雛人形を作っている江戸木目込人形職人  ~伝統工芸士 新井久夫~

人形のまち岩槻で、おひなさまや、贈答用の木目込人形をつくっている職人のブログです。

「雛まつり」のウンチク その2 お雛様はいつしまう?

2010-03-03 22:42:04 | 節句人形 雛人形
今日は3月3日、桃の節句=ひなまつりです。

我が家も雛人形を飾りました。
今年は昨年暮れに亡くなった母の遺影のある、仏間に飾りました。



さて、[流し雛」が雛まつりの起源であることは昨日、このブログで触れましたが、
もともと昔は五節句のひとつ、「上巳(じょうし/じょうみ)」の節句でありました。

上巳、すなわち3月最初の巳の日に無病息災を願う祓いの行事がありました。
この日は神に祈り、季節の食物を供え、また人形(ひとがた)に人間の災い事を托して海や川に流すのです。


さて、雛人形はいつしまうか?という問題ですが、なぜ「雛人形は早くしまえ」というのでしょうか?

昔は川や海に流したから、その名残で「早くしまうことが、流した代わりだ」、という説があります。

あるいは「季節感あるものを時期が過ぎてまで、だらしなく、いつまでも出しておくな」という戒めで、きちんとできないようじゃ、誰も嫁にもらってくれない、といったところでしょう。
(モノを)かたずけない、とかたずかない(女性を蔑視した言い方かも)のごろ合わせもありましょう。

でも旧暦では4月3日が雛まつりですので、そんなに慌ててかたずけなくてもいいと思います。飾る期間が短くては寂しいですよね。



人形職人の立場から、人形の事を思って言いますと、
晴れた、天気のいい、できるだけ乾燥した日を選び、おしまいいただくのがベストだと思います。

ホコリは毛バタキでよく落としてください。
カビやシミの原因になりますから。

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