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問題解決能力

2018-07-03 00:22:20 | 時事問題

 頭の良さと問題解決能力

*本当に頭がよいというのは記憶力のよさではなく、問題解決能力があることである。

To be really intelligent is not to have a really excellent memory but to have the genuine ability to solve problems.

永井津記夫

 

  財務省に所属する官僚は、他の省庁の官僚に比して最も“優秀で頭の良い”官僚であると言う人が多い。最難関大学とされる“東大卒”が財務省には多数いる。では、この“優秀”や“頭がよい”というのはどういう意味であろうか。はたして、財務官僚などは本当に“頭が良い”のであろうか。

  セクハラ問題を起こした福田淳一前事務次官や森友・加計問題で国会での虚偽答弁をしたとされる佐川宣寿前国税庁長官はそれぞれ東大法学部卒、同経済学部卒である。が、福田前次官のセクハラ問題の表面的対応はあまりにもお粗末であるし、佐川前長官の国会答弁も後でばれるような対応の仕方であり、これもお粗末としか言いようがないように見える。両者とも“頭の良くない”お粗末な官僚であるようにしか見えない。東大卒でこの程度か、と思いたいのであるが、一般の我々には分からない裏の“深謀遠慮”がひっよとしたらあるのだろうか。

  “東大を解体しろ”と“過激”なことを言っている学者がいる。東大卒で中部大学教授の武田邦彦氏である。氏は、東大教授とNHKが結びついて“悪辣な”フェイクニュースを流しているとする。氏は科学者であるが、科学的な問題だけではなく、歴史問題、経済問題、政治問題など広範囲の多数の問題に対してに自身の科学的思考、手法にもとづいて見解を述べている。私は氏の説く全ての見解に賛成というわけではないが(異論のある部分もあるが)、多くの事柄において同氏の見解に賛同し評価している。

  地球温暖化に関しても、武田氏は、ユーチューブなどで、

 地球の気温はここ17年間上昇していないにもかかわらず、NHKは何年にもわたって“地球温暖化(とCO2犯人説)”を主張し続け、そして今になって地球の気温が上昇していないことの言い訳として、解説のために呼んだ東大教授に「ハイエイタス(hiatus=中断)」という言葉を持ちだしてもらい、地球にたまっている熱が深海に吸収され、その結果、地球の温暖化が中断しているというようなだれにも証明のしようのないの考えを示してもらい、自己の誤りを糊塗している。

という趣旨のことを述べ、この考えが誤りであると批判し、NHKと“御用学者”東大教授の悪辣さに言及した。また、武田氏は、NHKが流す、

  日本国の借金が1000兆円を超え、国民の一人あたりの借金は800万円になる。

というニュースは、完全な欺瞞であり、これは、「政府が国民に対して一人あたり800万円の借金を国債という形でしているのに、国民が国に借金をしているように誤解させ、消費税の増税は当然であると国民に錯覚させようとする財務省の悪質な詐欺まがいの行為にNHKが加担している」のだとされる(注1)

  私も、武田氏の言われることに賛成である。“地球温暖化説”はおそらくここ数年前後で誤りであることが確実となり、“地球温暖化CO犯人説”も大きな誤りであることがやがて明らかにされると考えている。また、「国民一人あたりの借金は800万円」という“嘘”を財務省の意を受けてか、国民にばらまき、“消費税の増税は仕方がないこと”という雰囲気を醸成しようとするNHK (だけではなく他の大手のマスコミも含めて) の反民的 (国の大多数の利益にする) な姿勢はゆるしがたいものがある。この姿勢、構造がどこから来ているのか、明らかにする必要があるが、日本のどの政党(共産党から自民党まで含めて)も、どのマスコミ(赤旗からサンケイまで含めて)も明らかにしていないように見える。

  信頼できない政党群が“無党派層”という自民党をはるかにしのぐ最大の政治的(政治不信的?)グループをつくり出し、真実を語らず、嘘(フェイクニュース)、または、嘘にほぼ等しいものも平気で報道し、報道すべき内外の重要ニュースを意識的か無意識的か報道しないマスコミが、多数のマスコミ離れをおこした人々をつくり出していると私は考えている。

  私の周囲を見まわしても、一流の大学を出て文章も書けて読める若者(三十代、四十代前半を含む)の中に新聞を購読しない人たちがかなりいるが、これでは、新聞はやがてマスメディアの資格を失い、崩壊するのではないだろうか。ネットでは朝日新聞が今にもつぶれそうなことを言って騒いでいるが、朝日だけがつぶれるのではなく他の有力新聞もすべて今のままではつぶれるように私には思われる。

