We Want The FUNK

ギターと音楽に関する雑感

ACROSS THE UNIVERSE の 正しい歌詞

2019-12-08 | 音楽
ACROSS THE UNIVERSE の 正しい歌詞
 
この曲の紹介や論評を見ると、特に歌詞について「文学的」「ジョンの最高傑作」という文字が踊り、ネット上でも日本語に翻訳するときの様々な解釈が紹介されていて、その人気の高さがよくわかります。一方で、英詞そのものが、アルバムのブックレットや詩集によって違い、謎めいた印象も与えています。
 
この曲を弾き語りでカバーしてみようと思った時に、歌詞の表記の違いに気が付きました。
 
そもそもこの曲に限らず、アルバムの歌詞カードに間違いが多いことは洋楽ファンならとっくに承知していることですし、他の曲に関しては違いがあってもさほど気にしませんが、ACROSS THE UNIVERSEに関しては、その詩を「最高傑作」と称し、様々な訳を一生懸命考えている方がいるにもかかわらず、歌詞表記の違いに関しては、その箇所を単に紹介するだけだったり、明確に指摘せず曖昧に終わっていたり、納得のいく指摘が見当たらなかったので、だったら自分で検証してみようと思ったのがこのブログを書くきっかけでした。ある程度細かいのはこの知恵袋でしょうか。全部じゃないんですけど。
 
私は英語に堪能ではなく、英米文学科卒でもなく、文学少年でもありません。なので、その意味と翻訳という側面で多くを語ることは難しいのですが、ジョンが書いた詩については、基になっている言葉は明確に存在すると思っています。創る最中で歌詞が変わることはあっても、レコーディングするとき、最終的な歌詞は用意しているはず。マイケルの「Come on」が「Chamone」に聴こえるとか、宇多田ヒカルさんの「だろう」が「だは~!」に聴こえるとか、そういう話ではありません。
 
普段から曲をカバーするとき真っ先にするのは、ひたすらリピートして聴くこと。課題曲を決めたら帰宅途中の車内で聴き続けます。危ないから車中で歌詞カードは絶対に見ませんが、ある程度聴くとメロディと語感をセットで覚え始めるので、そうなったら歌詞とコードを確認して部屋で練習を開始します。
 
この曲に関しても同じように取り組みましたが、いきなり「They slither while they pass they slip away」でつまづきました。頭の中は「???」。いったん練習をやめて、手元にある歌詞カードと詩集、ネットの情報をかき集め、ヘッドフォンで「...NAKED」のVersionを繰り返し聞きながら、納得できる歌詞を見つけることにしました。そのたどり着いた結果を記します。
 
全ての歌詞を書くのは権利上問題がありそうですし、表記の違いが明らかな箇所を中心に書きますので、気になっている方の参考になれば幸いです。…これは、原曲に忠実に歌おうと思った結果から来た私的な指摘です。ご批判もお寄せいただけたら嬉しいです。なお、いくつかバージョンの違いはありますが、歌詞をきちんと聴き取れるよう、音源は「LET IT BE…NAKED」のバージョンにフォーカスしています。「LET IT BE」のバージョンは「…NAKED」の録音をアレンジしたものなので。この「LET IT BE」バージョン(青盤収録もそう)のテープスピードを落とすやり方が良くも悪くも影響したのか、歌詞は聞き取りにくいです。このアレンジが歌詞の謎を生んでしまったのかもしれないと思うと、フィル・スペクターは罪深い男かもしれません。
 
この記事を書くにあたり、手元に歌詞カード、詩集とバンドスコアを用意しました。CD付属の歌詞カードはThe Beatlesの「1967-1970(青盤)」と「LET IT BE…NAKED」、David Bowieの「YOUNG AMERICANS」。それとソニーミュージックパブリッシングとシンコーミュージックによる「ビートルズ全詩集(改訂版)」、更にヤマハミュージックメディアが日本語版を手掛けた「[完全版]ビートルズ全曲歌詞集」。バンドスコアはソニーとシンコーによる青盤(2002年初版物)。
 
