新・アドリアナの航海日誌

詩と散文、日記など。

舞踏会に行けないシンデレラ

2024-03-17 06:17:20 | ポエム
舞踏会に行けないシンデレラ

カボチャの馬車にのって
シンデレラは舞踏会へ行くものよ
どんな絵本にも
そう書いてある
そして
すてきな王子さまに出会うの

そんな物語を夢見ていたわ
けれどわたしは
舞踏会に行けないシンデレラ
今日も残業
カボチャの馬車じゃなくて
通勤ラッシュの満員電車

でもいつか
ガラスの靴をもって
探しに来てくれるかしら
美人じゃないけどわたしは
こころやさしいシンデレラ
灰のなかから
夢をみつけられる

カボチャの馬車にのって
シンデレラは舞踏会に行くものよ
そしていつかきっと
すてきな王子さまに出会うの


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物語詩「青い花」

2024-03-17 06:15:23 | ポエム
物語詩「青い花」

目次 手紙
   迷える羊
   青い花
   魔王の影
   道しるべ
   はるかなるポルトガル
   月の浜辺
   泉のほとり
   魔法のランプ
   愛は
   



手紙

ある日わたしに
届いた手紙
文字のない
真っ白な手紙

ひらくと
風の音がした
波の音がした
遠いくにの香りがした

ひらくと
誰かがわたしを
呼ぶ声がした
それはあのひとの声

すべてがわたしを
旅へとさそう
すべてがわたしに
旅立てという



迷える羊

わたしはストレイ・シープ
迷える羊
群れから離れて
野をさまよう
菩提樹のそばで憩い
せせらぎの水を飲み
星空の下で眠る

わたしはストレイ・シープ
迷える羊
きっとどこかで待っている
探し求めるひとは
どんなに遠くとも
いつかたどり着こう

わたしはストレイ・シープ
迷える羊
群れから離れて
野をさすらう



青い花

どこかに
はるかな荒野(あれの)に
咲くという
まだ誰も見たことのない
青い花

月のしずくをあびて
一夜(ひとよ)だけ
野に咲くという
青い花をさがして
旅だったひと
いまはどこに?

どこかに
はるかな荒野に
咲くという
まぼろしの青い花
それはどこに?


 魔王の影
 

暗い森をおおう
大きな影
あれは魔王
魔王の影
白いフクロウをお伴に
旅人を襲う
愛を憎む王は
愛し合うものたちを
引き離す
闇のなかを歩むわたしに
襲いかかる大きな影
黄泉の国へと
わたしを突き落とす
おそろしい魔王の影



道しるべ

人生は
道しるべのない旅
一通の手紙を胸に歩く
いまはただ
風と星を頼りに



はるかなるポルトガル

ゆっくりと
坂道をのぼれば
ひろがる美しい海

街には
ファドの歌声
オレンジの香り

はるかなる西の果て
ひとを訪ねて
ここまでたどり着いた

岬に佇めば
荒々しい風が
すべて忘れよという

ああ
ポルトガルの海よ
あのひとはどこに



月の浜辺

月の浜辺あるけば
潮風が頬をなでる
空にはまたたく
サザンクロス

月の浜辺あるけば
足元によせる細波(さざなみ)
寄せてはかえす
銀のレエス

眸とじれば
椰子の葉のざわめき
熱くよみがえる
ひとの面影




泉のほとり

泉のほとり
疲れたからだ休めて
冷たい水を飲む

水よ 水よ
空を映しているように
置いてきた
あの街を映してほしい

水よ 水よ
映してほしい
あのひとの姿を
これから歩む道のりを

この美しい水の鏡に
水よ 水よ
こころあらば


魔法のランプ

どこかにあるという
どんな願いもかなえる
魔法のランプ
暗い森の奥深く
ナイチンゲールの鳴く
樹の枝に
あるいはそれは
小川のほとりの蛍(ほたる)草(ぐさ)

どこかにあるという
どんな願いもかなえる
魔法のランプ
あるいはそれは
窓辺にともるちいさな灯り
あるいはそれは
時の扉のむこうに
ひっそりと咲く青い花

愛は

愛は駆けてゆくだろう
どこへでも
愛は超えてゆくだろう
時の扉さえ

愛は一通の手紙
愛は道しるべ
愛は心を映す泉
愛は魔法のランプ

そしていつかきっと
愛は見つけるだろう
さがし続けるひとにだけ
その姿をみせる
まぼろしの青い花を




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降り始めた雪に

2024-03-17 06:08:25 | ポエム
降り始めた雪に

ひらら ひらら
てのひらに
ひらら ひらら
並木の木々に
ひらら ひらら
家々の屋根に
ひらら ひらら
町いちめんに

いつのまにか雪が
真っ白に
世界を変えてゆくなら
いつのまにか雪が
町中を眠らせてゆくなら

この思いも
雪の中に埋もれて
ちいさな結晶になるだろうか
いつか
凍れる花のように
雪のなかに咲くだろうか
ひらら ひらら
ひとひらの
うつくしいことばになって
あのかたの胸に届くだろうか
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