サタン、ヨブを撃つ』 by ウィリアム・ブレイク
ユング心理学を知らない方にとっては誤解を招きそうだったので一部削除しました。
ただし悪(相対的な悪と絶対的な悪)と善そして影との関係が理解されないときは善を行っても逆に悪を行い破壊的な力を招いてしまう恐れがあるためよく理解していないといけないと感じています。
【新共同訳】
ヨブ
◆事の起こり
1:1 ウツの地にヨブという人がいた。無垢な正しい人で、神を畏れ、悪を避けて生きていた。
1:2 七人の息子と三人の娘を持ち、
1:3 羊七千匹、らくだ三千頭、牛五百くびき、雌ろば五百頭の財産があり、使用人も非常に多かった。彼は東の国一番の富豪であった。
1:4 息子たちはそれぞれ順番に、自分の家で宴会の用意をし、三人の姉妹も招いて食事をすることにしていた。
1:5 この宴会が一巡りするごとに、ヨブは息子たちを呼び寄せて聖別し、朝早くから彼らの数に相当するいけにえをささげた。「息子たちが罪を犯し、心の中で神を呪ったかもしれない」と思ったからである。ヨブはいつもこのようにした。
1:6 ある日、主の前に神の使いたちが集まり、サタンも来た。
1:7 主はサタンに言われた。「お前はどこから来た。」「地上を巡回しておりました。ほうぼうを歩きまわっていました」とサタンは答えた。
1:8 主はサタンに言われた。「お前はわたしの僕ヨブに気づいたか。地上に彼ほどの者はいまい。無垢な正しい人で、神を畏れ、悪を避けて生きている。」
1:9 サタンは答えた。「ヨブが、利益もないのに神を敬うでしょうか。
1:10 あなたは彼とその一族、全財産を守っておられるではありませんか。彼の手の業をすべて祝福なさいます。お陰で、彼の家畜はその地に溢れるほどです。
1:11 ひとつこの辺で、御手を伸ばして彼の財産に触れてごらんなさい。面と向かってあなたを呪うにちがいありません。」
1:12 主はサタンに言われた。「それでは、彼のものを一切、お前のいいようにしてみるがよい。ただし彼には、手を出すな。」サタンは主のもとから出て行った。
1:13 ヨブの息子、娘が、長兄の家で宴会を開いていた日のことである。
1:14 -15ヨブのもとに、一人の召使いが報告に来た。「御報告いたします。わたしどもが、牛に畑を耕させ、その傍らでろばに草を食べさせておりますと、シェバ人が襲いかかり、略奪していきました。牧童たちは切り殺され、わたしひとりだけ逃げのびて参りました。」
1:16 彼が話し終らないうちに、また一人が来て言った。「御報告いたします。天から神の火が降って、羊も羊飼いも焼け死んでしまいました。わたしひとりだけ逃げのびて参りました。」
1:17 彼が話し終らないうちに、また一人来て言った。「御報告いたします。カルデア人が三部隊に分かれてらくだの群れを襲い、奪っていきました。牧童たちは切り殺され、わたしひとりだけ逃げのびて参りました。」
1:18 彼が話し終らないうちに、更にもう一人来て言った。「御報告いたします。御長男のお宅で、御子息、御息女の皆様が宴会を開いておられました。
1:19 すると、荒れ野の方から大風が来て四方から吹きつけ、家は倒れ、若い方々は死んでしまわれました。わたしひとりだけ逃げのびて参りました。」
1:20 ヨブは立ち上がり、衣を裂き、髪をそり落とし、地にひれ伏して言った。
1:21 「わたしは裸で母の胎を出た。裸でそこに帰ろう。主は与え、主は奪う。主の御名はほめたたえられよ。」
1:22 このような時にも、ヨブは神を非難することなく、罪を犯さなかった。
【新共同訳】
ヨブ
2:1 またある日、主の前に神の使いたちが集まり、サタンも来て、主の前に進み出た。
2:2 主はサタンに言われた。「お前はどこから来た。」「地上を巡回しておりました。ほうぼうを歩きまわっていました」とサタンは答えた。
2:3 主はサタンに言われた。「お前はわたしの僕ヨブに気づいたか。地上に彼ほどの者はいまい。無垢な正しい人で、神を畏れ、悪を避けて生きている。お前は理由もなく、わたしを唆して彼を破滅させようとしたが、彼はどこまでも無垢だ。」
2:4 サタンは答えた。「皮には皮を、と申します。まして命のためには全財産を差し出すものです。
2:5 手を伸ばして彼の骨と肉に触れてごらんなさい。面と向かってあなたを呪うにちがいありません。」
2:6 主はサタンに言われた。「それでは、彼をお前のいいようにするがよい。ただし、命だけは奪うな。」
2:7 サタンは主の前から出て行った。サタンはヨブに手を下し、頭のてっぺんから足の裏までひどい皮膚病にかからせた。
2:8 ヨブは灰の中に座り、素焼きのかけらで体中をかきむしった。
2:9 彼の妻は、/「どこまでも無垢でいるのですか。神を呪って、死ぬ方がましでしょう」と言ったが、
2:10 ヨブは答えた。「お前まで愚かなことを言うのか。わたしたちは、神から幸福をいただいたのだから、不幸もいただこうではないか。」このようになっても、彼は唇をもって罪を犯すことをしなかった。
2:11 さて、ヨブと親しいテマン人エリファズ、シュア人ビルダド、ナアマ人ツォファルの三人は、ヨブにふりかかった災難の一部始終を聞くと、見舞い慰めようと相談して、それぞれの国からやって来た。
2:12 遠くからヨブを見ると、それと見分けられないほどの姿になっていたので、嘆きの声をあげ、衣を裂き、天に向かって塵を振りまき、頭にかぶった。
2:13 彼らは七日七晩、ヨブと共に地面に座っていたが、その激しい苦痛を見ると、話しかけることもできなかった。
おおなむちのみこと。
きさがいひめうむがいひめ
大穴牟知 命 (上) ヨブとその妻(下) 大穴牟知命は,八十神の兄弟神によって二 度殺害が試みられ,盛貝比売,蛤貝比売, 母神の三女神によって,再生する。これは, イニシエーションにおける苦行と試練を,また, 死と再生を可能にする原理としての女性の 存在がテーマになっている。したがって,この 絵の女神は、イシュタル,キュベレー, アプロ ディーテー, イシス, アナトに対応している。 わが国では,観音等にもそのイメージが認め
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られるが,その人間化した形態 (アニマ)とし ては、説経節の乙姫,照手さらに世俗化し, 曾根崎心中の遊女お初等がある。イエスとマ - リア像に認められるこのテーマを、キリスト教 成立において重視するユングは「エロスの欠 如があからさまなまでに浮かび上がってい る」(全集II パラ621) ヨブ記の問題がこのシ ンボリズムへいたる精神史の大転換をもたらし た、と考えている。「知恵」が見いだされない ことを嘆くヨブには、人間界でも,「神を呪っ て死ぬほうがましでしょう」と「愚かなことを言 う」妻しかいない。図では,理解のない妻に 水を浴びせかけられている。なお,臨床におい て、分析の場が保護的なうつわとして母胎の 役割をし, アニマ・アニムスの象徴が分析に よって編集されていく。 受聖母被昇天,癒し, テメノス
ユング心理学辞典 創元社 アンドリュー・サミュエルズ 他 p61-62