結論を先に言います。ACROSS THE UNIVERSEは、「[完全版]ビートルズ全曲歌詞集」に掲載されている歌詞が正しいと思います。ネットに書いてある歌詞は数が多すぎるのでここでの紹介は割愛し、主に「ビートルズ全詩集(改訂版)」(以後「全詩集」)、「[完全版]ビートルズ全曲歌詞集」(以後「全曲歌詞集」)を対比して、時に他の歌詞カードを参考にしながら個別に見ていきます。
 
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「全詩集」
 They slither while they pass they slip away(?)
 
先述しましたが、まず気になったのがここです。バンドスコアもこの表記。「while they」というのが聴こえている言葉とまず違う。さらに「they pass they slip~」と続くのは、文法の範疇では測れない歌詞の世界とはいえ、富田チルドレン(自称)としては看過できない強烈な違和感。意味としても、「全詩集」では「いつしか通り過ぎ」と「while they pass they slip away」をまとめてしまっていることに合点がいきません。Theyは冒頭のWordsを指しているでしょうし、紙コップに流れ込んだ言葉たちが溢れ出る様子を比喩として表現しているのであれば、slither とslip awayを使えば、passという動詞はこの場に必要ない。よく聴けば以下であると思います。
 
「全曲歌詞集」
 They slither wildly as they slip away(!)
 
ちなみに、「wildly as」は青盤とヤングアメリカンズの歌詞カードもそう。しかしネイキッドとバンドスコアでは「while they pass」でした。一項目としては取り上げませんが、ネイキッドとバンドスコアは、その後にある「my opened mind」を「my open mind」と書いています。少し残念。聴けばopenedであることはすぐに気が付くと思うのですが。
 
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「…NAKED」
 That call me on and on(?)
 
「全曲歌詞集」
 They call me on and on(!)
 
なんか、…NAKEDの歌詞カードは前に引き続き残念。他は軒並みThatではなくThey。そりゃそうだ。だけど…NAKEDの歌詞カードには以下のような注釈がありました。
 
おことわり:歌詞は作者によって正式に認められたものを採用しております。実際に歌われている内容とは異なる箇所がありますが、ご了承ください。
 
ここの「作者」ってのが気になりますが、なんとなく言いたいことは分かります。大人の事情があるんでしょうか。「違うことは俺も分かってんだよ。だけど、これで出さなきゃいけねーんだ」というメッセージにも受け取れます。
 
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「全詩集」
 shades of earth(?)
 
「青盤」
 shades of love(?)
 
「全曲歌詞集」
 shades of life(!)
 
ここから佳境に入ります。文法的なことではなく、どちらも名詞として「earth」と「life」の違いで、全詩集、バンドスコアと…NAKEDは「earth」。全曲歌詞集とヤングアメリカンズは「life」。ところがなんと、青盤は「earth」でも「life」でもなく、「LOVE」と来たもんだ。
 
単純に「ライフに聴こえる」で終わってしまいそうですが、その前に対比として「Sounds of laughter」があり、その二つをまとめて「are ringing~」と続きます。つまり「Sounds of laughter」と「shades of ウンボボ」は、意味は反対であっても比較可能な同種でないと成り立ちません。それが「笑い声」と「地球の影」では対象として薄い。人間社会での明るさを表す笑い声だったら、客観的、物理的事実ではなく主観的な暗さが来てほしい。なら「暮らしにおける(人生の)影」という意味が対比になって良いんじゃないでしょうか。この意味だと「LOVE」も捨てたもんじゃないですが、聴こえるのは「Life」でしょうよ。
 
ちょっと言いにくいですが、このあたり、日本のトップシンガーで英語もネイティブ並みな方も「earth」でカバーしてましたね。「while they pass」もそうだったかな…。YouTubeで見られます。たぶんメロを知ってるから目の前にあった歌詞を信じていたんでしょう。もしくは…NAKEDのバージョンではなく、聴き取りにくい「LET IT BE」バージョンを参考にしたのでしょうか。ちなみにアコギ2本で演奏していたので、Keyは変えていますが形とするとネイキッドにかなり近いです。
 
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「全詩集」
 my opened views(?)
 
