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免疫学の最高峰、安保徹教授に学ぶ ”皮膚アレルギー” を根治する 其の壱
免疫学の最高峰、安保徹教授に学ぶ ”皮膚アレルギー” を根治する 其の弐
の続きである
アトピーだけでなくあらゆる病の根源とも言える自律神経についての
安保教授の理論を見て行こう
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自律神経免疫療法の
湯島清水坂クリニックHPより
福田-安保理論
自律神経のバランスの乱れが病気の原因
「福田-安保理論」とは、
自律神経のバランスがくずれることによって免疫が低下して発病し、
自律神経のバランスを整えることで免疫を高めて病気を治すことができるという理論です。
この理論によって、病気の起こるしくみと治るしくみが解明されました。
自律神経とは、我々の意志とは無関係に体の働きを調節している神経です。
夜眠っているときにも心臓が止まったり、呼吸が途絶えたりしないのも、
自律神経が働いているためです。
自律神経には、交感神経と副交感神経とがあります。
日中は交感神経が優位になって血管を収縮させ、脈拍が上がり、呼吸数も増え、
仕事や勉強に精を出すことができます。
反対に、睡眠時や食事中などは副交感神経が優位になって血管を拡張させ、
脈拍をおさえ、呼吸数を減らし、消化を促進します。
このように、交感神経と副交感神経がバランスよく働くことで、
我々は日々の生活を送っています。
この自律神経のバランスがくずれて一方に偏った状態が続くと、
自律神経失調状態になります。
自律神経失調状態が進むと、不眠やイライラ、頭痛、さらにはガンや
リウマチ、アトピー性皮膚炎といったさまざまな病気が引き起こされてきます。
免疫の主役は白血球
ここで免疫のことにふれましょう。
免疫とは体を病気から守るしくみで、主に血液中の白血球がその役割を担っています。
血液中の主な成分は、赤血球、 白血球、血小板などがあります。
赤血球は酸素や栄養を体の細胞に運ぶ役目をします。
血小板は血液を固まりやすくする成分で、血管を修復したり、
けがをしたときのかさぶたとなったりします。
白血球は免疫の主役で、大きく分けて顆粒球、リンパ球、マクロファージ(単球)
があります。
顆粒球は細菌などのサイズが大きな異物を食べて処理し、
リンパ球はウイルスやガン細胞といったサイズの
小さな異物にくっついて処理するという具合に、異物の大きさによって役割が分かれます。
マクロファージは処理した異物と顆粒球やリンパ球の死骸を処理する働きがあります。
ここで大切なのが、顆粒球とリンパ球の割合です。
通常は、顆粒球が約54~60%、リンパ球が約35~41%、マクロファージが約5%
となっています。
日中と夜間、また季節によって割合の変動はありますが、
だいたいこの中におさまっていればよいでしょう。
福田-安保理論は、自律神経と免疫が連動していることを証明しました。
交感神経優位だと顆粒球が増え、副交感神経優位だとリンパ球が増えるのです。
現代人は、ストレスによって交感神経優位の状態が続きやすい環境にあります。
働きすぎ、心の悩み、痛み止めの長期使用などによって交感神経が優位になり、
顆粒球が増えた状態が続きます。
顆粒球の寿命は2~3日で、死ぬときに大量に活性酸素を放出します。
体内の活性酸素の7~8割は顆粒球が放出したものです。
活性酸素はとても大切な働きをしますが、
増えすぎるとその強力な酸化力で臓器や血管などに障害を引き起こします。
動脈硬化、ガンといった症状や病気の引き金となるのです。
加えて、交感神経緊張状態だとリンパ球が減っており、ガンに抵抗することができません。
自律神経のバランスの乱れを正して病気を予防する
したがって、病気を予防したり治したりするには、
自律神経のバランスを整えればよいわけです。
以下のような方は、自律神経のバランスの乱れが生じていると思われます。
●手足が冷える
●首や背中が寒い
●夜眠れない
●夜中に何度も目が覚める
●夜中に何度もトイレに行く
●眠りが浅い
●朝、なかなか起きられない
●朝起きたときに口が渇いている
●食欲がない日が続いている
●肩や背中のこり、はりがある
●汗をかかない
●便秘になる
●やる気がでない
●体を動かすことが面倒だと感じる
●最近、笑っていないと感じる
●顔が紅潮している
このような方は、自律神経のバランスを整えて、血液の流れをよくすることが必要です。
血液の流れが悪くなると、
酸素や栄養を体のすみずみまで十分に運ぶことができなくなります。
