読書の森

私だけが知っている その3



「それで僕たち全員事情聴取されたんだ」
警察は梨花と敬吾たちの関係を知っていた。
なぜなら、梨花は恋の経緯をご丁寧に日記に記していたからだ。
二人が邪魔をする梨花に殺意を抱いたと見ようとすれば見える。

悟の証言が二人を救ってくれた。
「梨花さんが行ってから僕たち一緒に行動しました。
御守り買って、茶店に寄ったんです」

出店や茶店の店員の証言はそれを裏付けた。
店の人が正確な時刻を見ているはずも無い。

一緒に行動する前の空白の30分間は、三人がそれぞれ知っている。



初詣とはいえ、7日正月も過ぎて、あの時間T神社に他の参拝客はいなかった。
神社の関係者は皆職務に就いている。

他殺の疑いが晴れた後、自殺か事故死かという事になるが、どちらともつかない。
因みに梨花のカメラに残る写真は無かった。

ひょっとしたら、より写りのいい場所を探している内に脚を滑らしたのかもしれない。

どちらにしても、殺人の疑いを着せられ疑心暗鬼になった敬吾と冴子は気まずい仲になり、春を待たずして別れた。

読んでいただき心から感謝いたします。

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