いきなり自分が持っていないギターの紹介で申し訳ないのですが、この梅雨時期、特にアコースティックギターのコンディションが気になりますので、いつかは欲しかったが現状ほぼ断念せざるを得ない「TACOMA」の話からはじめます。
この「Little Jumbo」シリーズがカッコ良くて、もう。
同時期に話題になった新興アコギメーカーとしてテイラーがありますけど、同系統であっても僕はタコマのほうがカッコいいと思ってました。2003年春号のアコースティックギターマガジンで特集が組まれてて(同時にシカオちゃんのB-25も紹介されているという贅沢な号)、いいなーなんて思い、高崎の新星堂で試奏させてもらったりもしてました。
ところが、TACOMAユーザーが増えるにつけ、「塗装がボディから浮き始めた!」という悪い評判をあちこちから聞くようになりました。修理対応に代理店もタコマ本社もてんやわんやになったようで。今でも「TACOMA 塗装」で検索するとエグい情報が出てきます。
「タコマでは、薄くて硬度の高いUV活性化溶剤が入ったポリエステルを使用している」
(アコースティックギターマガジン2003年春号から引用)
そもそも、タコマはギブソンやマーティンと違い、ラッカーではなくUV照射によるポリエステル塗装なんですよね。つまり硬い。硬いんだけど鳴りを阻害しないようにすごく薄く仕上げていたようです。
最初は「へぇー」と思っていただけだったのですが、ソリッドボディーのエレキならまだしも、サウンドホールからモロに湿気や気温差の影響を受けるアコースティック楽器には、薄くて硬い塗装は不向きだったということでしょうか? 特にこの日本では。
木の伸縮は、まだ日の経っていないラッカー塗装ならある程度許容範囲で、月日が流れラッカーが当初よりひけてくる頃にはクラックが入り、そのギターに渋みと貫禄を与え(るのだと勝手に思ってい)ます。ところが、TACOMAの場合は、伸縮に応じないほど硬くしかも通常のポリエステル塗装よりはるかに薄い塗装。木との間に不和が生じてしまうのも納得できる気がします。
でも、剥離はボディだけでなくヘッド部分もあるらしい。こうなると、そもそも接着力が弱すぎではないでしょうか。
こうしたドタバタを経て、テイラーに大きく水をあけられたタコマは、今ではフェンダーの傘下に入り、限られたシリーズしか生産しない状況に追い込まれました。何とも残念な話。
ところで、テイラーも同じような塗装なんでしょうか? ここは詳しくないのですが、木材のシーズニングも影響しているのでしょうか・・・。
その後、私が選んだのは「Gibson B-25」。もちろんシカオちゃんの影響もありますが、TACOMAが選択肢から消えてしまったという事実も背景にあったのです。
それでも欲しければ、中古を探し、はく離が見つかればリペアショップでラッカーにリフィニッシュさせてしまうということもありといえばありですが・・・今はOVATIONとGibsonで間に合ってしまったが故、少々の寂しさを感じつつも未練はあまりない、という状況です。