私の周りにお菓子作りの上手な友達がいた。
ちょいちょいと、さっくりと美味しいクッキーを焼いてきてくれた。
私もバナナケーキやにんじんケーキなど、粉まみれになって作った。
バターとミルクと砂糖を焼く香ばしい匂いは人を幸せにすると思う。
こうして、優雅な時代にリッチなお菓子をたっぷり食べる事が出来た。
しかし、私が本当に夢のお菓子として思い出すのは、現実に食べていないショートケーキだ。
久しぶりに集まったおじさん三人とおばさん一人、食料品持ち込みで、何と飲み屋に入った。
馴染みの女将が承知してくれたのだ。
スーパーで買い込んだ食料品はあまりにも大量である。
おまけに女将の用意した酒とおつまみ、わからないままに飲み、歌い、食べ、夜が更けた。
習慣的に
「もう帰る」と呟いた。
気がつくと、おじさんがスーパーで買った小さなショートケーキが置いてあった。
見ない振りして、その場を去った。
もうおじさんと会えなくなって久しい。
あのショートケーキ、今でも名残惜しい。
読んでいただき心から感謝です。ポツンと押してもらえばもっと感謝です❣️
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