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分杭峠紀行

2006-09-01 21:04:32 | 漫録
8月31日。そろそろ夏も終わりだなぁと思うと、そのうち行ってみようと思っていた分杭峠のことを思い出しました。峠の上は標高1400メートルもあるそうですから、暖かいうちに行かないときつそうです。冬場は雪で通行止めになるそうですし。

この日は私の誕生日でもあるのですが、特に予定もなく、天気も良好。このまま家に閉じこもってすごすのはもったいなかったので、分杭峠まで出かけてみることにしました。ちょうど平日なので、人気の観光スポットとはいえ人も少ないはずです。

出発前に分杭峠までのルートをネットで検索してみました。こちらの分杭峠を紹介しているサイトにある地図の画像や説明をコピーして携帯に保存して準備しました。他のサイトを見ていると駒ヶ根からのルートのほうがよさそうだと思っていたのですが、こちらのサイトでは伊那からのルートを紹介しています。私も自信はありませんでしたが、ためしに伊那ルートで行ってみることにしました。

交通手段は自転車です。いくら市内とはいえかなり距離があることはわかっています。1日がかりのお出かけになるだろうと覚悟して、早めに家を出ます。家を出てすぐに携帯のカメラ機能で1枚写真を撮りました。写真を撮ると時刻のデータも一緒に保存されるので、時刻のメモ代わりにもなるのです。この写真に記録されていた時刻は9時57分でした。

食料品はカロリーメイトを家から持参。歯磨き代わりのキシリトールガムもボトルごと持って行きました。途中、セブンイレブンで飲み物とおにぎり2つを購入。水は分杭峠で湧き出ているようなので、それを期待して500mlのボトルの水とスポーツ飲料を1本ずつ買っただけ(途中でもう一本お茶のボトルを補給しました)でした。空になったボトルに湧き水を汲む計画です。出発してから約50分後に最初の休憩。先は長そうなので、休み休み行かないと体力が持たないでしょう。

休憩中に写真を1枚。10時46分。帽子とサングラス、Tシャツにジーパンというシンプルな服装です。普段は帽子などかぶらないのですが、暑かったので持ってきました。これは正解。サングラスは強い日差しを避けるというよりも、目に虫やごみが入るのを防ぐためです。しかし、意外にもTシャツは失敗でした。そのわけは後ほど。

三峰川橋を渡るまでは川沿いに設けられた自転車・歩行者専用の道路を走ったのでなかなか快適でした。三峰川橋が最初の目印だったのですが、ここまで来るのも意外に遠かったです。上の写真の奥に見えるのが三峰川橋です。ここまでで10時55分。

しばらくして高遠を通り抜け、次の目印の白山トンネルに到達。11時23分。

トンネルは600メートル。幽霊が出そうな不気味さはなく、まっすぐなので入り口から出口の明かりがすぐに見えます。携帯のデジカメでも意外にきれいに撮れましたね。

トンネルを抜けるともうそこは長谷だったと思います。しばらく行くと美和ダムがあります。確か、小学生くらいのころに1度だけ社会見学かなんかで来たことがあるような覚えがあります。11 時41分。ちょうどお昼時なので、ここでひとまず休憩。ダム湖を眺めながらおにぎり1つ食べました。ダム湖にはモーターボートに乗って遊んでいる人たちがいました。

出発して向こうを見ると、山の間にV字の切れ目が見えます。12時19分。先のWebサイトにもあの辺りが分杭峠だと説明があったのを思い出しました。しかし、遠い。あんな遠くまで本当にたどり着けるんだろうかと心配になりました。知らないほうがよかったのかもしれません。

道の横には河が流れていて、水浴びでもしたら気持ちがよさそうです。暑いし、かなり疲労もたまってきたので、我慢ができなくなって、とうとう途中で川に入って水遊びしてしまいました。13時17分。ジーパンをひざまでめくってしばらく川の中を歩いて冷やしました。しかし、ここでゆっくりと休んでおいたのは正解でした。

このすぐ後に道はのぼり坂になり、分杭峠の頂上まで一度もくだることはありませんでした。目的地が「峠」であるということを甘く考えすぎていました。峠越えの厳しさは私自身何度も歩いて経験済みなのに、すっかり忘れていたのです。自転車に乗って軽いノリで来てしまったことをつくづく後悔することとなりました。

