緊張する事が続いていた。
ひと仕事を終えて、
ホッとしながら、坂道を下り、
目の前の海へ。
海へ向かいながら、
不思議な気持ちになった。
何も考えなくない。
何かが嫌になった訳ではない。
でも、全てを投げ出したような、
ヤケになった時のような。
「もういいや」
と言う感じ。
海に行けば元気になるかも、
と思った。
でも、海を目の前にしても
海が眩しくて、
なんだか、光が心に刺さる。
まともに見る事ができない。
波の音が賑やかだった。
その音から逃げたくなった。
いつもは、波打ち際を歩くけれど、
今日は松林に向かって歩いた。
足元に小さな小さな子供の足跡。
周りに、子供はいない。
キュッキュッと
砂浜の感触を楽しんだ様子を想像する。
かわいい笑い声が聞こえて来そう。
何故か切ない気持ちになる。
松林から眺める海。
波の音は聞こえない。
歩いて数分なのに、音が聞こえないだけで、
海が遠く感じる。
葉枯れた松の葉が降り積もっている。
夕方の光が斜めに差し込む。
赤い床と青々とした松葉。
松葉も生まれ変わりを繰り返している。
そんな自然の中に自分はいる。
今日は疲れている。
松林の落ちた枯葉は赤、
緑の松葉、空と海の青。
何を観ても、
少し、寂しい。
こんな日もある。