(1984/ロバート・ベントン脚本・監督/サリー・フィールド、ダニー・グローヴァー、ジョン・マルコヴィッチ、リンゼイ・クローズ、エド・ハリス、エイミー・マディガン/112分)
大恐慌さなかのテキサス。保安官である夫を事故で亡くした未亡人エドナ(フィールド)が幼い二人の子供を抱え、ローンの支払期限が迫っている家を手放すまいと、流れ者の黒人を雇い、綿花栽培を始めるという話。【原題:PLACES IN THE HEART】
ローン担当の銀行マンは、価格が下落して綿花農家が次々と倒産する中、素人が手を出すのは無謀だと止めるが、エドナは年に一度の収穫一番乗りの賞金も合わせて取れればローンを乗り切れると言う。家事と育児だけに専念して外で働いたことがない彼女の必死の頑張りと、周囲への優しい心配りがじんわりとした感動を呼び起こす。
同じ町に美容室をやっている姉が居て、彼女の夫と友人夫婦の奥さんとの不倫話も平行して語られるが、二つの話の相乗効果のようなものは生まれなかったような気がする。私の知らない宗教的な意味でもあるのでしょうか。その点が作劇的に疑問符が残るところ。不倫のきっかけが描かれていないので、ラストで元の鞘に収まるのも落ち着かない結末でした。
美しく時代色豊かな映像と登場人物の細やかな心情描写。中盤では竜巻が発生するというスペクタクルもある。
但し、前半ではショットの繋ぎによる時間経過の表現が不足していた感があり。ニューシネマ以降、フェードなどのオプチカル処理したショットの繋ぎが減りましたが、時間経過を感じさせる必要のあるショット編集は無くして欲しくないもんですな。
サリー・フィールドは以前ポートレイト問題にあげた女優さん。ボインちゃんでもとびきりの別嬪さんでもない、隣のミヨちゃん的可愛さの人なので、何処にでもいそうな女性が不幸に見舞われ、涙をこらえながら前向きに生きている健気な様子がお似合いでした。
長男坊主が小学校で煙草を吸っているのがばれて先生に連れてこられる。母親はこんな時パパはどうしていたのと聞き、息子は父親からの折檻を細かく母に教える。台所のテーブルに掴まり、皮の鞭で10回。息子は泣きながら部屋に戻っていき、母もキッチンで泣いている。可愛い子供を叩くなんて・・・。
『(折檻は)二度としないわ』
「カラーパープル」ではヒロインを虐めたダニー・グローヴァーが、ここではヒロインを助ける流れ者。名前がモーゼスというのも意味深だ。
仕事も今日の食事にさえも窮していたモーゼスが、エドナの家の戸を叩き、食事にありつく。屋根と食事さえあればと雑用仕事を申し出るも、エドナにはそんな余裕はない。『お持ちの土地で綿花を作ればお金も稼げますよ』の声も彼女の頭には入らない。
彼女の隙を見て食器を盗むが、後で警官に連れてこられる。エドナの『彼は使用人です』の一言で彼は救われ、エドナはモーゼスに綿花栽培を手伝って欲しいと言う。
5歳から綿花取りをしていたというモーゼスは、種の買い方から教えていくが、仲買人は女と黒人相手に駆け引きされるのが気にくわない。まだまだ古い田舎町。モーゼスにはつらい未来が待っていた。
これが映画デビューのジョン・マルコヴィッチは、エドナの家に下宿する盲目の男ウィル。ローン担当銀行マンの義弟で、目は先の大戦での負傷だった。箒や椅子の手作りで多少の収入があり、義兄は少しでも収入の足しになればと彼を連れてくるが、要するに厄介払いが出来て一石二鳥。ウィルも最初はエドナ達と距離を置いているが、段々とエドナの優しさが分かり、家事なども手伝うようになる。
リンゼイ・クローズはエドナの姉マーガレット役。
不倫夫がエド・ハリスで、不倫相手はエイミー・マディガン。マディガンはエドナの子供も通う町の小学校の先生の役でした。あの「フィールド・オブ・ドリームス」の明るい奥さんとは全然違うイメージでありました。
尚、この不倫カップルは私生活ではこの映画が縁で撮影中に結婚したとのことです。
1984年のアカデミー賞で、作品賞、監督賞、助演男優賞(マルコヴィッチ)、助演女優賞(クローズ)等にノミネートされ、主演女優賞と脚本賞(ベントン)を受賞しました。
その他、全米批評家協会賞、NY批評家協会賞、ゴールデン・グローブ等でも数々の賞に輝いた名作です。
大恐慌さなかのテキサス。保安官である夫を事故で亡くした未亡人エドナ(フィールド)が幼い二人の子供を抱え、ローンの支払期限が迫っている家を手放すまいと、流れ者の黒人を雇い、綿花栽培を始めるという話。【原題:PLACES IN THE HEART】
ローン担当の銀行マンは、価格が下落して綿花農家が次々と倒産する中、素人が手を出すのは無謀だと止めるが、エドナは年に一度の収穫一番乗りの賞金も合わせて取れればローンを乗り切れると言う。家事と育児だけに専念して外で働いたことがない彼女の必死の頑張りと、周囲への優しい心配りがじんわりとした感動を呼び起こす。
同じ町に美容室をやっている姉が居て、彼女の夫と友人夫婦の奥さんとの不倫話も平行して語られるが、二つの話の相乗効果のようなものは生まれなかったような気がする。私の知らない宗教的な意味でもあるのでしょうか。その点が作劇的に疑問符が残るところ。不倫のきっかけが描かれていないので、ラストで元の鞘に収まるのも落ち着かない結末でした。