ほとんどの人は峠など自動車で通過してしまうので、それがどれほど急かということも気づかないだろうし、せいぜいなだらかな丘を越えたくらいにしか感じないのかもしれません。地名に「峠」とあっても、そのことにすら気づかないこともあるでしょう。しかし、峠というのは実際に歩いてみると、そう簡単に越えられるものではないことがよくわかります。よく、病気などで厳しい状況を過ぎることを「峠を越えた」などと表現することがありますが、実際に峠越えの厳しさを知っている現代人などほとんどいないと思います。自動車で何の苦もなく峠を越えられる現代になって、「峠を越えた」などという言い方をしても、その辛さなど伝わるわけもありません。

のぼり坂の始まり付近にあった看板には、「分杭峠あと5キロ」というような表示がありました。平地なら自転車で10数分でたどり着ける距離です。あともう少しだと思ったのですが、それは大きな間違いでした。始めのうちは自転車に乗ってのぼっていたのですが、平地や下りは一切ないので、すぐに降りてしまいました。後はずっと自転車は手押しで、歩いて坂をのぼり続けました。「分杭峠2km」の看板にたどり着くまでに1時間以上かかってしまいました。

14時19分。とろとろと歩きながらようやく「分杭峠2km」という表示を見つけました。(上の写真の右側に私の自転車が見えます。)すでに体力は限界でしたが、やっと半分のぼった程度に過ぎません。ここで休憩を取り、最後のひと踏ん張りのために栄養補給もしておくことにしました。カロリーメイトを取り出してかじります。映画「ロード・オブ・ザ・リング」でフロドたちが食事をする場面を思い出しました。彼らも携帯食として「レンバス」とかいうエルフの食物を持っていました。一口かじるだけでおなかいっぱいになるという魔法のパンです。ゴラムはレンバスは口の中の水分をみんな吸い取られてしまってとても食べられないといって嫌います。生の魚や肉のほうがジューシーでおいしいそうです。確かに、カロリーメイトもそんな感じです。すでに残り少なくなったボトルの水で、ぱさぱさしたカロリーメイトを溶かしながら食べました。頂上にいけば水もあるだろうから何とかなるでしょう。食事のあとはキシリトールガム。

周りには誰もいないのに、ひとりで「頂上はまだか~」とか「もうダメ」などとブツブツぼやきながら歩き続けました。弱音を吐いている自分もまた味があってよいなどと、変に客観的に考えていたりもしました。かつて、体力のあったころの自分なら、どんなにつらくても「もうダメ」などと口に出していったりはしませんでした。ただ、口では弱音を吐きつつも、決して歩みを止めない自分はやはり頑固者だと思いました。このまま引き返してしまったほうがどんなに楽か。あと数キロの距離とはいえ、こんな辛い思いをした代償に得られるものはたいしたことないような気さえします。目的を果たそうと努力することはすばらしいことだと、世間では誰もが思うでしょう。私だってそう思っているから引き返すことができなかったのでしょう。ただ、そう思って引き返せない自分は何か間違っていると、そのとき少し考えました。

目的を果たすために辛いことに耐えているのか? 目的のためには、人生は辛いものであってもいいのだろうか?人生は、その目的のためだけにあるのだろうか?

確かに、分杭峠のゼロ磁場地帯にたどり着くのが今回の最終的な目的です。しかし、それだけではないはずです。私は自分の誕生日を有意義に過ごしたいと思うから、こうして出かけてきたのです。峠をのぼって汗をかき、体力を消耗し、肉体をいじめているだけの、そのときの自分は少しも有意義な時間を過ごしているとは思えませんでした。辛いことに耐えている自分に酔っているだけではないのか?と、そんな風にも思えました。かつての自分は、そんな自分に酔いたいがために、あえて辛い人生ばかりを選択してきたのではないかという気がしてきました。

