声帯がん治療のため療養していた音楽プロデューサー・つんく♂さん(46)が4日、母校・近畿大学の入学式にサプライズで登場し、10月にがんが再発し「声帯の摘出」手術を受けていたことを告白し話題になっています。その後、声を取り戻すために「食道発声法」の習得に取り組んでいることが5日、分かりました。周囲には「なんとしても、もう一度自分の声で言葉を発したい」と伝えているそう。「喉頭がん」から声帯摘出、そして食道発声法までの流れを詳しくご説明していきましょう。
「声を捨て、生きる道選んだ」に静まる会場
「なぜ、今、私は声にして祝辞を読みあげることが出来ないのか…それは、私が声帯を摘出したからです」、スクリーンに映し出されたメッセージに静まり返る会場。そして「一番大事にしてきた声を捨て、生きる道を選びました」と告白。
つんく♂さんは、1988年12月にシャ乱Qを結成。1992年にメジャーデビューするも、その後はプロデュースなどを行いシャ乱Qの活動は休止。活動を再開した翌年の2007年に、喉に原因不明の病を抱え、高音が出にくくなっていることを告白していました。つんく♂さんを襲った「喉頭がん」とはどんな病気なのでしょうか?なぜ、声帯を摘出しなければならなかったのでしょうか?
喫煙者に急増している「喉頭がん」とは?
肺がんと並んで喫煙歴と高い相関があるがんが「喉頭がん」です。日本では外国ほど多くはありませんが、10年前と比較して徐々に増加してきています。とくに女性で増加しており、これは女性の喫煙率の増加と相関があると考えられています。
また、喫煙歴のない罹患者も少数いますが、この場合は食生活の欧米化に伴って胃食道逆流症が増えていることも原因であると考えられています。
症状の現れ方は、がんが声帯に発生した場合は、声がれで発症し、比較的早期に発見されることもあります。しかし、声帯より上方もしくは下方にがんがある場合、必ずしも声の症状を呈してこないので、時に無症状のまま腫瘍が増大し、気道狭窄(きょうさく)、嚥下(えんげ)困難などの症状で発見される場合もあります。
「喉頭がん」の中でも早期発見が難しい「声門下癌」その治療法とは?
癌の中でも早期発見と早期治療が比較的容易な喉頭がんですが、ほかの癌と同じく、治療をしても再発する可能性があります。放射線治療のあとの再発は、喉頭の部分摘出手術により、声を失わずにすみます。
図:咽頭と喉頭の構造
喉頭を全摘出手術すれば、確実に再発を防ぐように処置できますが、 残念ながら声は失われてしまいます。 喉頭がん治療のあとは、再発してもすぐに対処できるように、 手術後5年間は定期的に検診を受けることが大切です。
喉頭がんは発症する部位により「声門癌」、「声門上癌」、「声門下癌」の3つに分けられます。声門癌、声門上癌では、進行によって喉頭全摘出術を行います。喉頭がんで気をつけたいのが、声門下癌です。 声門下癌は、声門癌と声門上癌と比べると、初期病状が分りにくく、早期発見が難しいとされています。 気付いたときには、進行している場合があるため、喉頭の全摘出の患者割合が高いのが特徴です。
そして、声帯を摘出した後、自分の声で言葉を発する場合、機械を喉に当て、比較的簡単に音声を発することができる「電気式人工喉頭」と「食道発声法」の訓練を行うことで自分の声で発声する方法があります。今回、つんく♂さんは、機械には頼りたくないと「食道発声法」を選択。これは、肺でなく胃にためた吸気を逆流させ、食道の一部を振動させるもの。一般的には早ければ1年ほどで声を発することができるようになります。習熟度を上げれば、元の歌声は望めないまでも再び歌うことも可能だということです。つんく♂さんの周囲によれば、すでに食道発声法を研究する団体のもとで、先日リハビリを開始しているようです。
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