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『東京物語散歩』で選ばれた100冊の作品の中に、よく知っているものがありました。
かって訪れた街も幾つもありました。
もう一度、思い出の本や場所をなぞって歩いてみようか?
それとも新しい作品や場所を探検出来るだろうか?
ワクワクした気分を味わえる本です。
まず、既読の小説を一つ紹介します。
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私は、池井戸潤の『ようこそ、わが家へ』を名古屋駅構内で買い、新幹線の中で読みました。
面白い本でした。
実物は残念ながら移転の為に処分してしまいましたが、ストーリーはよく覚えています。
始まりの場所は代々木駅構内、割り込み乗車の男を、こっぴどく注意した主人公の周りで、その後に起きる奇々怪々な事件を描いたものです。
半死半生の哀れな猫がポストの中に投げ込まれたり、玄関に汚いスプレーをかけられたり、信じられない嫌がらせに、本当はとても小心者の主人公一家は困り果てます。
そこに起きた会社でのきな臭い出来事。
いずれも犯人は分からず、背後に何かがあるのではと不安にかられます。
平凡なサラリーマンの彼と家族は、急に周囲に対して疑心暗鬼になってしまいます。
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主人公の家は横浜市郊外にあります。
コツコツと貯蓄してローンで購入した大切な我が家を、そして家族を守りたい。
一家は結束して見えない敵と戦おうと誓うのでした。
この「ようこそ、わが家へ」とは、見えない敵に対する宣戦布告かも知れません。
「来るなら、来い」って感じですね。
これから後は読んでのお楽しみですが、非常に今日的な印象を受けました。
さて元に戻って、選ばれた本と共に東京散歩(?)を又してみたいと思います。