音信

小池純代の手帖から

日々の微々 230612

2023-06-12 | 歌帖
  230612

    梅の実三首
 
 梅の実がまろびにまろぶ坂道をまどひてあゆむ水無月なかば

 雨なのにおちるだなんて梅の実がものも言はずにおちるだなんて
 
 花の頃散る花まろく雨の頃落つる実まろし梅とふ大悲 
 
    諾々三首

 老境は次の歌境へつながると信じて行かな桃源郷まで

 あたらしく漢方薬の名を知るは世界と和解せる心持ち

 人生のいま諾々の下り坂山頂はただそれきりの霧 







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