「全曲歌詞集」
 my opened ears(!)
 
これもよく聴くと「views」ではなく「ears」だと思いますが、意味としては、全詩集ではare ringingを含め「僕の開かれた視野に鳴り響いて」と訳されています。悪いとは言いませんが、その後の「inciting and inviting me」まで考えると、耳に鳴り響いて僕を誘うという内容が良いんじゃないかと思います。ちなみに「inciting and inviting me」は、「inviting and inciting me」と前後が逆になっているものもあるようです。正しくは「inciting and inviting me」です。
 
…NAKEDの歌詞カードはedを付けないopenにviewsと続いていました。ここは聴くとedがないopenでも良さそうというか、判断に迷うところです。でもopenedだろうな~。
 
そして驚くことに青盤は「MY OPENED EARS VIEW」と、この問題にまるで一石を投じているかのような表記でビックリ。VIEWSでもないのがさらに凄い。
 
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「Young Americans」
 It calls me(?)
 
「全曲歌詞集」
 And calls me(!)
 
最後に指摘するのは「It」と「And」です。私の結論は「And」で、ここは「全詩集」も「And」でした。「It」にしているのはヤングアメリカンズ、青盤、…NAKED、バンドスコアと結構多いですが、何度も聴くと「And」で間違いないでしょう。
 
ここで、数多くのカバーが存在するのに、なんでDavid Bowieを参考にしているの?と思われていた方もいるかと思いますが、その理由は、レコーディング時にジョンが同席していて、ジョンから歌詞を直接教えてもらっていた可能性が高いほぼ唯一のカバーであるからなんです。
 
このカバー自体を好きで聴いているかどうかは聞かないでもらうとして、コーラス部分はともかく英語詞の箇所は信じるに値すると思いながら検証していました。が、唯一納得できなかったのがこのItでした。どうしてもAnd、そうでなければThenにも聴こえましたが、Thenが入ると意味不明。正しいのかどうかは分かりませんが、Andで繋げてもcalls meだから、主語は三人称単数であるからして、直前のsunsではなくundying loveでしょう。It だと接続が気になって。いや、文を一旦切っているのならItでも問題はなさそうですが…最終的に私が判断したのは「And」でした。ヤングアメリカンズのおかげで最後に謎が残ってしまいましたが、これ以上の追及は不可能かな…。
 
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ということで、ACROSS THE UNIVERSEだけを研究した結果、「全曲歌詞集」が信頼できるという結論に達しました。ただ、これを買うのにはためらいもありました。5,000円+税ですし、目的はACROSS THE UNIVERSEの歌詞だけ。それでも買って良かったと思います。ここに至るまで、ネットも見たり、ビートルズに関するいろんな本やムックを読んで、歌詞の表記に関する何かの手掛かりをつかむための調査もしていましたが、残念ながら有力な情報を探し出せなかったので、もはや自分が「こう聴こえる」と思っている歌詞が形になっている「紙」「出版物」が欲しかったんです。そうしないとモヤモヤが晴れない。一番近かったのがヤングアメリカンズの歌詞カードという、不思議に感じるけどある程度根拠のある情報を経て、最終的に最も豪華な本で一致点を見いだせたのは自然だったというか、必然だったというか、そう思いたいです。
 
こんなことを長々と書いてしまって…最後まで読んでもらえる人は、本当にACROSS THE UNIVERSEの歌詞に興味がある方だけでしょう。ご意見をいただければ幸いです。
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千明守(椎名守)先生

