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1978年7月7日、向田邦子原作テレビドラマ『家族熱』が始まった。
夜の10時からのエンターテイメントである。
当時、会社に勤務したての私はこのドラマを夢中で観た記憶がある。
その年の10月にドラマは終了した。
ラストは向田作品らしく味わい深いものだ。
しかし、私はひどく寂しかった。
実際の家族がいなくなった気がした。
これは一見恵まれて見える家族の中のシリアスな出来事を描いている。
シリアスなのに、あくどさや辛辣さとは無縁である。
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ドラマの粗筋より、冒頭のテーマ曲が流れるシーンを私は待っていた。
セピア色の家族写真が、家族の成長と共に次々と変化して現れる。
それは私にとって胸締め付けられる懐かしさで迫った。
メロディーは Rosemary Clooney のClose your eyesである。
私はその歌を聴くと慣れない仕事でささくれた神経が柔らかく包まれた気がしたのだ。
元々は母親の子守り歌だった様である。
赤ちゃんの可愛いまぶたにキスする満ち足りた母親の歌。
それは私をも満ち足りた心にしてくれた。
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『家族熱』の出演者は加藤治子、三國連太郎、志村喬、当時26歳の三浦友和、浅丘ルリ子、吉行和子etc.
超豪華な配役で、もはやリアルタイムで見る事が不可能である。
何故なら志村喬も加藤治子も三國連太郎も皆故人なのだ。
「昔は良かった」とは言いたく無い。
ただ、再婚や狂気や不倫さえも何処か牧歌的なあの頃が懐かしい。