卒業式の日に僕は夕刻まで学校の中にいた
ひとり最後の坂道を下っていた
遠く見れば見慣れた水平線に真っ赤な夕日が静かに沈む
太陽と月が少しずつ入れ替わり
いつの間にか僕が住む海沿いの街の家々に明かりが灯(とも)る
僕は坂の途中で足を止めて高校最後の沈む夕日を眺めていた
なぜだろう気付かぬ間に涙が流れだした
流れる涙を拭う事無く移り行く街を眺めながら
僕の心はギュ~ッと締め付けられた
ココからドコへ行こうか・・・
その先はドコへ続くのか・・・
どうしてだろうこの悲しい気持ちは・・・・・・
みんな同じなのだろうか?!
今まで家族みんなで暮らした家から明日僕は電車を乗り継ぎ遠い街へ行く・・・・
ガミガミうるさく話す母の声も遠く成る
何も言わず黙って僕の話しを聞いてくれた優しい父は
昨夜僕に話してくれた
「明日が終わった次の日から、お前は私達と同じだ!、社会人として沢山学び沢山努力しなさい!、それでも一息は必要だ!、その時は家へ帰って来なさい、母さんも安心するだろう、だが私は時がくれば帰れと言うがね・・・」
父はそう話しながら笑っていた
僕は気付いて居なかった!
家族がこんなのも優しい存在だったなんて・・・・・
街の家々に明かりが灯る
あの中に僕の大切な家族が居る
高校を卒業して家族からの自由を求めた
だが違うと言う事を父の言葉から学んだ!
きっと僕はひとりに成る意味を間違えていたのだ
父から聞いた言葉の意味
一息付きたくなったら帰っておいでと話した父の優しさ
だから僕は悲しく成ったのだ!
ひとりの寂しさを父が教えてくれたのだ!
だから僕は誓った!!
僕に出来る事を最後までやりとげると・・・だからお願いひとつ
笑顔で「ただいま」を言える迄・・後もう少しだけ・・・
いつか父か話してくれた
本当の意味で社会人と成るその日迄の遠い道乗りを進む為に・・・
ただもう少しだけあなた達の子供で居させて下さい
必ず甘言を消して
ひとりで歩き出すと決めたから!!
ありがとうをあなたへ〆