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日本歴史紀行

歴史紀行 特別編 29 ゼレンスキー大統領 広島 G7 サミット スピーチ全文






昨夜閉幕した広島G7サミット。
ロシアの蛮行が止まない中、開幕直前に報じられたウクライナのゼレンスキー大統領の出席が決まり、極めて重要なサミットになったのではないかと思いました。

広島空港に到着したゼレンスキー大統領は、足早にタラップを降りると、木原官房副長官、ウクライナ駐日大使らの出迎えを受け、広島市内へと向いました。

G7各国首脳はもちろん、インドなど、貿易等とりわけロシアとの関わりが深いサミット招待国の首脳陣とも積極的に会談しました。

ゼレンスキー大統領は広島市の松井市長の出迎えを受けて広島市原爆資料館を視察し、視察を終えた後、母国ウクライナによるロシアへの猛反撃が予想される中で記者会見を開きました。


以下、ウクライナ共和国ゼレンスキー大統領の会見全文です。







ウクライナ共和国
ゼレンスキー大統領 全文



ご列席のみなさま、日本国民のみなさま、平和を尊重する世界中のみなさま。

私は、戦争によって歴史の石に影を残すのみになってしまったかもしれない国からここに参りました。

ですが、わが国の英雄的な人々は、戦争そのものを“影”にするために歴史を巻き戻そうとしています。


私は、世界に戦争はあるべきではないと思っております。

人類は長きにわたって、血に染まった対立で多くの人命を失ってきました。死は空から落ちてきたり、海からもたらされたりしました。放射線が死をもたらしたこともありました。


人間が人間を死なせてきました。

戦争なしに人類の歴史を想像することはできないという人もいます。
ですが、戦争こそ人類の歴史にあってはならないものだと私たちは申し上げます。


ウクライナは破滅的な戦争の中心地にあります。

侵略者は私たちの土地にやってきて、私たちウクライナ人を征服したいだけではありません。


ロシアは世界に対し、この世にウクライナ人などまったく存在しない、とうそをついているのです。

もしも私たちがこれほどまでに勇敢でなければ、ロシアによるジェノサイドは成功していたかもしれません。


そして、ウクライナは影だけになっていたかもしれません。全土の人々が、影だけに。

けれども、ウクライナの人々は果てしなく勇敢で、自由を愛しています。私たちは生き続けていきます。自由に生きていくのです。


敵が使っているのは核兵器ではありませんが、ロシアの爆弾や砲撃によって焼き尽くされ廃虚となった私たちの街は、私がいまここで見てきたばかりのものと似ています。



広島の原爆資料館を訪れることができたことを光栄に思います。このような機会をいただけたことをとてもありがたく思っております。


人々が歴史の中で見つめてきたことは、無数の人々の暮らしが灰と化したということです。

街のかわりに焼き尽くされた土地が残り、家々はがれきを残すのみとなったことです。


広島は今、復興を遂げています。
私たちはがれきと化してしまったすべての街、ロシアの攻撃による被害を受けていない家が1軒もなくなってしまったすべての村が復興を遂げることを夢みています。


私たちは、私たちの領土を取り戻すことを夢みています。

ロシアに占領されていた北部の領土を取り返したのと同じように、東部や南部のウクライナ領土も取り返さねばなりません。

私たちは、現在ロシアに拘束されている人々を連れ戻すことを夢みています。戦争捕虜、民間人、強制移住させられた人々や連れ去れた子どもたちのことです。

私たちは勝利を夢みています。

勝利のあとの平和を夢みています。
しかし、そのためには、この侵略者だけでなく、戦争そのものの野心を敗北させなければなりません。


そして、これこそ世界中のすべての人々にとって重要なことなのです。世界に対し、この場所からウクライナへの団結の呼びかけを聞いていただくために、私はここ、広島におります。


ロシアは文明的なものすべてを踏みにじりました。

ロシアは1年以上、私たち最大の、そしてヨーロッパにとっても最大の原子力発電所を占拠し続けています。


ロシアは、戦車で原子力発電所を砲撃した唯一のテロ国家です。

原子力発電所を武器や弾薬の貯蔵施設にした人々など他にいませんでした。

ロシアは、私たちの街をロケット砲で攻撃するために、原子力発電所に身を隠しているのです。

もし、ロシアのほかの戦争犯罪をまだ無視することができる人がいるのなら、このようなロシアによる人道に対する罪は、すべての人が行動を起こすきっかけとなるはずなのです。

1986年のチョルノービリ原子力発電所の事故を生き抜かざるを得なかった私たち、ウクライナが申し上げております。

私たちの土地の一部は、いまだに立ち入り禁止区域のままです。

想像してみてください。ロシアはその地域で攻勢をかけたのです。ソ連時代に放射能で汚染されたものを埋めた森の中に、ざんごうを掘っていたのです。

ロシアによるこのような悪行、愚行が放置されれば、世界は間違いなく破滅するでしょう。

同じような戦争を起こそうとするほかの犯罪者が現れるのは時間の問題です。


もしロシアが占領した領土の一部でも保持することを許されるのであれば、国際法は二度と機能しなくなるでしょう。

ウクライナは平和のフォーラムを提案しました。

公正で現実的なものです。


その最初の項目は、“放射線と核の安全”です。

ロシアは、放射線と核による世界への脅迫をやめ、現在占拠している原子力発電所をウクライナとIAEA〜(国際原子力機関)の完全な管理下に戻さねばなりません。


私たちの(平和のフォーラ厶)には、10の項目があり、それぞれの意味が国連決議によって確認されたものです。

ウクライナに対するロシアの戦争を終わらせるためにすべきことすべてが含まれています。


ウクライナの「平和のフォーラ厶」の強みは、ロシアの侵略の野心を阻止し、ロシアが侵害した安全を回復し、世界にもうひとつの結果をもたらすことができるのです。


ほかの潜在的な侵略者を抑えることができます。

世界が平和を望んでいるときにどれほど団結し、決意を固めているかを戦争を望むすべての人が知れば、戦争を始めることに意味を見いだせなくなるのです。


これまでのところ、世界は侵略者を止めることができる「フォーラム」を持ち合わせていません。

ウクライナはそれを提案しております。
ウクライナは世界に対し、戦争からの救いを提案しております。


このためには、私たちが団結し、ロシアを最後の侵略者にしなければなりません。

ウクライナへの侵略が敗北に終わり、平和だけが世界を席けんするようになるように。

私たちは異なる文化をもち、異なる信念をもち、国旗も違います。
しかし、自分たちのため、子どもや孫たちのために、安全を望むのはみな同じです。


戦争がひとたび起これば、私たちの命はひとしく灰と化してしまいます。


戦争が石に影を残すのは歴史の中だけになるように、それが博物館でしか見られないようにするために、世界中のすべての人ができる限りのことをしなければなりません。


世界中のすべての人々が、他国を尊重しなければなりません。

世界中のすべての人々が、国境を認めなければなりません。

世界中のすべての人々が、正義を守らなければなりません。

世界中のすべての人々が、生命を大切にしなければなりません。

世界中のすべての人々が、みずからの義務として平和を受け止めなければなりません。

ここ数日間、青と黄色の旗を通りに掲げてくださったことに対し、広島の皆さまに感謝申し上げます。

ウクライナの旗がそこにあるというのは、自由への信念、生命への信念、ウクライナの人々を信じる思いの証明です。

ありがとうございました。

日本のみなさま、岸田総理大臣、包括的な支援に感謝申し上げます。

戦争の犠牲となったすべての人を追悼いたします。

平和が訪れますように。ウクライナに栄光あれ。






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