Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

超級天才。五嶋龍

2008-08-16 | musique... ongaku
8月15日、京都コンサートホール
夕方、続々と人が集まり始めました。

磯崎新が設計のこの洗練を極めたホールで、この日は五嶋龍のコンサートがありました。
できうる限り、もっともシンプルに。もっとも美しく。
目にも耳にも、感覚に最高のものであると一目で判る、見事なホール。
そこで、超級天才の演奏。
ヴァイオリンに関してドがつく素人の自分にも、強烈な印象を鮮やかに刻んだひとときでした。

あっさりと、でも目に気持ちよく彩り様々にお洒落したひとたちが、楽しそうに集う。
われわれ夫婦も軽くめかしこんでおでかけ。
わたしはとっておきのルブタンでわくわく。近所なので、てくてくのんびり歩いて向かいます。





これが、当日の曲目です。



パガニーニの曲でデビューしたのが、7歳のとき。
その超がいくつもつく難曲を完璧なテクニックで、現在ももちろん尚いっそう楽々と弾きこなし、さらにまだまだ余力が充分にありそうな軽やかな佇まい。
ストラディヴァリ作エクス・ピエール・ローデの豊かで官能的な音色、ふくよかで涼しい高音の伸び。
透明感がさあっと広がり、さまざまなパステルカラーの花びらを持つ大きな一輪がふわりと大きく咲いていくように、彼を中心に空気の色が変わります。
そこをさらに、スタッカートの小気味良い響きがスパイスのように貫く。

身を乗り出すようにして食い入るようにその指先を目で追うのは、観客だけではない。
共演のオーケストラも、息を呑んでその魔法のような演奏に釘付けになっているのが見て取れました。

満員の会場の熱を一気に高めるようなカルメン。
アンコールにバッハのシャコンヌ、次いで、またも見事なパガニーニの一曲。
魅せられ、ただただ「凄いね」との言葉を繰り返し言い合いつつ、音楽に酔う夜を終えました。

冴え冴えと光る月に照らされて、帰途につくどの顔も、すっかりあの信じ難い音色に染められていました。
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