ユングとスピリチュアル

ユング心理学について。

ユング「心理学と宗教」を読む(第1回)

2021-08-31 01:17:27 | 心理学

ユング心理学研究会

 

2021年9月2日(木)ユングスタディのご案内

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ユング「心理学と宗教」を読む(第1回)

< zoom配信 >

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 去る7月1日のスタディをもちまして、2020年通期企画「ユング『分析心理学セミナー』を読む」全14回が終了いたしました。コロナ感染症の世界的流行により、会場開催の急遽中断からオンライン開催での再開と、なにかと不手際も多い開催となりましたが、なんとか一年半かけてまる一冊を読み終えることができました。これもひとえに、参加された皆様のお力添えによるものです。改めて皆様に厚く感謝申し上げます。

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 ※ これまでのスタディ企画の内容については、こちらで一覧できます。

  https://jung2012.jimdofree.com/スタディ/

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 9月2日からは、2021年度の新企画として、「ユング『心理学と宗教』を読む」を始めます。「心理学と宗教」は、第二次世界大戦勃発の二年前となる1937年、アメリカ・イェール大学での「テリー講義」としてユングが行なった、三部構成の英語講演記録を元にしたテキストです。ユング自身が講演録に大幅に手を入れ、英語版が翌年の1938年、ドイツ語版が戦時下となる1940年に出版されました。

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 先に読み終えた『分析心理学セミナー』は1925年のセミナー記録ですが、ユングはここで、自身の学生時代から話を始め、自分の心理学がいかに成立してきたかを語っていました。ユング心理学の成立と完成を振り返る内容で、いわばユング前半期の総まとめとも言えます。

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 一方で、1930年頃を境にして、ユングの関心は、彼が「自然発生的象徴」と呼ぶものの研究へと移ります。これは要するに、人間の歴史文化の中で自然発生的に現れてきたシンボルに関する研究で、具体的にはキリスト教、錬金術、東洋思想から晩年のUFOまで、様々な歴史的・同時代的なシンボルを読み解く研究になります。

 「心理学と宗教」においては、宗教の本質についての議論から始まり、キリスト教のシンボリズム、マンダラや錬金術などにも言及がなされていきます。ユングの後期研究についての概観かつ最適な入門編として読むことができるテキストです。英語版、ドイツ語版も適宜参照しながら、じっくりと読み進めていければと思います。

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 現状での新型コロナウイルス感染症の流行状況を鑑みて、引き続き会場開催は行わず、zoomオンラインのみでの開催となります。開始時間は、会場開催の場合よりも一時間遅い20時からとなりますので、ご注意ください。

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   案内役:白田信重、岩田明子(ユング心理学研究会)

   司会進行:海野裕美子(同) 資料協力:山口正男

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    第1回:9月2日(木)20:00 〜 22:00 (開場19:45)

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  ■ テキスト: C.G.ユング「心理学と宗教」

        村田詔司訳『心理学と宗教』人文書院、1989.4 所収            

   ・ 適宜、英語原文、ドイツ語訳文も参照します。

   ・ テキストを読んでいない方でも、資料を見ながらの進行なので参加可能です。

   ・ シリーズ途中からでの参加でも全く問題ありません。お気軽にご参加ください。

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  ■ 会場:オンライン開催(zoomミーティングルーム形式)

  ■ 会費:1,000円

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  ■ 参加申し込みページ https://jungstudy20210902.peatix.com

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  ■ 主催:ユング心理学研究会 http://jung2012.jimdo.com/

  ■ 問い合わせ:研究会事務局 jungtokyo_info@yahoo.co.jp


2021-2022年(通期)ユング「心理学と宗教」を読む

2021-08-31 01:11:18 | 心理学

ユング心理学研究会

< ユングスタディ新企画ご案内 >

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2021-2022年(通期)ユング「心理学と宗教」を読む

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【開催概要】

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 2021年度9月からの新企画として、「ユング『心理学と宗教』を読む」を始めます。「心理学と宗教」は、第二次世界大戦勃発の二年前となる1937年、アメリカ・イェール大学での「テリー講義」としてユングが行なった、三部構成の英語講演記録を元にしたテキストです。ユング自身が講演録に大幅に手を入れ、英語版が翌年の1938年、ドイツ語版が戦時下となる1940年に出版されました。

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 先に読み終えた『分析心理学セミナー』は1925年のセミナー記録ですが、ユングはここで、自身の学生時代から話を始め、自分の心理学がいかに成立してきたかを語っていました。ユング心理学の成立と完成を振り返る内容で、いわばユング前半期の総まとめとも言えます。

 一方で、1930年頃を境にして、ユングの関心は、彼が「自然発生的象徴」と呼ぶものの研究へと移ります。これは要するに、人間の歴史文化の中で自然発生的に現れてきたシンボルに関する研究で、具体的にはキリスト教、錬金術、東洋思想から晩年のUFOまで、様々な歴史的・同時代的なシンボルを読み解く研究になります。

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 「心理学と宗教」においては、宗教の本質についての議論から始まり、キリスト教のシンボリズム、マンダラや錬金術などにも言及がなされていきます。ユングの後期研究についての概観かつ最適な入門編として読むことができるテキストです。英語版、ドイツ語版も適宜参照しながら、じっくりと読み進めていければと思います。

