じじいの引きこもりで、ネタが無いのでこの時期になると
思い出す昔のお話を一席
ワシが20代の頃ルアー釣りをしていた、
その当時、九頭竜でサクラマスがルアーで釣れるらしい、と聞いた
当時はまだまだマイナーでサクラマスの釣り人に出会う事は少なかった
その頃言われていたのが、サクラマスは流心の最深部を遡上するので
「スプーンで底を転がせ」
そう言われていたので、ルアーの消耗も多くそのため、
大和の久留性田を箱買いしていた、箱買いすると全てのカラーが入っているので
レッドヘッドは人気だったが、レインボーと言われるやつは色目が
地味で不人気だった
その日は土曜日の夜に相棒と出かけた
深夜の国道をユーミンのカセットテープをエンドレスで流しながら走り
現地で仮眠をして、日の出と共に釣りだした
支度を終えたワシは河原に降りて本流に急いだ、相棒は少し遅れて付いて来ている、
本流に行く前に2メートル程の副流を通った、その副流の下にはちょっとした
プールを形成していた、
ワシが本流でキャストしだしたころ、相棒が何故かそのプールにキャストしていた。
「バカヤローゴールデンタイムに余計な事をしているんじゃねぇ」
そう思っていると、相棒がヒットしたらしい、
「そんな所で投げるからニゴイがヒットしたのだろう」
としか思わなかったが、ランディングした相棒がいきなり
郡上踊りを踊りだした
ワシが駆け付けると、60オーバーのシルバーメタリックなサクラマス
が横たわっていた、
そしてその口にはレインボーカラーの久留性田があった
なんで?と聞くと
「とりあえず無くしても惜しくないこれを初めに使った」
らしい・・・
それ以後レインボーは奴のお気に入りになり、釣具屋の棚に並んでいると
必ず買っていた
そのサクラマスは当時はやりだしたはく製になり、今でも奴の家に
飾ってあるが、少し痩せてシルバーメタリックの魚体がネズミ色に塗られて
まるでドブ川で釣った巨大なウグイにしか見えない
ワシはそれを
桜ウグイと呼んでいる