私は、分杭峠にたどり着くために意地になっている自分が少し恥ずかしくなり、むしろ、このままたどり着く前に引き返してしまったほうがすっきりするのではないかとさえ考えました。かつての自分なら、何の迷いもなく、どんなに辛いことであっても目的を果たすまではあきらめなかったでしょう。でも、今の自分は、そんな自分を恥じているのです。ここで引き返せば、私は生き方を変えられるかもしれない。そう思いもしましたが、結局そのまま歩き続けて頂上までたどり着いてしまいました。15時9分。坂をのぼり始めてから2時間もかかってしまいました。

家を出発してから自転車で5時間。分杭峠にたどり着いた時はうれしかったですが、苦労をして目的を果たした割には、何かすっきりしないものがあります。疲労しきっていたのもあり、観光気分にひたる前に、とりあえず頂上付近にあった休憩所に入って休みました。ペットボトルの水を飲みながら、はるか下界の長谷の村を眺めていました。

さて、気を取り直して周囲を見渡してみたのですが、どういうわけか人影はほとんど見当たりません。案内板のようなものはありますが、ゼロ磁場地帯に関する案内は一切見当たりません。とりあえず分杭峠まで来ればすぐにわかるだろうと思って、現地に関する下調べはまったくしていなかったのですが、これではどこへどう行けばいいのかさっぱりわかりません。とても観光地とは思えない、何もない場所です。いくら平日とはいえ、ここまで人がいないとは予想外でした。

とりあえず峠の反対側に向かって進んでみましたが、どんどんくだっていくばかりで何も見当たりません。途中で車でのぼってくる家族連れのような人たちに声をかけられ、水汲み場はどこかと聞かれましたが、わからないと答えるしかありませんでした。水汲み場がどこにあるのか、私のほうが聞きたいくらいでした。もう、持ってきた水も残り少なかったので、ここで補充できなかったら厳しいものがあります。このあたりには自動販売機のようなものすらどこにも見当たらないのです。

とりあえず、公衆トイレと駐車場らしき場所があるので、そこまでいってみると、奥のほうになにやら人が通れる道のようなものがあります。案内板のようなものは一切ないので、もとからある山道のようなものかと思いましたが、この先に何かありそうです。自転車を置いて、その道を歩いて行ってみました。途中、先ほどの家族連れが歩いて帰ってくるのとすれ違いました。少し先へ行くと、山の斜面にベンチがいくつか設置された場所にたどり着きました。MSNビデオで見た場所はここに違いありません。老夫婦が一組座っていましたが、それ以外には誰もいない、閑散とした場所です。手入れがされている様子もなく、あたりは荒れはてています。本当にここが観光スポットとして有名なゼロ磁場地帯なんだろうかと不安になりましたが、ここ意外にそれらしき場所はなさそうです。

少し下のほうに水汲み場らしきところはありましたが、「ここの水は飲料水ではありません」といったような立て札がありました。飲料水の補充はあきらめるしかなさそうです。MSNビデオではここの水を飲んでいましたが、あとでよく調べてみたら、このあたりの水は飲むことはできないということでした。飲み水は、時々自動車で販売に来る業者から買ってくださいとのことでした。

ともかくここは気のたくさんある場所ということで、訪れた人の中には手がビリビリとしびれるような体験をした人もいるといいます。私の場合は、どうもT シャツのせいで露出した両腕が日焼けして真っ赤になっており、そのせいでヒリヒリとしびれるような感覚は確かにありますが、これでは気を感じようにも区別がつきません。気の力で日焼けした腕や疲労しきった両足も癒されるかもしれないと思い、しばらくベンチに座って休んでみることにしました。靴と靴下を脱いで裸足になり、蒸れた足を乾かしながら30分ほど座っていました。

しかし、疲労が回復したと思える前に、汗で湿った衣服が冷えて寒くなってきたので、あきらめて引き返すことにしました。その間、このゼロ磁場には一人も訪問者はいませんでした。最初からいた老夫婦が私よりも少し前に帰っていっただけです。最後に一人取り残されて、あまりにも寂しい観光スポットとなってしまいました。いくらひと気を避けてきたとはいえ、こんなに寂しいものだとは思いませんでした。多少は出会いも期待していたのですが… …。

