越冬隊によるボツンヌーテン初登頂
タロとジロを含む樺太犬19頭を伴った第1次南極観測隊。
第1次観測隊は、隊員の中から11名を選抜し、観測隊副隊長の西堀栄三郎氏が越冬隊長として隊を指揮、南極での越冬を開始しました。
越冬隊はそれぞれ専門分野の知識人が選抜されましたが、昭和基地の設置、観測船 宗谷から降ろした荷物の運搬といった作業は、人員が限られていることから越冬隊院総出での業務となりました。
昭和基地周辺の地図
越冬隊は昭和基地の設置を済ませると、犬ソリを率いてカエル島への遠征を成功させ、続いて
昭和基地から南へ約180キロほどの岩山〜ボツンヌーテンを目指します。
ボツンヌーテンは昭和基地から南方へ180kmほど離れた氷床上に、ぽつんと存在する〜孤高の露岩山〜です。
ボツンヌーテン〜ノルウェー語で「奥岩」の意味。
主要部の山体は3つのピークから成り、主峰である中央峰(1486m)、西峰(1472m)東峰(1450m)。
日本の山で比べてみると、噴火で大災害をもたらした九州、島原半島の雲仙岳〜1483メートル。
北関東の榛名山〜1449メートル。
観光名所の箱根山〜1443メートル。
ボツンヌーテン
写真〜公益財団法人 日本極地研究振興会
越冬隊は当初、山麓まで雪上車での走破を計画しましたが、厳しい環境下の南極での運用は思いの外、雪上車にダメージを蓄積させ、故障が相次ぎました。
そこで、犬ソリでの遠征に切り替えました。
昭和基地を出発して11日目の昭和32年10月27日、荷物を曳いてきた犬たちを留守番として、山麓に待機させ、
越冬隊員3名による登山が行われました。
ボツンヌーテンの初登頂は、第1次越冬隊(犬ソリ旅行隊3名)によるものとして、昭和基地から約10日間かけて到達し、1957年10月27日にリーダーである中野隊員をはじめ、犬係の菊池隊員、北村隊員の3名が、南面から主峰に約2時間かけて登頂しました。
比較的広い山頂にて、越冬隊11名の名を刻んだ銅板を埋めて下山。
昭和基地からボツンヌーテン登頂と その走破は435キロにも及ぶ苦しい行程となりました。
南極最高峰であるヴィンソン・マシフ〜標高4892メートルに比べると、ごく小さい岩山ですが、まだ技術も経験も無かった当時の越冬隊のわずか3名による初登頂は偉業といえるでしょう。