  政権は(日本に限らないが)大多数の国民の利益につながらず、一部の既得権益層を利する政策を実施しようとすることは希でなく存在するから、マスコミが国民のために政府を批判することは当然のことであるが、マスコミが大多数の国民の利益を損なう報道を行なうことは許されることではない。日本には「反政新聞(政府の政策に反対する新聞)」は多数あり、これほど政権に対して言論の自由が保障されている国は世界をみまわしてもないのではないかと思われるが、この日本のマスコミは、日本を取り巻く“悪辣な”報道の自由など皆無の独裁国家である中国や北朝鮮、また、“嘘”を平気でつく、反日を国是とする国家である韓国、また、落とす必要のない原爆を二つ広島と長崎に落として、女性、子どもを含めて数十万の日本人非戦闘員を殺した非道の“戦争犯罪”国家米国に対して、批判的な記事を書く勇気のない、(私に言わせれば)“内弁慶、腰抜け”マスコミである。

 むしろ、日本のマスコミは、日本(政府、組織、企業等)の“悪口”を書くことによって(もちろん、事実を書き非難すべき点があれば非難することは当然)相手(外国)に“敬意”を払おうとしているようにも見える。逆に、中国や北朝鮮が日本に流してほしい映像や情報は垂れ流し流してほしくない情報はカットしているように見えることがある(この状況は中国や北朝鮮の意を受けた企業等とテレビ局などが金でつながっているのか、何らかの形で局側が脅かされているのか、それとも愚かな日本人が視聴率稼ぎになると考えて実行しているのか)

  日本人には、「うちの娘は顔もよくないし、頭も悪くて…」と内心はそのように思っていないのに相手にこびるために言う母親がいるが、日本のマスコミも同様の精神を持っているのだろうか。日本人同士には通じるかもしれないが(上の母親の言い方は娘をひどく傷つけるからやめるべき)、外国相手には通じないし、利用されるだけである。

 

  さて、東大卒が“頭が良いのか”という問題を追求したい。私は、東大卒ではないので東大卒の武田氏のように東大を批判すると“変なひがみ根性”ととられかねないのであるが、敢えて言及しよう。

 私は最近まで大阪の府立高校の英語の教師をしていた。京大に数十人の合格生を出す、いわゆるトップ高で教えていたときに、私が実際に教えた中に東大に現役で合格した生徒もごく少数いた(関西圏の生徒で京大に行く者の中に、東大を受験しても合格できるものも何パーセントかはいるが、あえて行かない者もいる。教師も生徒の希望に反して東大に行くように指導したりはしない)。どの程度の学力の生徒が京大や東大に行けるのかは分かっているつもりである。また、昔の話になるが、私が高校生三年生の時、クラスに東大に現役で合格した同級生が2名(M君とT君)いた。この二人は、確かに、“頭がよかった”のであるが(英語の成績は私の方が上であった)、これは、“物覚えがよい”、つまり、記憶力が優れているということであろう。また、勉強を継続する精神力・体力も優れていなければ東大には行けない。ここで、何が言いたいのかということであるが、どのくらいの学力、頭の良さ(=記憶力の良さ)があれば東大に行けるのかということは私は分かっているということである。

  *太平天国の乱はいつ起こったか。

  *『古事記』を編纂したのは誰か。

  *『雨月物語』の作者は誰か。

  *南米パラグアイの首都はどこか。

  *イオン化傾向最小の金属は何か。

  *フレミング右手の法則で中指の方向は何を示すか。

というようなことは(どこかのクイズ番組で出てきそうであるが)物覚えのよい生徒なら簡単に答えられるだろう。が、“物覚えがよい”ということと“問題解決能力がある”というのは別物である。

 物覚えがよければ、百科事典やインターネットで調べれば答が見つかるようなものは、暗記していて即答できるだろう(AI時代に“物知り”であることはそんなに自慢にならない。AIの方が人間より上手うわて)。しかし、答が過去の例から見つからないような問題、答は他のだれも示していない(示すことが出来ない)問題を解決するのは、単なる物覚えの良さだけでは不可能である。問題解決能力がある人物が、本当の意味で“頭の良い人”“有能な人物”ということになる。

 しかし、日本の省庁に問題解決能力のある”頭の良い、優秀、有能な官僚はいるのだろうか。1991年に日本経済のバブル(土地価格の高騰、株価の高騰)がはじけ、いわゆる“失われた 二十年”が始まった。日本経済は、デフレスパイラルのおちいり、不良債権をだかえたいくつかの大手の銀行が破綻し、倒産する中小の会社も続出した。

