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読書の森

チンチロリンのサークサク

うお茶漬けを食べる時の音「落語にあるようにポリポリ、サクサク」と昨日のblog で書きました。
その落語とは、『たらちね』という有名な古典落語でした。
江戸時代に上方から入ってきたお話。
お茶漬けさえ、古く思える今日知っている方がかなり少なそうです。

登場する独身男女は凡そ異性とのお付き合いに疎い人たちです。

何と、異性とお付き合いの「皆無」の男女の割合が増加しているという今日、結構面白いものがあるかと、ご紹介する次第です。

昔から恋愛下手や付き合いに臆病、訳ありの若い人はいましたが、世話好きなが見合い話を持ってきて上手くまとまった例が多いようです。

ざっとあらすじを紹介します。

江戸の裏長屋に住む独身男の八五郎、仕事も生活態度も真面目だが、真面目過ぎて嫁が来ない。
世話好きな大家さんがお見合い話を持ちかける。

相手は年だが(と言っても江戸時代のことで20歳)、京生まれの淑やかな女性だとか。
八さん大喜びで浮かれ出す。

それを見て大家さん、
「ただ一つ難点があって、それを覚悟して欲しい」と言う。

「そりゃそうだろ、そんな美人が俺なんかのところに来るつもりになったのは、訳ありなんだろうよ。夜中に首でも伸びるのかい?」
と大家に説明を求めると
「その人は係累に死なれて江戸に来たのだが、家柄が頗る良い人だ。
そういうものに拘るのを嫌がっているが、お生まれが良すぎて言葉が上品過ぎる。
聞き手が全然理解出来ない」
と何とも変な事を言い出すのです。

「夫婦になるのだ。言葉が上品な位、何も問題無い良い事じゃない」なあんだと思った八さん、大家がそのお嫁さんを連れて来るのを心待ちにしてる。



お見合い話が進み、嫁さんが決まってから浮かれ出した八さん、夫婦になった時の食事風景を夢想(妄想)して、部屋で大声で独り言を言うのです。

嫁さん、食べる音もさぞかし上品だろうな!
茶漬けが出て俺がたくあんを「ザークザクのバリバリ」とやるとカミさんが「ポーリポリのサークサク」だ。
その後俺が茶碗を「ガーシャガシャ」で相手が「チンチロリン」。
嗚呼いいな❣️

と悦にいってるのが隣家に筒抜け、壁越しに「うるせえ」と怒鳴られます。

やがて、綺麗な嫁さんを連れて大家さんが訪れ、そのまま帰ってしまう。つまりそこで縁談成立しちゃうのです。

ご丁寧過ぎの挨拶の後、
「名前は?」と問うとお嫁さんは淑やかに
「自らのことの姓名は父は京の産にして、、、、」とか難解な語彙をタラタラ延々と続け出す。
つまり自分の名前の由来から昔の武家言葉で説明し出す、パッと名前を言えば良いのに、しかつめらしき話が必ずつく。

何とか無事に一夜明けると、亭主より先に起きて何もかも用意しとくのが女の勤めと嫁さんはとびっきりの笑顔で八さんに向かう。
「アーラ背の君」ここから又難しい台詞が続く。早くご飯を食べさせれば良いのにね。
彼女が悪意で無いのは分かるが、、八さん頭を抱えてしまいましたとさ。


と言うお話ですが、『たらちね』と言う題は嫁さんが母親を称する時に「たらちねの母」と言った事から付けられてます。

「たらちね」は母の枕詞なのですね。

昔、オカズの少ない時代お茶漬けがごく一般的に食されていた事が分かります。

それと売れ残り(そういうには歳取りすぎ)の私、こんなんでは無いものの、嫁さんの話に納得するものが多々ありました。
要は、言うべき事を言わず、言わなくてもよい事を長々と喋る、ここらが恋愛下手の若い男女にありそうです。



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