。
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クロ様、ブログ拝借 (キャンディ)
2014-07-22 10:36:51
ポポ様、めんどり様。皆様のブログを
お断りせずに、拝読させて頂いております。ネットって怖いなと思っておりました。
皆様の優しい会話、写真に「やさしさ」が、いっはい。眠れぬ夜、気持ちの疲れた時
ホッとします。ありがとうございます。感謝。
クロ様、重ねて、ありがとうございました。
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