Fender Custom Classic Telecaster
2009年6月27日に御茶ノ水の石橋楽器で、カスタムクラシックテレキャスターを購入しました。
Fender製品が09年7月頃から一斉に値上がりし、特にカスタムショップ製品は売価で10万円くらいの値上がりが決定していて、しかもコバルトブルー・トランスペアレントの塗装がなくなるという情報も聞いたので、旧定価分の製品を見に行こうと前から思っていたんです。もちろん、ネットで事前に調べてメボシをつけていましたけど。
ところが、日本時間で前日の26日にマイケルが亡くなり、精神が崩壊してしまいました。
当初は調査のためで、マジで買おうとする意識はなかったんですが、「マイケルの形見と考えて、もしこの場で買ったら、ずっと忘れないんじゃないか?」という意識が芽生えました。
こじつけに聞こえるかもしれませんが、マイケルって、リズムギター、カッティングギターの音が大好きだったんです。本当です。
Custom Classic Stratocaster / Telecaster のコバルトブルー仕上げが各1本店頭にあった御茶ノ水の石橋楽器サウンドメディア店で、それぞれを試奏させてもらいましたが、良い音してたけど、どちらも決定打に欠けていました。
アッシュ特有の木目はトランスペアレントの塗装で良く分かるんですが、ストラトのボディはイマイチ。対してテレキャスは、ネックにバーズアイがびっしり。これは趣味でないんですよね。
それでも、カスタムクラシックのコバルトブルーにこだわりがあったので、ダメもとで、「この他にありませんか?」 と店員さんに聞くと、お店で隠し持って(?)いた届きたてホヤホヤ、封されたケースからまだ出していない、同種のテレキャス、最終入荷分を見せてもらいました。
ビビビってのがこれか!
持った瞬間、「えっ?」って思うくらい軽い。カタログでは、ボディ材は「プレミアム・アッシュ」とありますけど、これはいわゆる「ライト・アッシュ」と言ってもいいかもしれません。生音でシャラーンと、気持ち良く前に飛んでいきます。
スペックは以下のとおり。フェンダーは結構細かく表記しますね。詳しくはこちらのオフィシャルページから。
Specification
Body Material: Premium Ash
Body Finish: Urethane
Neck: Figured Maple, Large C-Shape
Neck Finish: Urethane
Tuners: Fender/Schaller Deluxe Staggard
Fingerboard Radius: 9.5"
Neck Pickup: Twisted Tele, single-coil
Bridge Pickup: Classic Tele Single-coil
Bridge: Custom Chrome Plated Steel Tele Bridge Plate w/ Plated Solid Brass Saddles
Pickup Switching:
1:Bridge
2:Neck & Bridge (Series)
3:Neck & Bridge (Parallel)
4:Neck
Strings: .010" - .046"
このカスタムクラシックシリーズは、時期によって塗装の種類が違って、ラッカー塗装の時もありました。私が買ったのはこのシリーズ最終期で、ウレタン塗装。薄く仕上げられていて、音が抑圧されている感覚は全くないです。
ネックはストラトに比べて肉厚でしたが、カマボコ型ではなく、リッチー・コッツェンモデルを初めて持った時のような違和感は無し。リシェイプしなくてOKと判断して、もう迷いはありませんでした。
派手にではなく、うっすらとフレイムが入っているメイプルネックは上品な感じがします。
もちろん、ボディ材アッシュの木目も完璧。オモテもウラも。
カスタムショップの刻印も自己満足として充分に機能しています。
アンプを通した音は、暴れる印象はなく素直。セレクターは4WAYで、ハーフポジションでは並列と直列の2種類が選べます。並列は程よいコンプ感がありつつもブライトで、カッティングに向いてます。直列は、低域がグッと迫り出して太い音になります。リア単体は、本当はもう少し出力が高いのが望みなので、いつかピックアップを交換しちゃうかも?
その後に使い始めてから、ネックが太くボディが軽いので、ストラップで肩に掛けた時、ヘッドが下がり気味になってしまうことに気がつきました。ストラトに比べて左手側に全体が寄り気味なのはテレキャスの常で仕方ありません。コンター加工されてないので、フィット感もストラトには及びませんが、いつの間にかバンドではこいつがメインギターになりました。
ローコードのストローク、ハイポジションのカッティング、どちらも無難にこなせます。ローズ指板に9.5のRadius、ミディアム・ジャンボ・フレットでベンドもし易く、ソロフレーズもOK。「ヴォーカル&ギター」としては、かけがえのない1本です。
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【追記】
Seymour Duncanの「Vintage Stack」という、シングル感を維持しつつハムキャンセル出来るピックアップにしたところ、相性が悪いのか何なのかノイズが増えたように感じ、しかも、歪ませたときに スカスカ というか、ブローするおいしい帯域が引っ込んでしまいました。買ったお店でそのまま交換してもらっただけだったのですが、どうも納得いかず、いつもリペアをお願いしている太田のウッドストックさんに相談して、もう一度別のピックアップに交換しようと思っていました。
でもウッドストックのマスターから、「これは決して悪いピックアップじゃないよ。交換した時にどういう対応をしたかわからないけど、とりあえずうちで導電処理してみるよ。それでも気に入らなかったら交換すればいい」と言ってもらい、預けて戻ってきたら…。
あらあら! ノイズは格段に減ってるし、しかもリアからは色気のある中域が感じられるじゃないですか。
ピックアップだけじゃなくて、その周辺のコンデンサーを含めた配線と導電処理って大事だなーと思いましたよ。ピックアップの交換って「こうすれば正解!」ってのは見つけにくいものだから、そのギター本体が持つ生鳴りの特性と、周辺の調整と、いろんな角度から精査をする必要性を感じた一件でした。
それにしても、とあるアメリカのバンド系シンガーソングライターのイメージが拭えず、学生の頃までは形からも好きになれなかったテレが、いまや自分のメインギターになってしまうとは。
細かく書くとキリがないのですが、「レスポール ≒ テレキャスター」という図式は、ZEP、BECKやストーンズのファンなら納得してもらえる部分もあると思います。単純に言うと共通項は2つ。ハードテイルとリアピックアップの出力。それは「対ストラト」で考えれば分かるかと。
リードギターがストラトの場合、トレブリー過ぎないテレのリアでバッキングすると、音が被らず良い具合です。また、フロントとの出力差も逆においしくて、リアで歪ませ、フロントでクリーンになるセッティングを基本にすると、いろんな場面に瞬時に対応できるのでありがたいです。
使えば使うほど、なぜVocal&Guitarでテレが選ばれる率が高いのかが分かる気がします。