近年、プラスチック製品が身の周りに氾濫し、それらプラスチックが分解してマイクロプラスチックやナノプラスチックになり、それらによる健康被害が世界中で報告されています。"News&Insights"によると、多くの研究者らは、肺と胃を含む体のほとんどあらゆる部位にマイクロプラスチックを発見し、マイクロプラスチックが、なぜ体に有害か疑問を呈しています。なお、マイクロプラスチックは、大陸、海洋の海底、空気や雲の中など、世界中でその存在が分ってきています。また、海洋中のマイクロプラスチックは、魚介類を経て人体に蓄積します。
Raffaele Marfella博士らの研究によると、34ヶ月にわたる追跡研究において、頸動脈にプラークがある患者では、マイクロプラスチックが、心筋梗塞、脳梗塞、死亡などの複合した高いリスクが見出されました。しかし、ナノプラスチックでのそれらのリスクは不明でした。なお、前臨床研究では、ナノプラスチックの心臓血管系疾患のリスク因子の可能性が明らかになっていました。
マイクロプラスチックやナノプラスチックへの暴露対策
●頻回に室内の掃除をし、掃除機で埃を除き、埃の中のマイクロプラスチック繊維を吸わないようにする。●使い捨て可能なプラスチック容器に入った飲料を飲まないようにする。それができないのであれば、プラスチック容器を太陽の光から遮断し、涼しくて、乾燥した環境に置く。プラスチック容器は、温度変化、あるいは摩擦などで容易く劣化します。
●飲み水を濾過する。プラスチックの広範な使用とその汚染により、水にはマイクロプラスチックの微粒子がたまに混入します。家庭用水フィルターは、マイクロプラスチックを含む、多くの汚染物質を減らすのに効果的です。
●プラスチック性まな板は使わないようにする。木製、硝子製、スチール製を使うようにする。
●電子レンジでは、プラスチック容器より硝子製容器でレンジする。あるいは、容器に入れずレンジする。これらの実行により、マイクロプラスチック微粒子が食品に入るのを防げます。
References
Raffaele Marfella, et al. Microplastic and nanoplastic in atheromas and cardiovascular events. N Engl J Med. 2024, Vol390 No10
New study links microplastics to serious health harms in humans. News&Insights/News/2024/01