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■ 講読テキスト:

  C.G.ユング「心理学と宗教」

  (村田詔司訳『心理学と宗教』人文書院、1989.4 所収) 

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  ・ ドイツ語版および英語版ユング全集第8巻所収の当該論文も参照します。

  ・ テキストを読んでいない方でも、資料を見ながらの進行なので参加可能です。

  ・ シリーズ途中からでの参加でも全く問題ありません。

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■ 開催日:原則として、毎月第一木曜日(1、8月は休止) 20:00〜22:00

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■ 開催方法:オンライン開催(zoomミーティングルーム形式)

      適宜、会場開催の併用も検討します

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■ 案内役:白田信重、岩田明子(ユング心理学研究会)

  司会進行:海野裕美子(ユング心理学研究会) 資料協力:山口正男

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【第1回】9月2日


ユング 「霊の信仰の心理学的基礎」 を読む。ユングスタディ報告

2021-08-31 01:08:26 | 心理学

ユング心理学研究会

ユングスタディ報告

2021年8月5日 特別企画

ユング 「霊の信仰の心理学的基礎」 を読む

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■ 講読テキスト:

  C.G.ユング「霊の信仰の心理学的基礎」安田一郎訳

        (ライン、ユング他『超心理学入門』青土社、1993.10 所収)            

   ・ 適宜、英語原文、ドイツ語訳文、他の邦訳も参照

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● テキストと背景

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 「霊の信仰の心理学的基礎」は、1919年7月4日、ロンドンの心霊研究協会における英語での講演記録です。翌1920年に協会の機関誌に掲載、ドイツ語訳は1928年に公刊されます。その後、様々に加筆や注釈が加えられて、最終となる1948年版がドイツ語版・英語版それぞれの全集第8巻に収録されています。

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 今回取り上げたテキストは、1920年版の邦訳となる安田一郎訳「霊の信仰の心理学的基礎」です。その他、1948年版の邦訳である島津彬郎・松田誠思訳「霊への信仰の心理学的基礎」も適宜参照しています。本論文の邦訳のリストは以下の通りです。

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 1920年版テキスト邦訳:

  安田一郎訳「霊の信仰の心理学的基礎」

   ・雑誌「imago」特集=超心理と気の科学、1990.3

   ・ライン他『超心理学入門』青土社、1993.10(今回テキスト)

 1948年版テキスト邦訳

  島津彬郎(あきら)・松田誠思訳「霊への信仰の心理学的基礎」

   ・『ユング オカルトの心理学』、サイマル出版会、1986.9

   ・『ユング オカルトの心理学』、講談社プラスアルファ新書、2000.6

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 ユングは心霊的なものと深い関わりを持っていました。母方の女性はほぼ全員が霊媒体質という環境で育ち、1902年の博士論文「いわゆるオカルト現象の心理と病理」は、いとこの霊媒ヘリー・プライスヴェルクについてのケーススタディでした。自身も心霊的気質があり、1916年「死者への七つの説教」の元となる出来事など様々な心霊的体験をしています。「霊の信仰の心理学的基礎」講演の翌年となる1920年には、ロンドンで宿泊した家で霊体験をしており、この時の様子をユングは仔細な記録に残しています。

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● 「霊の信仰の心理学的基礎」の内容

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 霊の信仰は、文明人も含めていたる所で広く認められるものですが、ユングは現代のヨーロッパ人特有の状況として、それを心霊的なものというよりも病的なものと理解することにあると指摘します。続いて、霊の信仰の主要な源として、幽霊を見ること、夢や幻想、心の病的障害、魂の観念などが挙げられていきます。

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 その上でユングは、霊的な現象とされているものは、心理学的には無意識の自律的コンプレックスの現れであるとします。無意識コンプレックスは、私たちの内にありながらも、比較的自我からは独立かつ自律的に活動し、自我の活動を阻害するものとして現れる心の特定の部分のことです。そうしたコンプレックスは、自我にとって異質なものなので外のものに投影されてしまい、私たちにはあたかも外界に存在している独立の存在のように感じられます。外界からやってきて私たちを乗っ取ってしまう「霊」とは、実のところ私たち内部の無意識的・自律的コンプレックスであるわけです。

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 またユングは、自身の心理学理論と重ね合わせる形で、霊(spirit)と 魂(soul)という二つの観念を比較します。喪失してしまうと病気になるのが「魂」であり、これは個人のアイデンティティに関わる個人的無意識のコンプレックスに相当します。他方で、取り入れたり、乗り憑られてしまうと病気になるのが「霊」であり、これは自我を圧倒してしまう集合的無意識のコンプレックスに相当します。従って、「魂」を取り戻すこと、「霊」から離れることが、治癒を意味します。

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 ユングは最後に、霊の実在の根拠とされるものは、一般的には心理的産物として説明できる、とします。霊と呼ばれる事実そのものには実在性はあるが、それをいわゆる「霊」が独立に実在する証拠とすることには保留が必要だ、としてこの講演は締めくくられます。

