新・アドリアナの航海日誌

詩と散文、日記など。

浮雲

2010-12-02 22:23:51 | 感受性の木


こころの草原に
よぎるひとつの影
浮雲よ

(私はずっと君と一緒だったような気がする)

ふるさとも
帰るところもなかった私の
願いや郷愁や失望の雲

(人にとって雲はいつでもそうなのだろうか)

感受性の木はいつもひとりで在る
暖かい春の野ではなく
むしろ木枯らしの荒れ野に

(そこに在ることは決して不幸ではない)

浮雲の影のように
愛しいものたちが
寄り添っては通りすぎるのだから


(詩集『感受性の木』2)
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