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数年前、ロンドンに旅行に行った時、初めてこの舞台を観ました。
ものすごい感動で、涙と鳥肌の連続でした。
きっとあれ以上には、映画にも、二度目以降の舞台にも、もちろん「四季」にも、感動することはないだろうと思っていたので、今回、映画を気楽に面白く、鑑賞してきました。
映画ならではの良さ・美しさを堪能出来て、良かった。
ただし、テーマには、解決することのない問題が込められていて、ずっと心に残る演目であることは、変わらないと思います。
以前、友達から借りた本、林 望氏著の『リンボウ先生、イギリスへ帰る』中にある、"叡智それとも死?"とタイトルされた名エッセイ。
『オペラ座の怪人』舞台への、熱い想いが綴られています。
そこに暴かれたテーマに感銘を受けて、その内容が頭にありつつの、今回の鑑賞でした。
「老醜とセクシュアリティ」というキーワードを踏まえて書かれた、このエッセイ。
まだの方には、ぜひ一読をオススメしたい名文ですよ!
この印象があまりにも強烈で、映画を観ていても、ファントムの悲哀が、よりじんじん感じられてしまった。
老醜。
この、誰もが避けて通れない現象。
醜いファントムとは、決して異世界の住人ではなく、来るあなた自身の姿の暗喩。
あなたはその時、不意に自分に湧き上がった恋の情熱を、自身の老醜のためにためらうことがあるのではないだろうか?
その引け目を、社会的地位(仮面)で覆って、自分の魅力を形作ろうとするのではないだろうか?
しかし、恋は、自分の仮面をすべて取り去ったところに真髄があるもの。
「本当のあなたを見せて」と、仮面を剥ぎ取りにかかる恋人に、ありのままの自分の、すべてを晒す勇気がありますか?
若い恋人、若い恋敵(つまりは自分が失ったものを持つ相手の脅威)、そこに直面したあなた自身のセクシュアリティの問題は、深く、重く、教養ある大人であるあなたにのしかかる。
そして、もうひとつのセクシュアリティの問題は、少女クリスティーヌの葛藤。
若く美しい恋人ラウルと、ファントムの間で揺れ動く。
幼い頃に両親を亡くした彼女にとって、ファントムは父親の代償であり、同時に永遠の恋人でさえあります。
ただし、大人に向かうにつれて、親の庇護からは卒業していく。自分と同世代の恋人と、新しく関係を作り上げていき、与えられることから巣立っていく。
しかし、真の深い愛を与えられた記憶は、彼女の中に深く根付き、なかなかその甘い心地良さから抜け出すことが出来ない。
結局、彼女が本当に愛しているのは、どちらか。
表面的にはラウルであっても、彼女の本当の心は、ファントムへ向かっている。
永遠に満たされない、登場人物たちの想い。
・・・
・・・そんな重みのある内容の、林さんの評ですが、歳を経てなお深くなる、恋という感情の激しさ、重さを感じさせますよね。
まさに、魔物。
「ファントム」って、恋にとりつかれた人間そのもののようです。
ふと視点をかえますが、
個人的には、クリスティーヌも、かなりつらい立場だと思うんです。。
究極の選択じゃありませんか?
AにもBにも、すごく惹き合うものを感じ、情熱的な想いを寄せている。
欲張っているわけではなく、彼女は、惹かれるものに素直になりたいと思っている。
でもその道がひとつではない。
自分の心がわからない、定まらない、ことほど、悩ましいことはありません。
これはつらい・・・。
美しい登場人物たち(うーん、クリスティーヌの肌の美しさったらないですね!!
)の豪華絢爛さに魅せられつつ、
その濃密な恋愛関係に圧倒された、2時間強でした。
公式ページは、こちら。
ものすごい感動で、涙と鳥肌の連続でした。
きっとあれ以上には、映画にも、二度目以降の舞台にも、もちろん「四季」にも、感動することはないだろうと思っていたので、今回、映画を気楽に面白く、鑑賞してきました。
映画ならではの良さ・美しさを堪能出来て、良かった。
ただし、テーマには、解決することのない問題が込められていて、ずっと心に残る演目であることは、変わらないと思います。
以前、友達から借りた本、林 望氏著の『リンボウ先生、イギリスへ帰る』中にある、"叡智それとも死?"とタイトルされた名エッセイ。
『オペラ座の怪人』舞台への、熱い想いが綴られています。
そこに暴かれたテーマに感銘を受けて、その内容が頭にありつつの、今回の鑑賞でした。
「老醜とセクシュアリティ」というキーワードを踏まえて書かれた、このエッセイ。
まだの方には、ぜひ一読をオススメしたい名文ですよ!

この印象があまりにも強烈で、映画を観ていても、ファントムの悲哀が、よりじんじん感じられてしまった。
老醜。
この、誰もが避けて通れない現象。
醜いファントムとは、決して異世界の住人ではなく、来るあなた自身の姿の暗喩。
あなたはその時、不意に自分に湧き上がった恋の情熱を、自身の老醜のためにためらうことがあるのではないだろうか?
その引け目を、社会的地位(仮面)で覆って、自分の魅力を形作ろうとするのではないだろうか?
しかし、恋は、自分の仮面をすべて取り去ったところに真髄があるもの。
「本当のあなたを見せて」と、仮面を剥ぎ取りにかかる恋人に、ありのままの自分の、すべてを晒す勇気がありますか?
若い恋人、若い恋敵(つまりは自分が失ったものを持つ相手の脅威)、そこに直面したあなた自身のセクシュアリティの問題は、深く、重く、教養ある大人であるあなたにのしかかる。
そして、もうひとつのセクシュアリティの問題は、少女クリスティーヌの葛藤。
若く美しい恋人ラウルと、ファントムの間で揺れ動く。
幼い頃に両親を亡くした彼女にとって、ファントムは父親の代償であり、同時に永遠の恋人でさえあります。
ただし、大人に向かうにつれて、親の庇護からは卒業していく。自分と同世代の恋人と、新しく関係を作り上げていき、与えられることから巣立っていく。
しかし、真の深い愛を与えられた記憶は、彼女の中に深く根付き、なかなかその甘い心地良さから抜け出すことが出来ない。
結局、彼女が本当に愛しているのは、どちらか。
表面的にはラウルであっても、彼女の本当の心は、ファントムへ向かっている。
永遠に満たされない、登場人物たちの想い。
・・・
・・・そんな重みのある内容の、林さんの評ですが、歳を経てなお深くなる、恋という感情の激しさ、重さを感じさせますよね。
まさに、魔物。
「ファントム」って、恋にとりつかれた人間そのもののようです。
ふと視点をかえますが、
個人的には、クリスティーヌも、かなりつらい立場だと思うんです。。
究極の選択じゃありませんか?
AにもBにも、すごく惹き合うものを感じ、情熱的な想いを寄せている。
欲張っているわけではなく、彼女は、惹かれるものに素直になりたいと思っている。
でもその道がひとつではない。
自分の心がわからない、定まらない、ことほど、悩ましいことはありません。
これはつらい・・・。
美しい登場人物たち(うーん、クリスティーヌの肌の美しさったらないですね!!
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その濃密な恋愛関係に圧倒された、2時間強でした。
公式ページは、こちら。
でも、そのせつなさに心奪われながらも、
映画で、仮面舞踏会のシーンがあったとき、「マツケンサンバ」を連想してしまい、なんか違う楽しみをも味わってしまいましたよ・・・