
海へ。
誘われるように向かう。
雲の間から光が差し、
地面は白く光る。
青く深い海を中心線にして、
天井の雲も白く光る。
草の緑が鮮やかで、
雲が地面に緑色の影を映しているよう。
青い空との色の対比が美しい。
ワクワクしながら海に近づく。

海の前に立つ時の気持ちが
私の基本。
基本に帰ろう。
そう思いながら海を眺める。
さっきのワクワクした気持ちはなくなる。
近づくと海の青さが心に迫る。
海の深さを感じる、
深い深い色。
とらえきれない。
青、緑、赤、白、黄色、全ての色がある。
海も空もいつだって想像以上。
空も海もあまりにも深く大きい。
その姿に身をまかせると、
ただただ謙虚な気持ちになる。

空の大きさ
海の広さを
精一杯に感じる。
どこまでとどこまでも広い。
空に包まれ、
海に身を任せる。
ふと白いカモメが一羽、海に浮かんでいる。
青い海の小さな小さな白い点がとても目立つ。
空から見れば、
光る波の色に紛れてしまうのか。
その真っ白な色にも何か意味があるのかもしれない。
ぷかぷかと浮いている。
カモメは海に浮かぶ事を気持ち良いと思うのか?
ひとりがさびしいのか。
いつも餌を探しているのか。
敵におびえているのか。
ただ必死に生きているのか?
生き物はみんな必死だ。
必死にならなくても生きていける、
そう勘違いしているのは人間だけかも。

青かった空があっという間に曇って行く。
青い海も白くなった。
海に来てから、数分しか過ぎてない。
空模様が変わっていき、
海はどんどん白くなる。
海はその深さではなく、
空の白さを映す。
さっき私が観ていたのは、
海の深さではなく、
空の高さだったのか。
深い深い海が
高い高い空を映す。

海岸の反対側は
きっちり並ぶ松林。
真面目に誰かが植えてくれた。

前回の台風のためか一本折れてる。
まだ若い何年目の松だったのか。
悲しい気持ちになる。
気がつかないところで、
松が、誰かが、風から人を守ってる。
筑肥線は海岸線の近くを走る。
続く松林が風から電車を守っているのかと思う。

湾の中は白砂が海水に混ざり乳白色になり、
海がまた、違う表情を見せる。
海岸線には、
流れ着いた枝が落ちる。
美しい海にもゴミはある。
でも、圧倒的に美しい。
日常もあれこれ細々気になる事があるけれど、
いつだって、
空は広く海は深く美しい。
その基本を思い出す癖をつけよう。
帰る頃には少し雨が落ちてきた。
空模様はどんどん変わる。
いちいち、騒がず、
雨の時は雨を楽しみ、
晴れた時は美しい青空を思いっきりよろこぼう。
ホームページでmaruの絵を紹介してます→http://maruartworks.com/