美しく時代色豊かな映像と登場人物の細やかな心情描写。中盤では竜巻が発生するというスペクタクルもある。
但し、前半ではショットの繋ぎによる時間経過の表現が不足していた感があり。ニューシネマ以降、フェードなどのオプチカル処理したショットの繋ぎが減りましたが、時間経過を感じさせる必要のあるショット編集は無くして欲しくないもんですな。
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サリー・フィールドは以前ポートレイト問題にあげた女優さん。ボインちゃんでもとびきりの別嬪さんでもない、隣のミヨちゃん的可愛さの人なので、何処にでもいそうな女性が不幸に見舞われ、涙をこらえながら前向きに生きている健気な様子がお似合いでした。
長男坊主が小学校で煙草を吸っているのがばれて先生に連れてこられる。母親はこんな時パパはどうしていたのと聞き、息子は父親からの折檻を細かく母に教える。台所のテーブルに掴まり、皮の鞭で10回。息子は泣きながら部屋に戻っていき、母もキッチンで泣いている。可愛い子供を叩くなんて・・・。
『(折檻は)二度としないわ』
「カラーパープル」ではヒロインを虐めたダニー・グローヴァーが、ここではヒロインを助ける流れ者。名前がモーゼスというのも意味深だ。
仕事も今日の食事にさえも窮していたモーゼスが、エドナの家の戸を叩き、食事にありつく。屋根と食事さえあればと雑用仕事を申し出るも、エドナにはそんな余裕はない。『お持ちの土地で綿花を作ればお金も稼げますよ』の声も彼女の頭には入らない。
彼女の隙を見て食器を盗むが、後で警官に連れてこられる。エドナの『彼は使用人です』の一言で彼は救われ、エドナはモーゼスに綿花栽培を手伝って欲しいと言う。
5歳から綿花取りをしていたというモーゼスは、種の買い方から教えていくが、仲買人は女と黒人相手に駆け引きされるのが気にくわない。まだまだ古い田舎町。モーゼスにはつらい未来が待っていた。
これが映画デビューのジョン・マルコヴィッチは、エドナの家に下宿する盲目の男ウィル。ローン担当銀行マンの義弟で、目は先の大戦での負傷だった。箒や椅子の手作りで多少の収入があり、義兄は少しでも収入の足しになればと彼を連れてくるが、要するに厄介払いが出来て一石二鳥。ウィルも最初はエドナ達と距離を置いているが、段々とエドナの優しさが分かり、家事なども手伝うようになる。
リンゼイ・クローズはエドナの姉マーガレット役。
不倫夫がエド・ハリスで、不倫相手はエイミー・マディガン。マディガンはエドナの子供も通う町の小学校の先生の役でした。あの「フィールド・オブ・ドリームス」の明るい奥さんとは全然違うイメージでありました。
尚、この不倫カップルは私生活ではこの映画が縁で撮影中に結婚したとのことです。
1984年のアカデミー賞で、作品賞、監督賞、助演男優賞(マルコヴィッチ)、助演女優賞(クローズ)等にノミネートされ、主演女優賞と脚本賞(ベントン)を受賞しました。
その他、全米批評家協会賞、NY批評家協会賞、ゴールデン・グローブ等でも数々の賞に輝いた名作です。
・お薦め度【★★★=一度は見ましょう、出来れば二度 】
初めて観ましたがとても満足しました。
いささか辛い場面もあるのですが
徹底的にやらないのが、いい。
ベントン監督はとても配役にこだわる方だそうです。
でも一旦決めると役者さんを信じて自由な演技にまかせるとか。
「ノーマ・レイ」と「ミセス・ダウト」ぐらいしか記憶に残って
いませんでしたがこの作品のサリー・フィールドよかったですね。
「あなたはどういう外見をしているの?」と
ウィルに聞かれてはみかみながら自分の容貌を
語るシーンも素敵でした。
先程シュエットさんチにお伺いしてまして、あちらは「クレイマー、クレイマー」のアップでした。
なんだかベントン祭りみたいになってます。^^
>ウィルに聞かれてはみかみながら自分の容貌を語るシーンも素敵でした。
妄想の十瑠さんの語るところによると、モーゼスが居なくなった後、二人は助け合いながらイイ関係になったらしいです。
「ノーマ・レイ」も録画して有るんですが、放置状態。続けてみるとごっちゃになりそうですね。
「ミセス・ダウト」は時々「トッツィー」とごっちゃになります。
これも放映されてましたよね。綿花栽培の辛さとか黒人差別とかKKK団(だったっけ?)の襲撃とか、上のJIJI姉ではないけれど、辛いシーンもあるので、今回はスルーでしたけど、でもとてもいい作品。
開拓時代は女性も頑張ったんだ。
アメリカの開拓の歴史の一つの物語でしょうね。盲目の役でマルコビッチがいい役してましたよね。
「ミセス・ダウト」もベントン監督でしたっけ。
本作は記事アップしてないのですが、同じくアメリカの開拓を描いたマイケル・ウィンターボトム監督の「めぐりあう大地」TBもってきました。
ごっちゃになるのは、「トッツィー」もアレも女装した男性が出てくるからです^^
「めぐりあう大地」は未見なので後日読ませていただきます。
ただ、「プレイス・イン・・・」は開拓時代ではなくて、20世紀の話ですね。「怒りの葡萄」とか「二十日鼠と人間」の時代。
日本の今と似たような状況なんでしょうか。やですねぇ~