2018-05-26 | 日記・エッセイ・コラム

千明守(椎名守)先生

私が代ゼミに通い始めた時、先生が初回の授業で「『ちぎら』は発音しにくいから、予備校講師としては変えた方がいいよ、ってアドバイスをもらったので『しいな』に変えたんだ」とおっしゃっていました。まだ変えて間もないころだと思います。

以前のブログでも書いたんですけど、私は古典文法への苦手意識を克服出来ないまま受験を終えてしまいました。

でも実は、椎名先生の授業とテキストに救われて合格できたのでは?と思う側面もありました。合格した学校と学部の試験では、古文がすんなり解けた気がしているんです。

それは、特に直前講習会の『決戦! 勝つための古文』という授業を聞いて、テキストに載っていた単語、文学史をがむしゃらに覚えたことが功を奏したのかもしれません。

椎名先生は、一見線が細いように思えました。確かサテラインの夏期講習かで「これはサテライン講習の初日で…僕はいま、すごく緊張してます。カメラで写されると困るんですけど、足が震えているんです」と告白されていました。

ところが実際の授業は情熱的。雑談も情熱的。夫婦喧嘩をして奥さんが実家に帰ってしまったときに、花を持って謝りに行ったこととか。先生の地元が群馬県であることも相まって、私はとても親近感を持っていました。

そんな先生が2014年の大晦日にお亡くなりになられていたことを、つい最近まで知りませんでした。

どんなご病気だったのかは分かりませんが、非常に研究熱心な方で、予備校講師をしながらも研究を続け、徹夜をしてしまうことも雑談で聞いていたので、その頑張りすぎが何かしら影響してしまったのではないかと想像してしまいます。

http://pr.kokugakuin.ac.jp/event/2013/03/19/134442/

上のページで見ると國學院大學での学位授与式が2013年3月でした。まだお若かったのに、残念でなりません。

今は感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

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CROWTHER AUDIO HOT CAKE

2018-01-30 | 楽器

CROWTHER AUDIO HOT CAKE

3台。時の事情で増えてしまったのですが、それほどにHOTCAKEが好きです。

 

※2023年8月15日更新

続編「ホットケーキは生産終了したのか?

 

スイッチが「NORMAL/MID LIFT」だった頃の1999年に購入したOLD CIRCUITバージョンが、私にとっての初代。

HOT CAKEに興味を持ったキッカケは、リットーさんが出した「楽器館」というムックにあったオーバードライブ/ディストーション系のコンパクトエフェクターの紹介(95年12月号の再掲載)で、葛城さんが試奏したレビューが気になったのと、レイヴォーンの「テスティファイ1曲マスター」っていう教則ビデオで、確証ないんですけど、ichiroさんの足元にチラッと映ったのがどうもHOTCAKEに見えたことでした。

 

ここで葛城さんの95年当時のレビューを紹介します。

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結構低音が"ブブブブ"言うね。これはトーンがないんだけど、音色切り替えのスイッチ(ノーマルorミッド・リフト)が付いてて、それのノーマルのままでも、わりと低域がブーミーな特徴がある。でも高域はDODのオーバードライブとかと似たニュアンスで、意外と音程感はキッチリ出てくれるね。余計な倍音でギラギラしないから、比較的ブーミーな音色が好きな人向き? 6弦を弾いたときに"ブルンブルン"ってやりたい人にはいいだろうね。1弦の方に行った時のプレイのニュアンスはわりと細かく出るような気がする。

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ファズっぽいニュアンスのある歪みが好きだったので、それからずっと気になっていました。それとここでも書いてますが、B'zのSurviveツアーでメインで使われたブースターとしても気になる存在でした。

使ってみると、確かに低域にファズのニュアンスがある。似たようなものとして挙げられるBLACK CATのOD-1は、HOT CAKEに比べるとよりファズに近いかな。これも良かったんですけど、結果的にOD-1は売却してしまいました。

HOTCAKEは、DRIVEを上げると中音域にどんどん集約されてムンムンで暑苦しい音になりますが、上げすぎなければブライト感が残って、とても絶妙なクランチが作れます。