 もし、財務省(大蔵省)の官僚が“問題解決能力のある”有能な官僚なら、日本の経済はバブル崩壊後、これほど長く低迷することはなかったであろう。東大卒の“物覚えの良い”頭では、バブル崩壊後の対応策をひねり出すことができなかったのである。率直に言って、頭が良いとは言えないのではないか。“答がまだ見つけられていない問題の答を見つけだす方法を考え出す能力”を持つ人物が真に“頭の良い”人物と言えるであろう。

 が、答のある問題を解くことに長けている東大卒の官僚たちの中にどれくらい“(答が容易に見つからない)問題の解決能力のある人物”がいるのか。はっきり言って、官僚の中には一人もいなかったから、“失われた二十年”が生じたのであり、アベノミクスによってデフレスパイラルからの脱却を目指しているけれども、現在も、多数の人たちの実感として物価がかなり上昇しているのに給料はそのままという状況が続き実質賃金が下がり、問題が解決したとは言えない状況が続いているのである。

  デフレスパイラルや現在のような物価上昇と実質賃金の低下を脱却する“答”を見つけるのは、単に“非常に物覚えの良い”優秀と一般に考えられている人たちでも、手に余ることなのであろう。自分たちで答が見いだせないなら、答を見いだすことのできる人を探す必要がある。ノーベル賞に値するほどの見つけ出しにくい“答”なら、たとえ、優秀とされる物覚えにすぐれた東大卒といえども手に負える代物ではないのだ(「ノーベル賞」を判断基準として出しているが、これは世間一般に分かりやすいと思われるからである。最高の評価基準と見ているわけではない)

  “頭の良い”と考えられている東大卒は、世間一般もそのように考え、本人たちもそのように考えていると思われるが、これが大きな問題を引き起こす。自分が頭がよいと考える者は他者の意見を聞くという姿勢に欠ける。“問題解決能力”がないことを認めたくないため、他者の意見を聞こうとせず、いたずらに時を浪費して、より事態を深刻なものにする。1991年にバブル崩壊後、大蔵省官僚たちは適切な手を打てず、事態を悪化させ、「失われた20年」と言われる深刻なデフレ不況を招いた。

  もちろん、一番先に、必死で対策を打ち出さなければならない政治家たちも適切な対応策を出せず、時間を浪費するのみであった。問題解決能力のある、本当の意味での頭の良い政治家か官僚がいれば、このようなことにならなかったはずである。率直に言って、問題解決能力に欠ける“頭の悪い”政治家と“頭の悪い”官僚のために「失われた20年」が生み出されたのだ、と言ったら言い過ぎになるだろうか。

  自分に問題解決する力がないと判断したら、その能力を持つ人を探しだすことも問題解決能力の一つである。ただし、“にせ者”を探しだせば大変なことになる。

  東大卒は確かに一般的な意味で“頭が良い”と言える。記憶力の良さは、人の持つ大切な能力の一つであるが、答が百科事典や、各種の辞典やネットの中で検索できるようなものは本当の“問題”ではないし、その答をたくさん知っていても、それは物知りにすぎない。

  今の日本を取り巻く困難な状況(内政問題、外交問題)は、日本人全体ではね返していかなければならない。本当に知恵があり、日本人の大多数の利益のために行動する、問題解決能力のある人は一億いる日本人の中にいるはずである。そして、自分に問題解決能力がないと判断した政治家と官僚は問題解決能力のある人物を探しだすことが肝要である。探しだして、その人物の解答にそって対処すれば、その政治家、官僚は問題解決能力があるということになる。

  私は東大卒で中部大学で教えている武田教授がなぜ“東大を解体せよ”と過激な意見を吐くのかを今まであまり真剣に考えたことがなかった。最初は、人目を引くため、人気取りのためのアドバルーンかとも思っていたのだが、そうではないようである。

  各省庁には多くの東大卒がいて、主要なポストの多くを占めている。公文書改竄で辞任した佐川前国税庁長官もセクハラ問題の福田前事務次官も、出会い系バーの出入りで物議をかもした前川前文科省事務次官も東大卒であったように東大卒は日本の官僚機構、中央省庁のトップにいて日本の政治に大きな影響を及ぼしている(金、つまり、予算も動かしている)。また、政治家も与野党を含めて東大卒がもっとも多い。これを見ると、東大卒が日本の政治を動かしている、少なくとも、日本の政治に大きな影響を与えていることは確かである。

