先日、簡易水冷で第11世代のCore i7 (11700K)を冷やしきれたと書いたが、実はそうでなかったことが判明。
Cinemabench R23で負荷をかけ、CPU Utilizationが100%, Package TDPが180W くらいになっても Package Tempatureが 70℃強だったのは事実。
ところが、数値計算のベンチである Linpackを走られたところ、あっさりとサーマルスロットリングが発動。CPU Utilizationは50%だが、Package TDP が 225Wほどになり、Package Tempature は100℃にべったり。プログラムを止めるとスッと40℃程度に落ちる。
水冷なので、熱の流れはこうなる。
CPUチップ -- CPUチップとヒートスプレッダーの間のグリス -- CPUのヒートスプレッダー -- CPUグリス -- クーラーヘッド -- 冷却水
スッと40℃に落ちることから熱容量の大きい冷却水は40℃ぐらいと推定される。また、Package Tempatureとあるのは実際はCPUチップの温度と過程。アイドル時のTDPが20Wとして、Cinebenchで +160W の時の + 32℃、Linpack で +225W の時に + 60℃ 。つまり、CPUチップから冷却水までは、 0.27~0.2 ℃/Wの熱抵抗という事だろう。
CPUチップからヒートスプレッダーまでの熱抵抗は、いわゆる殻割りの記事から推定してみる。 (https://blog.tsukumo.co.jp/shimizu_oc/2016/09/cpu_2.html)
上記の記事では、CPUチップと蓋の間のグリスを金属グリスに換えたことで、およそ200W消費時に 90℃が64℃に下がったという。つまり、オリジナルの状態では 0.13℃/W 以上の熱抵抗があったことになる。世代の異なるチップの話だが、第11世代のCore i7でも傾向に大きな違いはないだろう。
ということでこの推測に基づくと、熱抵抗の半分弱は市販CPUをそのまま使う以上どうしようもない。
また、残りは、おおむねCPUグリスを経由してクーラーヘッドから冷却水への熱抵抗となる。
ストックの状態ですら、第11世代 Core i7 (11700K) の計算能力を出し切るのは大変だ。