昔々、日本が肉食の時代でございます。雑誌太陽の特集『恋愛物語』を購入しちゃった事があります。
blogの参照にしたものですが、最早時代遅れと片隅にしまっておきました。
今ページをめくり、以前なら敬遠した記事に目が止まりました。
谷崎潤一郎さんの驚くべきエピソードです。
ただし、彼は今もコアな愛読者を持つ文豪であり、居住地だった芦屋の有名人であり、かつその流麗な文章で多くの人を魅了した方です。世が変わると人の評価がガラッと変わる見本みたいな方です。
この方三回結婚されてます。幼い時に母親を亡くした故か女性を偶像化するのがお好きみたいです。
最初の奥様、千代さんは水商売の出身でしたが非常に貞淑で家庭的でした。さほど嫉妬深くもない。感情を抑えるタイプ。
それが夫には物足りない。
そこで奔放な妹に手を出したり、華やかな他の女性と浮気する。
千代は我慢してる。鬱屈した家庭、そこに訪れた真面目な佐藤春夫(高名な詩人です)は義憤に駆られる。
同情が愛情に変わる。千代夫人と恋愛関係になってしまいます。
ところがワガママ(と思います)な谷崎は他の男に恋をして女らしくなった妻を渡したくなくなる。スッタモンダの挙句佐藤春夫と絶交します。
そこで、純情な恋を奪われた二人はガックリする、世間では谷崎潤一郎のエゴイストな点が噂される。
その内、他に好きな人が出来たのでしょうか?谷崎の気持ちが変わるのです。
それから(°▽°)
「妻譲渡の証文」が発表されたのです。
上の写真は東京朝日新聞の記事です。
「なんですか、これ!」と今どきの若い娘がのけぞりかえりそうな内容です。
一体女はモノなのでしょうか?
千代さんと娘鮎子さん、娘は母方が引き取り後に学者夫人になります。
一体女はモノなのでしょうか?
千代さんと娘鮎子さん、娘は母方が引き取り後に学者夫人になります。
千代さん、いかにも良いお母さんという印象ですね。
谷崎潤一郎、最愛の(最後の妻)夫人松子さんと晩年の彼。
たいそう美しくおっとりした方だったようです。
彼は、その前で跪きマゾ的な歓びに浸れる女性がお好きのようです。つまり変態らしい。
さて話は遡って、一方の佐藤春夫さん、基本的に真面目なんですが、愛する女性と生き別れになった寂しさで結婚しちゃったそうです。
しかしこの女性は一風変わった彼に愛想を尽かして家出してしまいます。
つまりコキュになってしまった。
この虚しさを詩にした『秋刀魚の歌』によって佐藤春夫は後々残る詩人となります。
「あはれ秋風よ
こころあらば 伝えてよ
男ありて
今日の夕餉(ゆうげ)に ひとり
さんまを食いて
思いにふけると、、、」
ここから始まるこの詩、
「みすぼらしい、何処が良いの」
と思う方もいるかも知れませんが、読み進む内に一途な想いが迫ってきますよ。
それにしても、谷崎潤一郎も自分の恋愛をネタにして次々と小説を作り、その小説がベストセラーになるのです。
なんだか信じられない昔の文壇のお話であります。
一概に古き良き昔、とはとても言えません。