「ピクセル」という映画( 2015 年公開)を BD で観ました。面白かった。
YouTube で高橋名人が宣伝してた動画をたまたま見かけて面白そうだと思ったんですよね。
1982 年にゲームセンターでプレイされていたレトロゲームを題材にした物語です。ファミコンが発売されたのが 1983 年ですからそれよりも前のゲームです。パックマン、ギャラガ、ドンキーコングなど。
私はその時代にゲームセンターで遊んでいた世代ではないので、登場するゲームに直に触れたことはありませんが、どれも有名なゲームばかりなので移植やリメイクなどで目にすることも多く馴染みが全くないわけではありません。ファミコン世代なので 8 ビットのドット絵の世界観にはとても親近感がわきます。
ピクセルというのはおそらく、その 8 ビットのドット絵の世界観を表した言葉なのでしょう。
現代の CG で描かれたキューブ状の物体で表現されたピクセル。そんな不思議な CG と実写の合成された世界はもちろん現実感は全くありませんが、その荒唐無稽の世界観が娯楽映画としては十分に成立していると思えました。
トランスフォーマーのようにリアルすぎず、単純な構造で描かれているのも魅力なのだと思います。
こんな映画を楽しいと思えるのは私のような世代が感じるノスタルジーのせいだけでしょうか? 世間的にはこの映画を酷評する評論家も多いようで、賛否両論らしいですね。
昔のゲームはコンピューターの性能が悪かったのでキャラクターの表現やアルゴリズムなどに様々な制約があり、常識的に考えればあり得ない不条理がまかり通っていましたが、それを当時の子供や若者たちは想像力で補って楽しんでいたわけです。そんな時代のゲームの不条理を受け入れられる当時のゲームプレイヤーの感性を持った人間だけが楽しめる映画なのかもしれませんね。
(今の時代のゲームは想像力の入り込む余地がないくらいリアルで完成度が高くなってしまっているので、そういうゲームを受け入れてしまった今の世代の人たちはこの映画に共感できないのかもしれません。そういう意味では今のゲームはつまらないと思います。)
あの頃のゲームは何とも言えぬ「安心感」や「癒し」があったと思うんですよねぇ。だからこそ、今でもこんな風に娯楽映画として楽しめるのかもしれない。
その安心感というのは、お決まりの「パターン(お約束)」があるからなのかな? それが現代のゲームにはないとかいうことも劇中で語られてはいるけれども、それに対するアンチテーゼということなのでしょうか。最後はそのパターンを壊すことで勝利するんですけどね。
あまり理屈っぽく考えず、何も考えずに楽しむおバカ映画だと思って観ればよいと思います。
パックマンにその生みの親の日本人(岩谷教授)が語り掛けるシーンはちょっと感動します。「世界中の人々を楽しませるためにゲームを作ったんだ」という岩谷徹の思い。それがこの映画自体にもしっかりと継承されているということなのかもしれませんね。