第８章 挑戦（５）

結果的には丸１年米国に滞在する事となった訳だが、
その時は一刻も早く日本に帰りたいという
思いが強かったので仕方なたっかのだが、

今更ながら思うのは理由はともあれ、
もう１～２年米国にて様々な経験を積み学んでいれば、
その後の人生においても大きな財産となっていた事だろうと思える。

但し、そうでなかったお陰で得た経験もある訳だから、
事実が全て私の人生であり、私だけの人生という事なのかと思う。

それでもかなう事なら、もう一つの可能性という意味での
人生の行き先も見てみたいとも思える程の貴重な体験となった。

アメリカ滞在中の一年間は
何もこんな苦しい思いばかりでもなかった。

日本では感じられなかった楽しみや
思い出も沢山出来たと思っている。

先にも述べたように彼女が来てくれて過ごした数日感はもとより、
休日には日本人スタッフや現地スタッフ等とメジャーリーグを観戦したり、
西海岸の果てなく続くビーチに出かけていきありがたい光景を眺めたり、
皆でサンフランシスコまで小旅行に行ったりしたのは楽しい思い出だった。
今だにまた行ってみたいと思わせてくれる。

また仕事としてニューオリンズまで泊まりがけで
エアーコンベンションに出かけた事もあった。

ミシシッピー川のほとりで黒人の路上パフォーマーの人たちが
ジャズを演奏していたのは独特の雰囲気であり、
西海岸との気候、風土の違いも感じることが出来た。

正直コンベンションの事はあまり覚えていない。
そんなこんなで21歳前後の年齢ではあったが、
この１年は今もって私にとって密度の濃い１年であったし、
本当にそこに居たのは私なのかと思える程の思い出でもある。

・・・つづく

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