  そして、教育関係、学校関係でも、東大卒が金と許認可権をにぎり、法務、警察、裁判関係でも東大卒が幅を利かし、金融、銀行関係では東大卒の財務官僚が大きな影響力を持っていることになる。各種の学術会議や専門家会議においても東大卒は大きな影響力を持っている場合が多いのではないだろうか。また、東大教授はNHKの番組に解説者としてよく登場する。

  ここで私が問題にしたいのは、“頭の良い”と考えられている東大卒や東大教授が自分の所属組織において問題解決能力を発揮して国民のためになる仕事をしてくれれば問題はないのだけれども、“頭がよい”というプライドだけは持っていて、その所属組織において“長”などの重要なポストを占めていて実際に起こってくる問題に対処できなければ大変なことである。プライドだけは高くて他にその問題の解決策を聞こうとしなければ、やっかいなことになる。プライドの高い長が問題を解決できないことは我々に大きな不利益をもたらす。それも問題であるが、それだけではなく実際に問題解決能力を持っている人が台頭するのを嫉妬心から妨げる場合が希でなくあると言う人もいる。これは大問題である。無能な長のために多額の国民の税金が無駄に使われたり、国家や国民の重要な情報が外国に漏れるということもある。

  また、東大教授は、その肩書きから東大卒の中の最優秀者というような意味があり、各種の政府関連組織、たとえば、地震予知連絡会、火山噴火予知研究協議会などの会長職などのポストに就いている場合が多い。が、1995年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災において何の予知もできず、当該地域は多数の死者を出し、莫大な損害を被った。この時、地震予知連絡会などは何の予知もできず、“予知”の欺瞞性を感じた人たちは「“予知”する力、能力がないのに、あるかのように装い、国家の補助金を浪費するのは詐欺的行為である」として連絡会の廃止や役員の辞任を求めた。

  “予知”などできないと内心思っているのであれば、「予知連絡会」の看板をはずすべきであるし、「予知はできるが、自分たちにはその能力がなかった」と思っているのであれば地震予知連絡会の会長職や委員の職は辞任すべきであったが、責任をとって辞任したという話は聞かない。

  先にも述べたが、NHKは東大教授をゲスト解説者として自局番組に招き、「地球は温暖化しており、その原因はCOの排出である」との説明をしてもらっていたが、過去17年にもわたって気温が上昇していないことを他の研究者から突かれると、また、東大教授を招いて、「ハイエイタス」という言葉を持ちだしてもらい、地球の気温がほとんど上昇していないことの言い訳にしようとしたと、武田氏は述べる。

  東大教授の“御用学者”は国民の利益に反することをNHKなどと組んで平気で言う、というのが武田氏の主張であり、ここから、氏の“東大解体論”の出てくるのである。“国の大多数の利益にする”ということを“反民(的)”と私は呼んでいる。反民的御用学者の東大教授や反民的東大卒官僚や反民的東大卒政治家が日本をダメにしているとしたら、私も武田氏と同じく“東大解体”を叫びたい。

  学校教育の目的の中に、「(個人の幸福を追求するだけではなく)日本人の(大多数の)利益・幸福につながる貢献をし、世界の平和を目指す人物の育成」という項目を入れるべきであろう。反民マスコミ、反民政治家、反民官僚、反民ジャーナリスト、反民評論家が日本人の中にこれ以上増殖するのを防ぐ必要がある。

  ともかく、“真に問題解決能力のある”政治家、官僚が出てきてほしいし、マスコミや評論家も“真の問題解決方法”を示すべきである。日本国民に不利益をもたらすような政治決定や報道や評論をするのではなく、本当の問題解決法を示すべきである。

※     

 

(注1)武田氏はさらに「消費増税をしても国の借金を返すことはできない」とする。消費税に関して今まで、消費税を3%に設定し、5%、8%と上げてきて、消費の落ち込みとデフレを促進しただけで経済循環を大きく妨げてきたことは確かである。このような増税をするかわりに、人頭給付をしたらよいのではないかと私は考えている。もちろん、消費税は廃止する。“人頭税”とは正反対の“人頭給付(もちろん、将来の納税者である赤ん坊も含む)”をするのである。一人あたり年間いくら人頭給付をするか、何年間継続するかが問題であるが、財源は円札をするだけにする。コストは紙代、印刷代だけだから(実際は、日銀が帳簿操作をすればよいだけ)江戸時代の小判の金の含有率を下げる政策と同じくインフレーションを誘導する政策である。が、現在の日本の巨大な生産力、富の一部への片寄りと世界の経済情勢を勘案すると、大きなインフレにならない可能性が高いと思われる。(参照:http://www001.upp.so-net.ne.jp/itnagaitHP/#%E3%81%AB ;「消費増税より人頭給付」)


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