奈良県天理市は、宗教団体・天理教(てんりきょう)の発祥の地で、現在も本部が置かれています。数十棟もの巨大な宗教関連施設や教団関連の学校・病院の建物は「おやさとやかた」と呼ばれます。天理市中心部に整然と立ち並ぶ姿は圧巻です。信者でなくても美しさを感じます。
宗教都市としての景観を日本で最も色濃く伝えているのはここ天理です。天理教の信仰対象に敬意を払うことができるならば、一見の価値があります。
神殿に至る参道にあるゲート、鳥居を思わせるデザイン
天理教は、幕末に教祖・中山みきが立ち上げた宗教団体です。全国に活動拠点を持ち、公称信者数は200万人を超えています。天理市という自治体名も、全国で唯一宗教団体名を採用したものです。大規模年中行事の際は10万人規模で全国から信者が集まるため、現在でも近鉄電車は臨時列車を設定しています。「詰所」と呼ばれる信者の収容・宿泊施設が大量に必要なことも、独特の宗教都市としての景観につながっています。
神殿と巨大広場
街並みにしろ、建物にしろ、その大きさにまず驚かされます。日本は都市中心部に市民が集まる巨大な広場や建物がない国であるため、余計にその大きさが目立ちます。
黒い法被をまとった信者たちはとても礼儀正しい
しかし参拝者に対しては、天理教の信者であるか否かにかかわらず、とてもフレンドリーでオープンです。宗教施設の見学に来たからには信仰対象に敬意を払いましょう。誰でも参拝することができます。
【公式サイトの画像】 神殿の参拝案内と建物内の様子
公式サイトの画像を見てください。信仰の中心的な建物は「神殿」と呼ばれ、仏教寺院の本堂に該当します。建物の室内空間の大きさには度肝を抜かれます。複数の建物を連結しているようですが、宗教施設の内部空間としてはおそらく日本トップクラスでしょう。京都の東・西本願寺の御影堂も圧巻ですが、それどころではない規模です。
天理大学附属天理参考館
神殿に至る参道の反対側には、柔道や高校野球の強豪としていられる、天理大学と天理高校があります。があります。神殿から見えるのは、天理大学の博物館である「天理参考館」です。宗教都市・天理を象徴する建物デザインであり、街並みをとても整然かつ荘厳に見せています。外国人がスマホで街並みを撮影している姿もよく見かけるほどです。
「天理参考館」は世界の民族・考古学の展示が充実しています。ぜひ立ち寄ってみてください。
【公式サイト】天理大学附属天理参考館
こうした景観を維持できているのは、教団の結束力と信者の信仰心が強いと思えてなりません。街はとても清潔です。清掃が宗教行為として徹底されているのだと思います。
日本の宗教都市としては、ほかには高野山があげられます。しかし天理は宗教としての歴史の長さでは勝てないだけに、景観の維持を重視しているのかもしれません。だからこそ観る者を惹きつけるのでしょう。
こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。
都市の歴史は人間の進歩の歴史
天理教 教会本部 「初めて参拝される方へ」
https://www.tenrikyo.or.jp/jpn/guide/
※本部神殿と境内の拝観・見学に条件はありません。いつでも無料で拝観・見学できます。
おすすめ交通機関:
JR万葉まほろば線・近鉄天理線「天理」駅下車、東口から徒歩20分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:2時間
大阪駅→JR環状線→鶴橋駅→近鉄奈良線→大和西大寺駅→近鉄橿原線→平端駅→近鉄天理線→天理駅
【天理教協会本部公式サイト】アクセス案内
※この施設には参拝者用の無料駐車場があります。
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