「つまり、、お前、俺が大腸の内視鏡検査受けたの知ってるよな。それ隠してたね」
「、、、、」
「それだけなら良いさ。お前も同じクリニックで同じ検査を受けてるね」
「あなたの怒ってるの、隠してるってその事ですか?」
(そうじゃないでしょ)
と言いたげな妻の表情を無視して卓は命令口調になった。
「俺に遠慮して言えなかった事は分かる。分かるから早急にクリニックに予約を入れて二人の治療計画について医師と相談しようじゃないか」
意外の他、事はスムーズに運んで、いやスムーズに運び過ぎて、愛は都内の大学病院で癌の精密検査及び入院治療する事になった。
意外の他、事はスムーズに運んで、いやスムーズに運び過ぎて、愛は都内の大学病院で癌の精密検査及び入院治療する事になった。
クリニックの医長が懇意の病院に連絡したしてくれたので入院の手配が早く進んだ。
入院に際して一人っ子の翠を誰に預けるか思案するところだったが、ここで世話を焼いたのが又しても坂下である。
坂下の知人の子供のいない家庭で食事の世話をしてくれると言う。
「幸いお前の家に近いって言うし、向こうの奥さんも専業主婦で良い人でね、可愛い子とお話出来ると喜んでるんだ。どうだ頼んでみるか?勿論それなりの礼は必要だと思うが」
卓は善良そのものの坂下の表情が信じられない。
「お前誤解してない?善意も度が過ぎるとお節介とさえ言えない」
「何だよ?!」
「愛は俺の女房だ」
「何が言いたいか分かるけど」
「急な入院でそこまで考えてなかったろ。奥さん言ってたもの」
「そんな事迄話してたのか?」
「悪いか」
「、、?」
「それから、この前の電話の話、多分かなりショック話だと思う。
だけどレイプされた後の彼女はどうしたか話してないのが気になるんだ」
「その話やめてくれよ」
「卓、お前愛さんを無邪気なだけの可愛いだけの女だ、バッカな女だって思い込んでない?」
「人が黙って聞いていれば失礼過ぎる言葉だ。そう思わないか」
「その通りだ。
ただお前は俺と違って女に騒がれてモテる男でしかも優秀な男だ。ずっとエリートコートを歩いてきたよな」
「何が言いたい?」
「愛さんを拾ってやったと思ってないか?
まるで捨て猫でも拾ったように」
「お前!」
卓のこめかみに青筋が立った。