Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

美の極みへ羽ばたいた精神に届く 『大琳派展』

2008-11-15 | art... bijutsu
身も心も震えました。
久々の感覚です。

10月30日。
nicoさんと名残惜しくお別れした後、上野へ。
大琳派展。(★明日16日までです。お気をつけて、いってらっしゃいませ!)
なんと素晴らしいタイミングで東京へ戻ってきたものです。
こんなものを見ることができるなんて・・・。

じゅじゅさんのブログで、「混んでいる」と知ったので調べてみると、なんと混雑時間帯表がリアルタイム計測・更新される仕組みまでHP上にできている。
さらに、ほとんどの時間が「混雑」。
大大大人気!!!
数度観に行かれたじゅじゅさんから実況中継を頂くと、案の定の人ごみとのこと☆
「まあまあ空いている」となると閉館間際かなということで、ゆっくり六本木ヒルズ内をブラブラしながら、夕方、向かいました。

俵屋宗達『風神雷神図屏風』なら京都建仁寺にあるでしょうといわれそうですが、まだ見に行ったことはなく。
しかも、4枚の『風神雷神』が一堂に会す。それはここでしかかないません。
なんて豪勢なことかしら。
入り口からいきなりその圧巻な光景が広がっているのですが、
深く重く輝く金地、
伸びやかに鮮やかな図柄、
雄弁に語る空間、
・・・鼓動が激しくなり、食い入るように眺めました。
洗練を加えてはいくものの、わたしは俵屋宗達のオリジナルが一番印象的でした。
澄んだ美しさ、透明な感じが好きです。

ところで、
たとえば西洋の油彩展などと比較してみると、断然ここは、作品とそれを鑑賞する日本人の姿かたちがしっくりとよく似合っていました。
しっとりきらめく金色と、やわらかな植物の発色。蒔絵、その見事な細工。
ほんのりライトに照らされたその前を女性の姿がふっと横切ると、あたかも彼女が豪華な着物をさらりとまとったように見える瞬間があります。
色合い、輝き、
ほんのり陰りを帯びた潤いのある色たちは、まさしく日本の美の真髄。
このクリエイターたちはこうして、当時から作品だけでなく周りの人間も美しく作り、変えてきたのだ。
贅を尽くした豪華絢爛な世界に想像が飛んでいきました。
これは、日本人にこそ似合う美の最高峰。
現代わたしたちが世界のあらゆる美のかたちを知ることができる文化のなかにあって、なお最高級の煌きを誇っています。

それにしても、植物の図柄がどれもほんとうに美しかった。
筆運びの柔らかさ、線の伸びやかさ、彩色の絶妙。
「む、難しそう・・・」
と線を目で追いながらシロウトまるだしの視点でひたすら感嘆してしまうのでしたが、
なによりその構図の自由で堂々たる様子が、最高に粋で、すかっと気持ちよく、
「これぞ芸術なのだ」
ということを知らしめてくれました。

残念ながら、作品を印刷したものに、その輝きは出ません。
本物以外のものは、すべてちゃちくなってしまう。
だから、図版や絵葉書を買うのは諦めて、ひたすら何度も何度も会場を巡りました。

奇跡の存在を感じた展覧会でした。

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