ギター側のボリュームを下げると、完全なクリーントーンが作れるのが素晴らしい。オーバードライブペダルの中には、ギター側のボリュームを下げても、弱くピッキングしても、高音域にシャリシャリした歪み感が残るものもありますが、こいつは、軽くなでるように弾けば歪まず、ガーンと弾けばきっちり歪みます。

この点に関してはBOSSのBD-2に近い。BD-2との違いは、ミドルのハリというか、音の密度がね、HOTCAKEの方が濃ゆい。

ミドルがあるのでHOTCAKEのことを「太い」と形容する人もいますが、当たっているようでなんか違うような。個人的にも太さが加わることに異論はないものの、例えばガバナーのように低域がボーンと太くなるのとは違います。なので、BASSを押し出して太くしたいという人は拍子抜けするかもしれません。

この音質を利用して、HOTCAKEをブースターとして使用するのもイイ。ハイがきつくならずスムーズに抜ける音になると思います。

いまメインで使っているテレキャスの場合、フロントで歪まないようにし、リアでクランチーに歪むセッティングにしています。バンドアンサンブルの中で、クリーントーンのバッキングで少し存在感を出したいときは、HOTCAKEをオンにするわけです。

ストラトの場合、フロントでボリューム全開にしている時にわずかに歪む程度。で、ある程度歪ませたい時に前段に置いたチューブスクリーマーでブーストします。最初からそこそこ歪ませたいと思うときもあるし、ギターとピックアップの出力によってつまみをいじったり、セッティングはその都度変わりますけどね。

チューブスクリーマーは数機種ありますが、どれを使ってもHOTCAKEとの相性は抜群。メインではST-01を使ってますが、TS9(私の所有物はトニー・ブルーノのモディファイもの)がイイかな~という気もします。HOTCAKEとチューブスクリーマーだけっていう時は、TS9DXで音のバリエーションを持たせるのも面白いと思います。ボードに入れている様子はこちらをご覧ください。

で、このTS系によるブーストですが、いわゆる「ドライブ最小」「レベル最大」にはせず、ちょっとだけドライブを上げた音を、これまたちょっとだけレベルを上げて送り出すというイメージです。こうすると、HOTCAKEのドライブを上げたときのようなムンムンな音にはならず、両方の歪みが加わって、理想的な音になります。主観ですが。

で、こんなブログを見つけました。

http://ippeichan.hatenablog.jp/entry/2017/06/04/201826

これはいい音!

良い面とイマイチの面を含めて、この方はHOTCAKEの特性を完璧に理解されているように思います。ここまで書かれているのは他には見たことがないです。僕が普段出している音よりも深い歪みですが、これも私にとって理想の音の一つです。

で、上のブログでも触れられていますが、HOTCAKEの特徴として、コードを弾いて音を伸ばした時「ジリジリ」という、高域の割れる音が入るんですけど、これを是とするかどうか、好みの分かれるところだと思います。

私は…大好きなんです。

昔、いわゆるラジカセのようなオーディオ機器にギターをプラグインして音量を上げたときのビリビリした音、ボーボーに割れる音、あの感じがわずかに再現されている!って思うんです。

 

さて、この辺から非常に表現しにくい領域に入ります。

誤解されるかもしれないし、言ってる意味が分からないと思われるかもしれませんが、あえて表現すると、HOTCAKEには、自分が理想とする数種の音が詰まっているんです。

一見普通のオーバードライブだし、でも低音弦ではファズっぽいし、テレのリアかレスポールを使えばツェッペリンの初期っぽく感じるし、ストラトとチューブスクリーマーで組み合わせればレイ・ヴォーンっぽくもなる。それと、上で紹介したブログのとおり、他のペダルとの組み合わせとセッティングによっては、松本さんのようにも聴こえる。

例えば、私は別記事でフルテンダーがレイ・ヴォーンっぽいって書いたのに、ホットケーキもそうなんかい? 矛盾してねーか? ともとられかねませんが、でも、レイ・ヴォーンって、時期や、曲によって音を変えてますから。

