カンナからの風

沖縄県北部東海岸にある小さな1軒のホテルから

旅人の木

2011-04-30 07:17:38 | 日記

曇天の朝を迎えました。朝から高い湿度で今にも雨が降りそうな薄い灰色の空が広がっています。亜熱帯特有の湿度と気温は、この土地の植物には不可欠の条件です。ホテルの玄関にある扇状に広がった枝と葉が存在感たっぷりのこの木はマダガスカル原産の和名「オオギバショウ」と言う木です。又の名を「旅人木」とも言うそうです。

茎の根本に水を溜めて非常用の飲料水としてその昔、旅人の喉を潤していたようです。自然の力を借りて生きた先人の知恵ですね。亜熱帯の植物には、亜熱帯で生きる知恵が詰まっています。

旅をすると、その地域の文化や生活習慣が目にとまります。その土地ならではの生きる知恵とも言うべきもの。それが、旅の大きな楽しみの一つです。地域の文化や知恵はその土地に暮らす人々の個性につながっているように思えます。

20代の頃、外国貨物船でアルバイトをしながらアジア、オセアニアを歩いたことがあります。その土地の空気が持つ匂いが今でも思い起こされます。そんな時、ことさら、自分が異邦人であることを意識させられた思い出があります。沖縄に住み始めた頃、沖縄の人々の中に、「うちなんちゅう=沖縄生まれの人」「ないちゃー=本土の人間」とはっきりとした区別がある事を知りました。だから嫌な思いをしたと言う事は一切ありません。でも、時々、昔感じた「異邦人」を意識することがあります。この土地では生涯旅人なのかもしれません。

最近、それもいいなぁと思います。「ないちゃー」だからこそ沖縄の良さを知っている。「ないちゃー」だから沖縄のために元気に働ける!なんて思います。沖縄の人々はホスピタリティーに溢れ、親切で温和な人柄の人が多いように思えます。この地域に住み始めて8ヶ月まだまだこの土地を語るには短すぎますね。ホテルの仕事をしていると多くの人との出会いがあります。出来る限り多く地元の人々と出会い、語り合いこの土地の文化や知恵を活かしたホテルを作りたいと思います。


月桃の花

2011-04-29 08:08:23 | 日記

月桃の蕾が花になり始めました。小鳥たちが口を開けてえさを求めるようなしぐさが花になっています。まだ咲き始めなのでどんな姿の花になるのか楽しみです。沖縄で初めて迎える春から初夏に向う季節。色んな花が咲き始めてもうすぐ夏を迎えるんだよって話しかけてくれます。

早朝のカンナ庭園散歩は、人気もなく静けさが庭園いっぱいに広がっています。鳥たちのにぎやかな話し声、風の歌、時には波と風のハーモニーが聞こえてきます。太陽が顔を出す頃には、明るい日差しに庭園は花たちの笑顔でいっぱいになります。この幸せな時間は、何ものにも代えがたいものがあります。

花々が、舞台の袖の女優たちのように呼吸を整えて出番を待っているかのようです。

今日からGWが始まります。大勢のお客様がホテルにお出でになります。いよいよ舞台に立つ時が訪れました。全ては、お客様が喜んで頂けるように花や木と共にこの時を待っていました。長い冬を越えて来た者たちだけが味わう事ができる瞬間。お客様に過ごして頂ける2日、3日のために1年間と言う時間がありました。

ホテルは、常に一定のサービスや品質を保たなければなりません。そこで働くスタッフは舞台を作る職人たちです。職人たちが心を込めて創り上げている作品を楽しんで頂けるとうれしいです。

終わりのない作品作り・・・日々変化し成長しています。変わる事のない上質なサービスを求め、変化を続けるあきない楽しみを職人たちが人生を掛けて作り続けています。


新入社員と一緒に

2011-04-28 08:14:34 | 日記

3日間の短い研修でしたが、ワークショップを中心にチームビルディングを行ってきました。11名の新入社員と共に過ごした時間はとても貴重で豊かな時間でした。

初日は、部署も違い、出身高校も違い、環境も違う事もあり、関係作りが出来ていませんでした。普段は会話する機会もなく同期としてのチームワークもありませんでした。ホテルの仕事は、全ての部署が連携を取り合ってこそ素晴らしいサービスが生れてきます。フロントがどんなに素晴らしい笑顔でお客様をお迎えしてもお部屋がそのお客様のリクエストにマッチしていなかったり、レストランでの対応に連携がなかったりするとがっかりですね。庭園には花が咲き乱れ、素晴らしい環境があって、お客様から花の名前を聞かれた時にレストランスタッフが庭園チームと連絡をとってきちんとお伝えする。できたら、その花をお持ちするなどチームワークは最高のサービスへの原点です。

写真は、グループごとに企画書を作成している様子です。テーマは「ビールを美味しく飲んでいただく為にできること」です。面白い企画がたくさん出てきました。自由な発想を楽しむ事と色んなアイデアを活かす事です。入社後、違う部署で1ヶ月働いた経験が活かせるかどうかでした。

