京都の多くの神社や寺でまもなく行われる節分の中でも、平安神宮の北にある須賀(すが)神社でとっておきの演出があります。中身を見ずにタンスにしまっておくとご利益があるという一風変わったお守り、懸想文(けそうぶみ)が売られています。いわゆる恋文、ラブレターにあたります。
- 懸想文は、平安装束で烏帽子をかぶり、覆面をした怪しげな男性から買い求める
- 同じ本殿に、交通安全にご利益がある交通神社が同居する珍しい神社
- 京都有数の節分の名所・吉田神社と聖護院門跡は徒歩圏内、節分巡りに便利
お正月、十日ゑびすに続いて節分です。濃厚な京都の冬の風物詩をお楽しみください。
須賀神社は平安時代の創建で、近隣の岡崎神社が東天王社と呼ばれるのに対し、西天王社(にしてんのうしゃ)とも呼ばれています。北の京都大学と南の平安神宮の中間、聖護院(しょうごいん)と呼ばれるエリアにあります。
懸想文を売る”怪しげな”平安装束の男
懸想文は、平安時代の貴族が小遣い稼ぎのために、身分がばれないよう覆面をして、字が書けない人のために恋文を代筆したのが起源と言い伝えられています。中世には懸想文を売る商売が定着し、男女の仲はもとより様々な良縁を求める縁起物として知られていたようです。
一見”怪しげな”平安装束の覆面姿は、この言い伝えに因んだものです。その後長い間途絶えていたようですが、戦後になって須賀神社が復活させました。現在京都で他に懸想文を売っているところは、ほとんどないと思われます。
懸想文は1通1,000円で、良縁・容姿端麗・商売繁盛に効くと言われます。女性に人気なようですが、男性の私も買い求めました。「中身を見ない方が効く」と言われてはいましたが好奇心に負け、中身を見てしまいました。和歌で気持ちを伝えるような内容が古文調でつづられています。雅な香りが漂う名分でした。「中身を見るとばちが当たる」とまでは言われませんでしたので、よしとしています。
境内はコンパクトで、京都らしい地元の氏子に親しまれる雰囲気を感じます。2日(土)15:00から始まる追儺招福豆まきの前には、境内が人であふれかえります。豆をまく人との距離が近いため、とても親しみを感じます。
節分祭そのものは毎年2日間行われ、参拝と懸想文の販売が行われます。本殿は左側が須賀神社、右側が交通神社という珍しい構造です。2005年に焼失し、再建後に同居するようになりました。そもそも交通神社は、戦後に須賀神社の祭神から分祀され、創建されました。元の同居状態に戻ったと思えると、どこか心がホッコリします。
須賀神社は、京都御所の南端を東西に走る大通りの丸太町通(まるたまちどおり)の一本北側・春日北通(かすがきたどおり)に面しています。春日北通という通り名はほとんど知られていませんが、京都の有名観光スポットが凝縮された通りでもあります。
東大路から東へ向かうと、西尾八つ橋本店→聖護院八つ橋本店→聖護院門跡→須賀神社→金戒光明寺と徒歩10分ほどの間に目白押しです。金戒光明寺から真如堂を通って北へ進めば吉田神社があります。
節分の日は、西尾/聖護院の両八つ橋本店も店頭が華やかになります。京都でも際立って濃厚に節分を楽しめるのが、聖護院エリアです。
門前の八つ橋の二大老舗「西尾」本店(節分の売り出し)
門前の八つ橋の二大老舗「聖護院」本店(節分の売り出し)
こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。
大人も癒されるせなけいこの絵本
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須賀神社
節分祭
【京都市観光協会サイト】 節分祭 須賀神社
会期:2019年2月2日(土)~3日(日)15:00
※暦によって日付がずれる年もあります。
入館(拝観)受付時間:10:00~20:00
※追儺招福豆まきは、2日(土)15:00スタート
※スタート時間は当日の法要・神事の進行や天候に左右される場合があります。
須賀神社
【京都市観光協会サイト】 須賀神社
◆おすすめ交通機関◆
京阪電車「神宮丸太町」駅下車、5番出口から徒歩15分
京都市バス「熊野神社前」バス停下車、徒歩5分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30分
京都駅→地下鉄烏丸線→丸太町駅→1番出口から烏丸丸太町バス停→市バス93/202/204系統→熊野神社前
※京都駅から直行するバスもありますが、地下鉄とバスを乗り継ぐ方が、時間が早くて正確です。
※この施設には駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。
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