フェンダーアンプ自体を歪ませて(これがFULLTENDERの印象)TS10でブーストする時もあるし、ダンブルを使っていた時もある。更に、TS808を歪ませてTS9でブーストする時もどうやらあったらしい。確かにそんな感じの中音域の太さを感じるときもある。で、時にはファズフェイスだって踏むのだ。

こうした色んな音の、いわば最大公約数って感じなんです、HOTCAKEが。色んな音のイメージを内在しているようなニュアンス。ただ、これはあくまでも僕が好きな数種の音っていう意味なので、好みが違えば「なに言ってんのお前?」で終わるので、難しいところです。

ちなみに、私はクリーンにセットしたMarshallで鳴らしています。現在はDSL20Cを所有。元々は自宅のValvestateで音作りをしていたせいか、スタジオやライブハウスにある真空管のスタックでもコンボでも、Marshallが馴染みます。JCやフェンダーでは作った時の音の印象が変わってしまったり、コンプ感に違いを感じるので、気持ちが落ち着きません。Valvestateはパワーアンプ部に真空管を使ってませんが、それでも「あぁ、Marshallだな」って後から気づかされました。MGシリーズのことは良く分かりませんけど…。

 

最後に、3台の違いを。

上の写真が私にとっての初代。1999年購入。電源は電池のみ。なぜか穴が開いているのにフタがされている状態で、内部回路にも外部電源供給のプラグはないという仕様。増設できるようにしていたのでしょうか? スイッチはMID LIFTにしてます。NORMALはくぐもってしまい、個人的には使い道がありません。

ボードに固定せずに持ち運びしていたので、塗装のハゲがあちこちにあります。

 

上が3KNOB。トーンをつまみで微調整出来ることと、レベルが大きくなっているので使いやすいかもしれません。音質も若干違っていて、OLD CIRCUITに比べて若干ブーミーさが薄れています。あくまでも私のは。いや、あるんだけど薄くなってる。でも、音像自体が軽くなっているわけではなく、結構しっかりとしたコシと重心があるので、これはこれで汎用性は高まっていると思います。それと、表記はNORMAL/MID LIFTからPRESENCEに変わっています。

3KNOBを買った理由は、ボードを組む都合で外部電源供給のできるものが欲しくなったということと、可変トーンがどないなもんだ?と試したくなったためです。PRESENCEつまみの位置は、だいたい2時~3時程度で、少し上げ目にしています。

それと、どうやら3KNOBには、内部のスイッチで音色を変えられるものもあるらしいですが、私の持っているものはそうした仕様になる前だったせいか、そもそもそういう仕様だったのかは分かりませんが、音色切り替えのスイッチはありません。上の写真が内部で、切り替えできる機種はスイッチが上部にあるようなのですが、見ての通り私のにはありません。

ケースや説明書にも音質変化の記載は無し。今売ってるのは「3KNOBS」と、末尾にSが付いているようなので、そこがリニューアルの境目でしょうか?

 

で、3台目のOLD CIRCUITは、レベルが少しだけ大きくなっているようですが、音質は初代とほとんど変わらず。低音が若干スッキリしているかな? でもブラインドテストしたら分からないでしょう。買った理由は、ガリがひどくなった3KNOBを修理に出した時にさみしくなっての衝動買い。なにせルックスがカッコ良くなってたので。ケースの形状とノブの高さが変わり、全体の色が白くなったんです。はた目からすると微妙な差でしょうが、個人的には大きい差! 3台目を買うとき、店員さん同士が「カッコいいよね~」と言ってましたが、まさにその通り。

今まで、いくつものペダルを買い、そして売るということを繰り返していましたが、HOTCAKEは一生ものです。

で、3台も持っていて、中古も良く見るようにしているのに、

この、いまだにHUMAN GEARのページに載り続けている個体、というかこの時期(?)の、角ばったケースのタイプを見たことがないんです。これは謎。中古で出たらコレクションとして買ってしまいそうです…。