BBQイベント、一気飲み大会、真夏海辺でのビーチイベント、かくし芸大会、屋台、キャバクラ、美味なおつまみ、星空でのイベント、ガーデンパーティー約90のアイデアが生れてきました。そのアイデアを企画書にグループ単位でまとめることが仕上げです。

これらの企画がホテルの今後のサービスになってお客様が楽しんで頂けるように実現したいと真剣に考えている自分がいました。実は、この他に出たアイデアこそ宝のようなアイデアがいっぱいだったのです。企業秘密の関係上(笑い)ホテルで確かめて頂ければと思いますが・・・・。

明日からGWに突入です。ホテルも稼動があがり満室状態です。でも少しは余裕もありますが・・・大切なお客様をお迎えする新人スタッフの活躍を楽しみにしてください。一人ひとり追跡レポートをこれから行って行きます。


韓国のともだちから

2011-04-27 07:38:56 | 日記

昨日の夕方韓国の古い友人から電話がありました。彼女は、韓国で障害者ボランティアを行っています。彼女からの話は、韓国の障害者の方々が日本への旅行を希望していると言う話しでした。今回日本で起きた災害への関心も高く協力できることがあればと、皆さんでチャリティー活動なども行っているそうです。一人ひとりの心の中に燃える小さなともし火がこうして伝わってくると感動の思いが溢れてきます。

韓国と日本の間にある歴史には大きな傷が残っていますが、個人個人の中には友情や人間愛がしっかりと息づいています。

彼女は、私が以前会社を経営していた時のスタッフの一人でした。仕事は、介護施設などの住環境サポートの仕事です。出会いは、私が、外国人専用アパートの環境改善の仕事で訪れた時に、共同キッチンで彼女が食事の用意をしていました。たどたどしい日本語で語りかけて来た彼女と色んな話をするうちに韓国の大学でクラシック音楽を学んできたヴィオラ奏者である事や家族の事など聞かせてくれました。

アルバイトしながら日本に留学している事などがわかり私の会社でアルバイトをする事になりました。その彼女も3年ほど前に帰国して、時々電話やメールでお互いの消息を確かめ合っていました。

そんな彼女からの今回の話しはとても興味深く、私にできることがあれば喜んで最大限の努力をしたいと思いました。人と人の交流は、国境や民族や文化をを越る力を持っています。沖縄は、特にアジア文化の色が濃い地域です。今回の韓国の障害者の方々が沖縄訪問が実現できたらと思います。地元地域の方々にも協力を頂き文化交流を基底にしたものにしたいと考えています。

今日は、新入社員研修最終日です。短い研修期間でしたが若いスタッフが目に見えて成長する姿は、とても頼もしい限りです。新鮮な今の思いを将来に亘って持ち続けることはとても大変な事ですが、この機会が彼たち、彼女たちにとってホテルでの仕事を続けていく原点になればと願ってやみません。


手付かずの自然

2011-04-26 07:31:59 | 日記

海を毎日眺めていると、その日によって海の色が変わります。生き物のように変化する海の色に日々の疲れが癒されます。遠くから海鳴りや風の音が聞こえてくる日は、海の色が濃いグリーンの様に見えます。穏やかな風の日は、透き通ったグリーンに太陽の光が交じり合い色んな色が見え隠れします。

ゴッホのひまわりの絵のように赤や緑や黄色の色彩が輝いているように見えてきます。普段何気なく眺めている海も話しかけるように近づいてみると多くの命の物語を語りかけてくれます。

カンナのプライベートビーチは、岩場が多く泳ぐにはあまり適していませんが、海との語り合いにはとても素敵な環境にあります。視線を上げて遠くを見ていると島々やリーフの影が夏の日差しの中でゆらゆらと映ります。砂浜には、珊瑚石が一面に敷き詰められていて白いじゅうたんの様に見えます。週末には、宿泊のお客様が家族やカップルで砂浜や岩場で過ごしていらっしゃる姿を見かけます。

3月に北海道から来られた外国人のお客様がチェックアウトの折、海辺で子供と2時間も遊びましたとにこやかに語ってくださったのが印象的でした。海の過ごし方は様々ですが、豊かな自然と静かに向き合って過ごす時間は贅沢で心豊かな時間です。海中に様々な色を発見した時は、驚きと感動でいっぱいになります。

昨夜、地元の方と夕食をご一緒する機会に恵まれました。その方は、毎週海に出かけて素もぐりで海を楽しんでいらっしゃると語っておられました。カンナの岩場には、たくさんの魚たちの住みかがあり海の中は外から眺める景色とは全くの別世界と楽しそうに語っていらっしゃいました。いつも週末には海に出かけるとおっしゃっていましたので、こんどご一緒させていただくこととしました。

今日は、新入社員研修2日目。遠くから彼らを眺めているより近くで一緒にゲームをやったりしていると一人一人の個性が輝いて見えてきます。笑顔、困った顔、悩んでいる顔の底にはたくさんの夢や希望が詰まっているんだと思いました。