美の五色 bino_gosiki ~ 美しい空間,モノ,コトをリスペクト

展覧会,美術,お寺,行事,遺産,観光スポット 美しい理由を背景,歴史,人間模様からブログします

こんなにすごい築地本願寺にぜひ行こう_荘厳な本堂と明るいカフェ

2019年01月13日 | お寺・神社・特別公開

東京・築地本願寺は、京都の本山・西本願寺に匹敵するほどよく知られたお寺ですが、案外訪れたことがある人は少ないような気がします。しかし驚くほどに、西本願寺にはない斬新な魅力がたくさん詰まっています。

  • とても存在感のあるエキゾチックな外観の本堂は、昭和初期建築の重要文化財
  • 鉄筋コンクリート造りの本堂の室内は、石造りの教会のように重厚で荘厳
  • 境内の巨大空間からは、東京の大きな空と摩天楼がのぞめ、とてもすがすがしい
  • 参拝者・観光客向けのカフェやショップも充実している、寺とは思えない


銀座のすぐそばにあることは言うまでもありません。立ち寄ると「すごい」と思える寺です。



築地本願寺はそもそも江戸時代初めの1617(元和3)年、現在の日本橋横山町に西本願寺の江戸の拠点となる浅草御堂として創建されました。1657(明暦3)年の明暦の大火で全焼し、幕府による防火対策のための区画整理の結果、現在地の八丁堀”沖”をあてがわれました。埋め立てて「新たに土地を造れ」と言われたのです

神田明神下にあった東本願寺の江戸の拠点・光瑞寺も明暦の大火で移転しますが、あてがわれたのは浅草の西・合羽橋です。豊臣と親密だった西本願寺を嫌った徳川幕府による東本願寺の優遇が、如実に表れたエピソードです。

近くの佃島に多くいた門徒が埋め立て工事を行い、大火から22年後の1679(延宝7)年にようやく再建を果たします。以降は「築地御坊」と呼ばれるようになります。築地とは”埋立地”という意味で、現在の築地の地名はこの工事が由来です。



現在の本堂は、1923(大正12)年の関東大震災で伽藍が焼失し、1934(昭和9)年に再建されたものです。設計は明治~戦前の名建築家で、橿原神宮や湯島聖堂など多くの著名寺社を手掛けた伊東忠太(いとうちゅうた)です。

施工は寺社建築ではトップクラスの実績を誇る松井建設です。松井建設は1586 (天正14年)に加賀前田家の普請のために創業しており、現在最古の日本の上場企業です。現本堂は設計・施工とも当時一流の匠によって手掛けられています。西本願寺の存在感が感じられます。

【築地本願寺公式サイトの画像】 見どころ(本堂の意匠)

本堂の外観は古代インド様式で、両翼の屋根に設けられた鐘楼と鼓楼もストゥーパのようなデザインになっています。一方、堂内は西洋建築の趣が随所に見られます。

通常の木造の寺の本堂には見られない2階建てで、参拝者が本尊に祈るいわゆる外陣部分には、正面の階段を上って入るようになっています。2Fの外陣部分を築地本願寺では本堂と呼んでおり、床は石張りのようなデザインです。靴を脱いで上がる畳はありません。ステンドグラスやパイプオルガンもあります。

天井がとても高く、木のぬくもりが少ないことが逆に、教会のような重厚さと荘厳さを際立たせています。パイプオルガンによるランチタイムコンサートも好評です。世界の優れた文化をとても上手に折衷させた空間です。

【築地本願寺公式サイト】 ランチタイムコンサート


インフォメーションセンターから見た本堂

ひらかれた寺を目指す築地本願寺は、あらゆる人と寺で交流する「「寺と」プロジェクト」に力を入れています。その一環として2017年に、総合案内所やカフェ・ショップのあるインフォメーションセンターを設けています。立ち寄りやすい雰囲気で、セレクトショップを思わせる明るい空間です。

【築地本願寺公式サイト】 「寺と」プロジェクト
【築地本願寺公式サイト】 インフォメーションセンター

巨大な境内の広場で8月に行われる盆踊りも、近年は築地の夏の風物詩としてすっかり定着しています。築地市場の有名店が多く屋台を出店し、近隣のオフィスワーカーらで大変な賑わいです。


境内はメトロ築地駅に直結

築地本願寺と言えば、そのキャパを活かした芸能人や財界人の葬儀会場としてのイメージが小さくありません。しかし訪れてみると実にフレンドリーで、寺のいわゆる堅苦しいとも感じられる雰囲気は全くありません。”おもてなし”精神にあふれています。

仕事中でも、ほんのわずかな時間を割くだけで訪れることができます。行くときっとみんな驚きます。


場外市場は築地本願寺の門前町だった

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



世界で活躍する杉本博司の言葉で日本の名建築を鑑賞する

________________________________

築地本願寺
【公式サイト】 http://tsukijihongwanji.jp

原則休館日:なし
本堂参拝時間:6:00~17:00(4-9月は~17:30)



◆おすすめ交通機関◆

メトロ日比谷線「築地」駅下車、1番出口から徒歩0分
メトロ有楽町線「新富町」駅下車、4番出口から徒歩5分
都営浅草線「東銀座」駅下車、5番出口から徒歩5分
都営大江戸線「築地市場」駅下車、A1出口から徒歩5分

JR東京駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:15分
東京駅→JR山手・京浜東北線→有楽町駅→銀座駅→メトロ日比谷線→築地駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。
※渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


________________________________

→ 「美の五色」とは ~特徴と主催者について
→ 「美の五色」 サイトポリシー
→ 「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 西宮で新"南画"を味わえる福... | トップ | 京都 宝蔵寺 若冲ファンには... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

お寺・神社・特別公開」カテゴリの最新記事