12月も半ばを過ぎた 街があわただしくなってきた
僕はいつものように市場を見物していた 色んなものが所狭しと並んでいた
店員が大きな声を出す お兄さん 蟹買ってよ 安くしとくよ
店員に手を振りながら前を向くと 女の子が突進してきた
そして僕とぶつかった 買い物袋が落ちて破れ 卵や肉や色んなものが道に落ちた
ごめんなさい
いや僕こそ 急に前にでて失礼
あーあ この卵と肉はもう駄目だね
僕が弁償するよ
いいんです私が悪いんですから
と言いながらも 困った顔をしている可愛い女の子の手を取って
僕は市場に入った
どの店で買ったの?
ここと そこ
卵は12個だね 肉はどれ
すき焼き用の1050円のを500グラム
僕は両方買って新しい袋を貰った
はい じゃあね 今度は気をつけてね
僕は去っていった
彼女に未練がなくはなかったが ここは後ろ姿を見せるだけにしよう
果たして翌日 市場の前で彼女が立っていた
あなたここの市場の常連さんなのね 肉屋さんで聞いたわ
いつもこの時間 見て回ってると
優しいのね お返しさせてくださる?
今日の夕食でも
それは困る 女性にご馳走になるわけにはいかない
僕がおごる イタリアンでいい?
女の子は思案顔で僕を見てる
はい
と言うわけで僕の前には 可愛い女の子が座っている
こんな日にはワインを張り込もう
ウエイター君 ソムリエを呼んでくれたまえ