凄まじい食糧難が終わった頃、幼い私はお菓子を食べる様になった。
麦こがしの練ったもの、寒天のお菓子、手作りが多かった。
当時変動相場ではなく1ドル360円である。
輸入バナナもチョコレートも、それは高価なお菓子だった。
同じ台湾バナナなのに、当時のバナナはとりわけ美味しかった。
ねっとりと甘みがあって、芳醇な香りが立った。
たまーにオヤツに出ると涙が出る程嬉しかった。
ただ、それらの存在感のあるお菓子よりも、幼い私が何より好きだったのは
綿菓子である。
ただの割り箸が、魔法の様に甘い色に膨らんでいく。
触れたら溶けて消えそうな、フワフワした砂糖の味わいは、私を魅了した。
儚い美しい、実体があって実体がなさそうな甘さ、もし自分がもっとセンスと器用さを持ち得たら、作ってみたい。
読んでいただき心から感謝です。ポツンと押してもらえばもっと感謝です❣️
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