また、不要な老廃物を体の各組織から回収し、分解して排泄する力が弱くなります。
以下のことを実行して、自律神経のバランスを整え、血液の流れをよくしましょう。
血液の流れをよくすることで、病気から体を守る力が高まり、
病気になっても早く回復するための自己治癒力(治す力)を高めることができます。
- 体を冷やさない(体を温める)
- 運動して汗を流す
- 食事をとりすぎない
- ストレスをため込まない
- よく笑う
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎といっても、段階によって2つに分けられます。
ステロイドや免疫抑制剤を使う前は、
副交感神経優位のリンパ球タイプの患者様がほとんどです。
しかし、ステロイドや免疫抑制剤を長期に使い続けると、
交感神経優位の顆粒球タイプの患者様が多くなります。
副交感神経優位の患者様は、比較的治しやすいといえます。
運動して汗をかくこと、甘いものや炭酸飲料などを避けて、
足の冷えをとって全身の血流をよくすることで、
リンパ球の比率も理想的な値(35~41%)まで下がってくるケースが多くみられます。
治癒までの期間も短くてすみます。
リンパ球の比率とともに、好酸球の数値にも注意する必要があります。
アレルギー体質の副交感神経優位の患者様は、
好酸球の比率が高いケースが多くみられます。
好酸球の比率が5%以下になるよう、生活を改善していきましょう。
交感神経優位の患者様は、かなり治しにくい状態にあります。
本来は、副交感神経優位のリンパ球タイプだったのが、
薬の副作用によって交感神経優位になっているからです。
低体温、足の冷え、汗をかきにくい、皮膚が赤黒くなる、皮膚が薄くなるなどの状態は、
アトピー性皮膚炎ではなく、ステロイド皮膚炎になっています。
いったん、副交感神経優位の本来の姿に戻し、そこから少し交感神経優位にして、
リンパ球の比率を理想的な値に戻すというプロセスが必要になります。
副交感神経優位のタイプと比べ、治癒までに時間がかかるし、
リバウンドも激しくなるケースが多くなります。
乳児のアトピー性皮膚炎は、初期は脂漏性湿疹から始まります。
この段階で血流をよくしてやれば、ステロイドや免疫抑制剤を使わなくてすみます。
お母さんが、お子さんの全身を乾布摩擦するだけで、血流がよくなり、
症状が改善していきます。
子どものアトピー性皮膚炎の患者様は、脂肪肝の割合が高いという調査もあります。
甘いものの食べ過ぎを避け、肝臓(おなか)を温めるなどして、
肝臓の機能を正常に保つようにしましょう。
アトピー性皮膚炎は、食事や運動などの生活習慣を改善して
自律神経のバランスを整えていけば、自己治癒力によって治っていく病気です。
ただし、ステロイドや免疫抑制剤を使っている患者様や、
生活習慣をどう変えていけばよいのかわからない場合などは、
自己治癒力を高める治療を行う医療機関に相談される のがよいと思います。
症例
40代、女性
経緯:小児期よりアトピー性皮膚炎だった。
いったんよくなっていたが、20代から再発して、
この10年くらいはステロイド外用剤を使用していた。
免疫抑制剤の外用剤であるプロトピックも使用したことがある。
2011年4月に湯島清水坂クリニックを受診した。
初診時:1年前よりステロイドを中止しており、食生活にも気を付けている
(米と味噌汁、野菜中心の和食)。
かゆいのでかゆみ止めの薬を常用。
温まるとかゆくなるのでお風呂には数分しか入ることができない状態。
全身の皮膚が肥厚しており、とてもかゆい状態だった。
その後の経過:かゆみ止めの薬はなるべく使わず、
保湿などの軟膏もなるべく塗らないように指導。
スキンケアの仕方もお教えした。
食事に関してはほぼ問題なく、自律神経免疫療法、 刺絡療法をおこなった。
10年間蓄積したステロイドの毒素を排泄するような治療で、
皮膚の状態は少しずつよくなったが、かゆみは夏の間は続いた。
2011 年秋に入り、かゆみは軽減していった。
不眠になることもなくなった。
2011年12月現在、
皮膚の状態やかゆみの状態はかなりの改善がみられている状態である。
☆アトピーなどのアレルギー疾患は、食生活の改善などにより
「腸」の状態をよくすることが改善のポイントです。
☆長期にステロイドを使用していた方の多くが「保湿剤依存」の状態です。
保湿剤依存の状態がなくなるまで、なかなか改善しないことがあります。
☆ステロイドの内服ではなく、ステロイドの外用剤であっても
、長期に使用すればかなり体の中に「薬の毒素」が溜まっています。
薬を使うことだけが治療ではありません。
体にたまった毒素を排泄させるのが治療のポイントです。
其の四に続く