ちなみに、引き返す前に何枚か写真を撮ったのですが、そのうちの1枚に何か得体の知れないものが写っていました。15時57分撮影。

手前のベンチの向こう側、白いロープの下あたりに青白い煙のようなものが見えますね。これは何ですか? エンボス加工してもよくわかりませんが……。

あと、磁場では携帯もつながらないとか言っていましたが、ためしに携帯からインターネットの伝言板にアクセスして書き込んでみたら、ちゃんと書き込めました。(08/31 15:35の書き込み)

駐車場に戻り、そこにあった休憩所で2つ目のおにぎりを食べました。なんだか磁場では飲み食いしたら失礼かなと思ったので、遠慮していたのです。残りの水も飲み干し、そろそろ帰ることにしました。帰りは坂道を下るだけなので、途中で水分補給の必要はないでしょう。

帰り際に、自転車に乗って周囲を少し探ってみたところ、目立たぬ場所に「磁場入口」の看板を見つけました。寂しすぎる。

のぼりには2時間もかかった坂道も、くだりは20分ほどで一気に平地までたどり着いてしまいました。ただ、ブレーキをかけながら降りたので、あまりの負担に最後には後輪のブレーキが壊れてしまいました。出発前に自転車のパンクは心配していましたが、まさかブレーキが壊れるとは思いませんでした。とりあえず前輪のブレーキでしのぎましたが、早めに修理に出さないとまずいですね。

帰りも同じルートなので美和ダムを通りかかりましたが、あらためてダム湖の美和湖を眺めてみると、水溜りとしては、この辺ではデカイほうだよなぁとか思ってしまいました。諏訪湖なんかに比べれば小さいんですけどね。そこで1枚写真を撮っておきました。はい、霊光現象の出来上がり。実は太陽の光の影響だとは思いますが、この日は珍しい写真がよく撮れる日でした。

へとへとになりながら家に帰り着いたのは18時過ぎ。足は筋肉痛、体力も限界。両腕や首筋は日焼けで真っ赤です。倒れこむ前にシャワーだけは浴びておこうと思ってお湯をかけるとピリピリと痛みました。朝10 時ごろに出発したわけですから、8時間の耐久レースです。フルマラソンを走った後のような、体がばらばらになりそうな疲労感です。おまけに自転車はブレーキが壊れてしまうし、これで本当に癒しのパワースポットに行ってきたとは、とても信じられません。ガタガタボロボロに消耗しきった一日でした。

これで34歳の誕生日はよかったのでしょうか。いや、最高に充実していましたよ。

その夜、疲れきって朝までぐっすりと思いきや、不気味な物音で目を覚ましてしまいました。天井の上?壁の中?いや、となりの部屋から? どこからともなく、ゴソゴソ、ガタガタと音がします。起きているのも辛いのに、怖くて眠ることもできません。やっぱり、何か憑いてきちゃったのかもしれませんねぇ……。

時刻はちょうど9月1日の1時を少し過ぎたところだったので、2時40分ごろまでがんばって起きて、2006年度のソーラーリターン・ホロスコープ・スプレッドを作成しておきました。幽霊に起こされなかったらこの仕事を忘れるところでした。そのあとは電気をつけたまま、死んだように眠りました。

(写真付きのオリジナル記事はこちら「分杭峠紀行」)


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1 コメント

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Unknown (I.N)
2006-10-03 14:09:57
分杭峠(読み方がよくわかりません)すごく苦労して辿り着いたんですね。自分も車ですが近くまでは行ったことがありますが自転車とはかなりの強者だと思いました。しかも途中こんな辛い思いしてまで進むべきかと葛藤しながら歩くとこ、笑っちゃいましたがわかる、わかると共感。自分も八月から行こう行こうと思いつつ、もう十\月になってしまいました。今月いっぱいがリミットですかね。知り合いが何人か行って調子がよくなったから何度も行ってるようなので是非行きたいです。変なのも憑いてきたようですがその後はなんともなかったのでしょうか?やはり身体の調子はその後よいですかね。ちなみに自分の知り合いはゼロ磁場のお水をガバガバ飲んで水缶に入れてお土産にもらって飲みましたがなんともありませんでした。地図だとすぐそこなのに遠いなー、分杭峠。
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