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BOSS OD-3 Over Drive

2017-10-09 | 楽器

BOSS OD-3 Over Drive

実は先日買ったDS-1を使いこなせなくて悩みまくった挙句、97年の発売開始と同時に購入し、10年前に手放し、そして今、もう一度試してみようと思って買ったのがこのOD-3です。

OD-3って、前に持ってた時から不思議な感じがしていました。自分の感情の起伏なのかどうなのか「イイじゃんこれ!」って思う時もあれば、「なんかつまらないな」と思う時もあり、HOTCAKEとTUBE SCREAMER数種で満足して、増えてしまったエフェクターを整理することにした時に売ってしまいました。

で、今年、あるバンド用にDS-1をメインの歪みにしようと使い始めましたが、いまいち馴染めなかったことがキッカケになり、もしかして今OD-3を使ったら気に入るんじゃないだろうかなーと再び触手を伸ばしたら、大当たり!

ブースターとしてもイイんですけど、これはメインの歪みとして使うのが面白そうです。質感としては、BD-2と明らかに違います。音像全体がハイ寄りで、ドライブを上げるとディストーションとも呼べるくらい歪むBD-2に比べて、OD-3は、倍音はキレイに出るけどハイ全体がきつくはならずロー寄りで、歪みは波形がスパッと切り取られためちゃくちゃ歪むタイプではなく、目の細かい粘りのある音が特徴。特徴といっても、独特な音色かといわれるとそうではなく、目立つタイプではないかもしれません。

つまりそれこそが、この機種の独自性なのかも。

色々試した結果、これに戻ってしまったという人もいるんじゃないでしょうか? 決して僕だけではないと思います。

97年に買った個体、残しておけばよかったなー。後悔してます。

しかし、知恩院の空気を吸ったDS-1を外すことは考えられず、OD-3の前にDS-1を接続しブースターとして使うことにしました。いわゆるディストーション系エフェクターをメインの歪みにすることをしてこなかった僕には、このセッティングで落ち着きました。

メインバンド用とブルースセッション用に加え、これで3つ目のボードが出来上がってしまいました。そんなに必要ないんじゃないの?という気持ちがありつつも、DS-1→OD-3→CE-5と全てボスで固めたボードは、歌謡曲もハードロックもイケる汎用性の高い代物で使い勝手が良いと思います。

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MICHAEL JACKSON 『SCREAM』

2017-10-09 | 音楽

MICHAEL JACKSON 『SCREAM』

新曲はないけど面白いコンピレーションアルバムだと思います。This Place Hotelから始まるなんて、暗さ全開!

http://www.sonymusic.co.jp/artist/MichaelJackson/info/486011

今回見逃せないのは、ロックウェルの「Somebody's Watching Me」がマイケルのアルバムに初めて入ったことでしょうか。これは聴いてもらうのが一番なのであえて説明しませんが、この曲を聴きたいがためにモータウンのコンピを探しまくったのは遠い昔の話です…。

個人的には、最後のオリジナルアルバムとなってしまった「Invincible」から「Unbreakable」が(たぶん初めて)再録されたことがうれしい。マイケルの代表曲が80年代に集中していることは誰しも異論はないでしょうが、ソロのキャリア全てを俯瞰したとき、これぞマイケル・ジャクソン!と言いたくなる集大成的な曲は、この「Unbreakable」のような気がしています。90年代以降のニュー・ジャック・スウィングのリズムを持ちながらも、BAD期のようなリフとシンセストリングスの絡み、極めつけは当時すでにこの世にはいなかったThe Notorious B.I.G.の極悪ラップ! ビギーの「Ready To Die」の「Unbelievable」と聴き比べるのも一興。過去の良い点を活かしつつも、常に新しいサウンドを求めていたマイケルの姿勢が表れている秀逸な曲です。

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