堺市立図書館にあると以前のブログで書きました
「仕事!」晶文社 スタッズ・ターケル著
私の勘違いで、大阪府立図書館にあります。堺市中央図書館でも取り寄せてもらい
借りました。(以下写真の本)
700ページ以上の本です。様々な職業人にインタビューしていますが
ある職種の人は除外しています、
それは巧妙な弁舌、プロのおしゃべり(ジャーナリスト・牧師・政治家・医師・物書きetc)
はインタビューに入っていません。
様ざまな職種の中で働く人間の苦悩は多いものですが、
しかし、その中でも少ないですが、
じぶんの日々の仕事に魅力を発見している幸せな人もあります。
例えば、自分の作品を見て満足していたインディアナ州の石工
気持ちの良い音を求め手に入れるシカゴのピアノ調律師
ひとつの命を救うブルックリンの消防士・・・・・
これら少数の職業人に共通するもの、ターケルは書の中でこう書いています。
「仕事そのものというより、その人の人柄が感じられる」
「賃金以上のそれをこえる立派な仕事をしようとする意志だ。」と。
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p698より引用
消防士 トム・パトリック
『おれはガキのころ、高いところがすごく苦手だった。消防署にいると、五階のビルにロープ一本
からだにまいてのぼらなくちゃならない。
ビルからとびおりたりもする。
ロープは1600ポンドでも大丈夫に出来ている。自分の肉体に自信があり、
仲間が支えてくれるってわかってれば、こわくなんかない。
大勢に見つめられながら仕事をするわけだ・・
先月、おれが非番の時、第二警報が鳴った。
大急ぎでかけつけると、消防士が数名屋根にいるのがみえた。
まわりから煙がでてる。炎が見える。
でもやつらは中へ入っていく。それが俺をワクワクさせやがるんだ。
チキショー、おれも同じことをやってやるんだって。
やつらの表情に、おれはまるっきりイカレちまう。
やつらにみている、その誇りってのがおれにも見えるんだ。
このクソくらえの世界はどうしようもなくクソくらえだ。
この国もクソくらえだ。
でも消防士。
こいつらはべつだ。
やつらはなにかを生み出している。それが現実にみえる。
火を消すのがみえる。
手に赤ん坊をかかえて出てくるのが見える。
人が死にかけていれば、口うつしをするのが見える。
こいつだけはごまかしようがない。ほんものさ。
おれはそうなりたいんだ。
銀行で働いたこともあるけどね。
わかるだろう、紙ばかりさ。
そんなのは、ほんものじゃない。
九時~五時、クソくらえだ。
数字ばかりにらんでいる。でもおれはふりかえって、こういうことができる。
「おれは火を消すのに手を借した。おれはだれそれを救い出したって」ってね。
それこそが、おれがこの地上で何かをした証拠さ』
大阪府立消防学校訓練披露その4
第99回 消防学校訓練披露・卒業式.《大阪2016年3月》
「仕事!」晶文社 スタッズ・ターケル著
私の勘違いで、大阪府立図書館にあります。堺市中央図書館でも取り寄せてもらい
借りました。(以下写真の本)
700ページ以上の本です。様々な職業人にインタビューしていますが
ある職種の人は除外しています、
それは巧妙な弁舌、プロのおしゃべり(ジャーナリスト・牧師・政治家・医師・物書きetc)
はインタビューに入っていません。
様ざまな職種の中で働く人間の苦悩は多いものですが、
しかし、その中でも少ないですが、
じぶんの日々の仕事に魅力を発見している幸せな人もあります。
例えば、自分の作品を見て満足していたインディアナ州の石工
気持ちの良い音を求め手に入れるシカゴのピアノ調律師
ひとつの命を救うブルックリンの消防士・・・・・
これら少数の職業人に共通するもの、ターケルは書の中でこう書いています。
「仕事そのものというより、その人の人柄が感じられる」
「賃金以上のそれをこえる立派な仕事をしようとする意志だ。」と。
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p698より引用
消防士 トム・パトリック
『おれはガキのころ、高いところがすごく苦手だった。消防署にいると、五階のビルにロープ一本
からだにまいてのぼらなくちゃならない。
ビルからとびおりたりもする。
ロープは1600ポンドでも大丈夫に出来ている。自分の肉体に自信があり、
仲間が支えてくれるってわかってれば、こわくなんかない。
大勢に見つめられながら仕事をするわけだ・・
先月、おれが非番の時、第二警報が鳴った。
大急ぎでかけつけると、消防士が数名屋根にいるのがみえた。
まわりから煙がでてる。炎が見える。
でもやつらは中へ入っていく。それが俺をワクワクさせやがるんだ。
チキショー、おれも同じことをやってやるんだって。
やつらの表情に、おれはまるっきりイカレちまう。
やつらにみている、その誇りってのがおれにも見えるんだ。
このクソくらえの世界はどうしようもなくクソくらえだ。
この国もクソくらえだ。
でも消防士。
こいつらはべつだ。
やつらはなにかを生み出している。それが現実にみえる。
火を消すのがみえる。
手に赤ん坊をかかえて出てくるのが見える。
人が死にかけていれば、口うつしをするのが見える。
こいつだけはごまかしようがない。ほんものさ。
おれはそうなりたいんだ。
銀行で働いたこともあるけどね。
わかるだろう、紙ばかりさ。
そんなのは、ほんものじゃない。
九時~五時、クソくらえだ。
数字ばかりにらんでいる。でもおれはふりかえって、こういうことができる。
「おれは火を消すのに手を借した。おれはだれそれを救い出したって」ってね。
それこそが、おれがこの地上で何かをした証拠さ』
大阪府立消防学校訓練披露その4
第99回 消防学校訓練披露・卒業式.《大阪2016年3月》