東急東横線の自由が丘駅近くの雑居ビル内の編み物教室は主婦が多くて長閑で家庭的な雰囲気でありました。
仕事場とは全く異なる雰囲気の教室で、私は自分の体型に合ったセーターを作りたいな、とだけ気楽に考えていたのですが、これが結構難物でございました。
洋裁と同じで、型紙から考えて作り、減らし目増やし目、編み方のパターン、編み物も奥が深いのでした。
それに、綺麗に巻かれた上質の糸でも、何かのはずみで絡まってもつれてしまうアクシデントが結構あります。
洋裁和裁でも、針に通した糸が長いとダンゴになった経験をお持ちの方も多いかと。
さて、この糸を元の形に戻すのが、私非常に下手です。悪戦苦闘してると、側のオバ様(その頃私は未だ若い)、優しく静かに手を差し伸べて下さった。
慣れた手つきで、ゆっくりゆっくりもつれた糸を解していく、オバ様が何度か糸の輪をくぐらせると、「あーら、不思議!」糸は元の素直な形に戻っていたのです。
その時のオバ様の表情は今でも忘れられないのですが、何度か人生の修羅を潜り抜けてきた(大げさに過ぎるかも知れませんが、この方戦中派です)落ち着きに満ちてました。
とっても安心感が持てる解き方でありました。
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又亡母の自慢で恐縮ですが、母は仕事も素早く、編み物なども覚えが早いのですが、どうもセッカチなのですね。
糸がもつれると素早く直すか、時間がかかると切って結び直してしまってました。
私は不器用でおまけにセッカチなので、糸がもつれると直ぐに切って結び直してしまう。
後をうまく誤魔化しても、やっぱり切った箇所は切った箇所で、よく見れば綺麗にならされていません。
編み物と人生を一緒に出来るものではありませんが、自分に合った一枚のセーター作成も自分自身の人生にも共通する事は、同じ糸(条件)であっても出来上がり(結果)は違う。
その人の個性や努力が大いに影響するという事でしょうかね。
切ってしまえばそれまでよ。でございます。気長に解していく事が肝要なのでしょうね。と反省を込めて思い出してます。
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お昼に厚揚げを焼いていただきました。
ネギと生姜を添えて醤油をジュッとかけると美味しかったですよ^_^