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喜び彼女に、関谷君は優しい微笑を浮かべる。
そして言った。
「こうして清らかな間柄だからこそ、いつまでたっても素敵なんだ」
つまり「関係は持つ気持ちがない」という事だ。
彼女は彼が鈍感なのか巧妙なのかわからない。
それっきり二人は会っていない。
その後の主人公の気持ちが『天にまします、、、』という題名に託されている。
作者らしくいささか皮肉を籠めて。
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物語とは離れるが、歳を経た私も、
「友情を保つ為には、特別の仲にならない方がいい」
と考えていた。
淡く長い交流がお互いを傷つける事のない優しい関係だと。
しかし、もし相手が真剣に自分をターゲットにしている場合、友情で済ます訳にいかない。
恋している人にとって好きな相手の反応は直截的な程いい様だ。
「優しい沈黙」が本当は「残酷な言葉」だという事を改めて感じる。
まあ、私の本音を言いますと、半世紀以上結ばれる事がないので、結ばれた途端天地がひっくり返らないかと不安ではあります。
それだと今まで書いてきた恋物語は何なのかという話になります。
経験しなければ書けないのであれば、ミステリーやSFは存在しません。
恋愛も然りであって欲しい、色や匂いを体験しなくても書いていきたいです。