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● ユング自身による問い

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 後になってユングは、この講演の内容について、いくつかの修正を加えることになります。それはひとことで言えば、「霊」を心理学的に理解するだけでいいのか、という問題です。

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 ユングは、1948年「霊の信仰の心理学的基礎」改訂版の注釈にて、「もはや1919年のときほどの確信は抱いていない」「心理学的な研究だけで問題の現象を正当に扱えるかどうか、私は疑問に思う」と書きます。この時ユングはすでに、いわゆる「共時性」の概念を提唱していて、心と物質とを統一的に扱う観点から、心霊的と呼ばれるような現象が物理的に起きうる可能性も認めているからです。

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 またユングは晩年、こうした霊的な問題については、心理学的解釈よりもあえて「霊」の体験として素朴に受け取る方が、むしろ当人にとって意味のあることにつながるのではないかという考えも示しています。現代では、たとえば東日本大震災に関連し、現地での様々な「霊体験」の報告がなされて注目されています。ユングの視点はこれらの体験を、当人の生との関連でどう受け取るかについての示唆に富むものだと思われます。

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※ 画像は、16世紀の魔術師ジョン・ディーによる死霊の召喚を描いた有名な版画です。


私たちの真の使命である「存在」の羊飼いであり監視者であることには関心がありません。

2021-08-30 02:00:37 | 心理学

 

私たちは、遺伝子や宇宙船などの存在に関心があり、私たちの真の使命である「存在」の羊飼いであり監視者であることには関心がありません。だからこそ、私たちは迷い、存在そのものが霞や誤りとなり、無になってしまったのです。-マーティン・ハイデガー

We are more concerned with beings, from genes to space ships, than with our true calling, which is to be shepherds and watchers of Being. So it is that we are lost, and Being itself has become a haze and an error -- nothing.-"Martin Heidegger"

 

記事全文

「世界の闇」

以下は、哲学百科事典のマージョリー・グレンのエッセイ「マーティン・ハイデガー」からの抜粋です。グレンさんは3月に亡くなりました。彼女はサルトルとハイデガーの作品を含む約20冊の本を書いた。

「世界の暗黒化」はハイデガーの絶え間ないテーマです。それで、例えば、ホルツウェーゲ(「ウッドパス」、1950年)で、彼は私たちが知的タスクの計画された体系的な調整の研究の時代に生きていると私たちに話します。そして、どのような種類のタスクを計画および調整できますか?きちんとした、限定された、管理しやすいタスク-主に、理解ではなく創意工夫を必要とするタスク、理論的洞察ではなくエンジニアリングのノウハウのためのタスク。ハイデガーは、純粋科学と応用科学の間に線を引きません。彼にとっての科学は研究であり、研究はよくパッケージ化された問題を解決するための手順です。そのような問題は、一般に、製造の問題であり、新しくより良いガジェットを発明することの問題です。ハイデガーによれば、das Herstellbare、(製造可能)ガジェットのコレクションは、私たちが求めているものです。それが、私たちの社会における専門知識の厳格な部門構造である専門化に相当するものです。それにもかかわらず、この膨大な技術スキルの急増には、その内部の統一性、つまり、歴史的および形而上学的な統一性があります。それこのように起こらなければなりませんでした。私たちが存在から落ちているので、それはこのように起こらなければなりませんでした。私たちは、存在の羊飼いや監視者であるという真の呼びかけよりも、遺伝子から宇宙船までの存在に関心を持っています。ですから、私たちは失われ、存在自体が霞とエラーになりました-何もありません。

"自分の魂を知りたいという願望は、他のすべての願望を終わらせる。" ールミ

“The desire to know your own soul will end all other desires.” Rumi

 

 

"Darkening Of The World"

The following is an excerpt from Marjorie Grene's essay "Martin Heidegger" in The Encyclopedia of PhilosophyMs. Grene passed away in March; she wrote some two dozen books, among which are works on Sartre and Heidegger.

The "darkening of the world" is Heidegger's constant theme. So, for example, in Holzwege ("Woodpaths," 1950), he tells us that we live in the age of research, of the planned, systematic coordination of intellectual tasks. And what sort of tasks can be planned and coordinated? Neat, limited, manageable tasks -- tasks, primarily, that demand inventiveness rather than understanding, tasks for engineering know-how rather than theoretical insight. Heidegger draws no line between pure and applied science. Science for him is research, and research is a procedure for solving well-packaged problems. Such problems are, in general, those of manufacture, of inventing new and better gadgets. According to Heidegger, das Herstellbare, the collection of gadgets, is what we are after; that is what specialization, the rigid departmental structure of expertise in our society, amounts to. And all this vast proliferation of technical skills nevertheless has its inner unity -- that is, its historical and metaphysical unity. It had to happen this way. It had to happen this way because we are fallen out of Being. We are more concerned with beings, from genes to space ships, than with our true calling, which is to be shepherds and watchers of Being. So it is that we are lost, and Being itself has become a haze and an error -- nothing.

 

https://www.philosophicalsociety.com/Archives/Excerpts%20&%20Passages%202.htm#Jung's%20Observation%20About%20People