面接官に「お前バッグ持って来なかったやつだろ!採る気はないぞ!」勝手に勘違いされた男性© キャリコネニュース
人手不足の昨今、人事担当者の早とちりで貴重な人材を採りこぼすのはもったいない。ITエンジニアの30代後半の男性は、10年ほど前に受けた面接で、面接官から一方的に勘違いされ悔しい思いをしたという。ソフトウェア開発業のSEを募集していた企業に、転職サポート会社経由で応募したときのことだった。
「面接官の方が、部屋に入って来てこちらを一目見た途端、明らかにやる気が失せたような顔をされました」
あからさまにガッカリした様子の面接官に、男性も緊張が増したことだろう。一体どういうことだったのか、男性が編集部の取材に語ってくれた。
「そんな常識のない奴を紹介するな!」
面接を受けたその日、受付で「先に部屋で座って待っていてください」と告げられ、「4畳半よりも小さいだいぶ狭い部屋」に通された。
「バッグからノートやペンを入れていたクリアケースを出し、バッグは部屋の壁に寄せて置いて、椅子に座って待っていました。その後、30代くらいの係長クラスと思われる男性の面接官が部屋に入って来ましたが……。こちらを一目見た途端、明らかにやる気を失せたかのような顔をされました」
その後面接が始まったものの、内容はかなりそっけないものだった。
「自己アピールに2、3質問をされた程度で、10分ほどで面接は終わりました。終わるとこちらが出るより先に面接官の方はさっさと部屋から出て行ってしまいました」
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あまりにも冷たい対応だったが、男性は「私の何かが気に食わなかったんだろうな」とその時は深く考えなかった。ところが……。
その後、転職サポート会社の担当者から聞いた理由は、予想外のことだった。
「担当の方から『通勤バッグをもっていかなかったんですか?』と聞かれて『え?』となりました。
どうも面接官の方は私の通勤バッグが見えず、机の上にあったクリアケースをみて『バッグも持たずにクリアケースだけ持ってきたのか』と勘違いしたようで、『そんな常識のない奴を紹介するな!』と怒りの電話を担当の方にぶつけたようです」
大勢の人がいる中で「お前バッグ持って来なかったやつだろ!」
「そんな一方的な勘違いをされるとは思わずイラっと来たのを覚えています」
面接のときは部屋が狭すぎてバッグが死角に入ってしまったのだろう。
しかし違和感があったなら面接のときに直接問いただせばよかったものを、一方的な勘違いで後になって仲介業者にクレームまでつけるとは、早とちりにもほどがある。
しかも、「それだけならまだよかったのですが」と語る男性はさらに災難に見舞われていた。なんとその後、この面接官と転職の合同説明会で再会してしまったのだ。相手は企業ブースで男性と目が合うなり、
「あ、お前バッグ持ってこなかった奴だろ!採る気はないぞ!」
と、ほかの参加者や別会社の人事担当など大勢の人がいる中で言い放ったという。
「その面接官が『採る気はないぞ』と言った瞬間、周囲の人がニヤニヤしていたのを覚えています」
無実の「非常識」でとんだ恥をかかされた男性は、
「『こんな場所で言うような常識のない会社などこっちからお断りだ!』と非常にイライラさせられました。言い返すのもバカらしく、大部屋だったので遠くに離れました」
と事を荒立てることなくその場を立ち去った。その後は会場に戻りづらく、「予定を切り上げて引き上げることにしました」とせっかくの機会も潰されてしまった。
後日、転職サポート会社の担当者にこの件を話したところ、「確認不足で申し訳ありませんでした」と平謝りされたという。この面接予定を組んだのも、この転職サポート会社だったからだ。男性は、呆れたようにこう振り返る。
「転職先はしばらくしてから決まりました。もう会社名も覚えていませんが、世の中すごい会社もあるもんだなと思いました」